33話 やみの雑談配信

「皆よ元気にしておったか?今宵も良い月が出てあるようじゃな。常夜やみじゃよ」


:やみちゃんだー!いつぶりだ? ¥250

:最近あかちゃん多かったからな!

:¥170

:¥170

:¥170

:一応この間の歌トレはやみちゃんだったぞ!

:ほぼあかちゃん出かかってたけどな

:月がちょっと隠れてたんだろ

:その表現好き ¥350

:月がちゃんと出てるか出てないかで変わってくるのか

:果たして今日はずっとやみちゃんのままなのだろうか?


「月によって変わるわけではないぞ。月といえば……狼男とかかの」


 月によって強くなる種族とかって意外とありそうな気はする。魔王ってどうなのだろうか。サキュバスはなんか違うような気はするのだけれど。


:狼男は定番だな

:狼男というか、狼が月に吠えるという描写は割と見るな ¥500

:月の光に照らされて踊るのとかもすこ

:なんやそのロマンティックなやつ

:月が綺麗ですねもロマンティックじゃね?

:言う人おらんやろ

:言ってもらいてー

:お前が言う方じゃないんかい

:やみちゃんなら月が綺麗ですね以外でどう訳すのか気になる ¥1000

:めっちゃ気になるなそれ! ¥1700


「ふむ、どう訳すか……そうじゃなあ、暗い花の道も君と歩きたい。とかどうじゃ?なかなかロマンティックじゃろ?」


 急に聞かれると咄嗟に言葉は出てこないものだと、改めて思い知った。でも、なんとか捻り出せて良かった。我ながらいいこと言ったと思うし、花を一緒に愛でてくれたらすごく嬉しいっていうのが私の考えだからね!


:暗い花の道ってそれ見えてんのか?

:懐中電灯で歩くんだろ

:いやいや、隣にいる人が明るいんだろ

:なるほどつまり発光する人がいい、と

:どんな人だよそれ ¥250

:花って全部百合か?

:さすがに他のもだろ

:アイラブユーの訳し方を聞いたはずなのに、あれ? ¥500

:その問いに答えたのはやみちゃんだぞ

:そう、やみちゃんだからと油断していた

:まさか花の道と言ってあかちゃん要素も入れてくるとはな…… ¥350

:ちょっとてえてえやんけ


「暗い道も君となら明るく見えるということじゃよ。花ならなんだって好きじゃ。桜並木とかを歩いてみたいのお」


:まだ先じゃね?

:花ならなんでも好きだったのか

:初耳だったな。てっきり百合だけかと思ってた

:愛でるものは多くていいと思う

:ハナさんと話が合いそうだな

:あの乙女ゲームやった時ちらっと交流してたけどな


「ハナ先輩とは改めてゆっくり話してみたいと思うぞい。って、我は乙女ゲームとやらをやった覚えはないぞ?」


:またごまかし入りましたー

:ごまかし入るのが面白いと思ってきた

:それな ¥350

:もうむしろそれが今のやみちゃん配信の面白さなんよ

:その部分だけ切り抜くのも出てきたしな


「ごまかしておらんし、それは我も初耳じゃぞ?そんな部分切り抜く人がおったとは……余程我が好きなんじゃな。褒めてやろう」


たまにぼろが出そうになることはあるけれど、ごまかした覚えはない。だが、切り抜く人がいるから常夜やみを知ってくれる人がいるわけで……ありがたいなあ。

 今日だって雑談しようと思って始めたけどコメントでなんとかなってるから、一人の力じゃないし。リスナーさんさまさまだ。


:切り抜いてほくそ笑むのが楽しいからやってるだけ説

:ありえるな

:ごまかした瞬間のやみちゃんの反応が可愛いってのもある ¥250

:ちょっと慌ててる時あるもんな

:そういうのも全部含めて切り抜かれてる

:あとで見てみよっと ¥1000

:今はやみちゃんの話を聞きたいんだな!

:褒めてやろうって言ったやみちゃんが珍しくカッコよかった


「カッコよかったか?そうかそうか、やっと我の魅力が分かったか。さて、今宵はもう終わりにするかのぉ。ノープランじゃったが、中々に楽しめたわい。ではまた闇の中で出会おうぞ」

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