32話 あかの妄想配信 3

「はい、またお出かけした時の話になるのですがまあ某青いショップに入ったんです。それで色々なコーナーを見て回っていたら、偶然ブツブツ呟いている人の声が聞こえまして。気になった私は聞き耳を立ててしまったんですよ。そしたら何が聞こえてきたと思いますか?」


:あかちゃん、それはもう隠せてないんよ

:それじゃ隠せないな

:色言っている時点で分かっちゃうんだよなあ ¥250

:いつもお世話になっております ¥350

:てか今さらだけど吸血鬼が外出て大丈夫なのか?

:そうじゃん!大丈夫か⁈


「ふっふっふっ、私はやみちゃんとは違うのだ!日中も余裕だもんね〜って、何を聞いたのかに興味を持って⁈」


 何故か私の配信って話題が脱線しがちなんだよなあ。楽しんでくれているのが分かるからそれでいいんだけれど。


:そうだった。やみちゃんとは違うんだったな

:日中余裕なわりには久しぶりに外に出た、と

:察してやれよ ¥500

:あんま外に出なさそうだもんな

:だから運動不足になるんや

:この間きぃちゃんと運動したから多少は平気だろ ¥1000

:あかちゃん何聞いたんだ?

:やべえもん聞いたんじゃ……


「おっ、やっと興味持ってくれましたね?話すとしましょー女性の声だったんですけどね、めちゃくちゃ驚きましたよ。

『刀が擬人化され二次創作でBLが創られるのに、なんで掃除用具とかの学校にあるものは擬人化されないの?箒とちりとりの関係とかすごく萌えるのに……』

なんてことを言っていたんですから。聞き間違えたかと、いや、聞き間違いの方が良かったのかも……」


:別ベクトルでやばい人の話

:最近の腐女子はそういうことも考えるんだな

:さすがに学校の備品で考えることはない

:答えてくれた、だと⁈

:お姉さまもあかちゃんの配信くるんだな

:色んなところに需要があると評判のあかちゃんの配信 ¥1700

:良かったな!これからも脱線しつつ配信してこうぜ! ¥350

:脱線するのはリスナーが問題な件について

:あかちゃんは慌ててるのを見るのが可愛い

進藤あおい:あんまりぼくの後輩をいじらないでくださいね〜あかちゃんの会った人、ぼくも会ってみたいです〜

:あおちゃんまだいたんだな⁈

:あかちゃんが聞き耳を立てた人に興味津々だなあおちゃん

:そりゃ気になるだろ ¥250


「あおい先輩がぼくの後輩って言ってくれたのでいじったのは許すとしましょう!いやー私もあんな場所でお姉さまに遭遇するとは思いませんでしたよ。遭遇したというか一方的に聞いてしまっただけですが。私ももう一度会ってみたいですね」


 あんな面白い人に会えるだなんて、人生で何度もあることではないのだから。あの時勇気を出して話しかければ良かったのかもしれない。

 けれど、真剣に呟いていたし邪魔するのも悪いと思ったんだよなあ。

 何かの巡り合わせでまた会えることを願っておこう。


「さてと、話したいことももうないかな。というか、本当にこの最後の話をしたかったから配信しようと思ったまである。なのでこれで終わります!またねー!」


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