第24話 お泊まりしました
「やみっちーお風呂入ってね〜あっ、それともみんなで入っちゃう?」
「それはいい提案だね」
「えっ⁈い、いやそれは……」
さすがに三人分入れる浴槽とかないだろうし。それに先輩のツヤツヤでスベスベな体を見るなんて……
だめな妄想ばかり浮かんでしまいそうだ。
「恥ずかしいのかい?」
「裸の付き合いしようよ〜ねっ?」
「ぐっ、可愛く小首傾げられても……」
「だめかい?」
「うっ」
入った。入りましたとも。
だってあんな可愛いことされたら断れないんだもの。私よりも身長の高いマオ先輩がしゃがんで上目遣いをしてきたんだよ?断れるわけないじゃないか。
「あったかいね〜」
「そ、そうですね」
「吾輩も入るからの」
「分かってるよ〜にしても魔王様相変わらず肌白いねえ」
髪を洗っていて無防備な状態になっているマオ先輩を見てミツ先輩が言う。私もそう思っていた。
しかし、ミツ先輩が言うことに意味があるのだ。それに変わらずと言っていたことがポイントである。
変わらずということは何度も見たことがあるということ!つまりは何度か一緒にお風呂に入っているのだろう。妄想が止まりませんなあ!
「さて、吾輩も入ろうかな」
「あっ、じゃあ私出ますね!」
「やみっちあがるの?じゃあ着替えあるから着てね〜」
「はい!」
私は邪魔しないようにと出た。見ていたいけれどさすがにね……妄想しすぎて大変なことになりそうだし。
待てよ?むしろこれからお風呂にあの二人が二人きりでいるということに妄想が止まらない!あー誰かに話したいなあ。
そうだ、あおい先輩にまたコラボの相談をしてみよっと。
「ふふ、ふひひっ」
「なにを笑っているんだい?」
「うぼあっ、マオしぇんぱい⁈驚かさないでくださいよ!」
「驚かせるつもりはなかったと思うよ〜」
ミツ先輩がひょっこり出てきた。
まあ、確かに私が妄想の世界に浸っていたのが悪いな。変な笑い方を聞かれたような気もするけれど気にしないでおこう。
「すみません。それよりなんでこの寝巻きこんなサイズぴったりなんですか?」
「え?だってそれやみっち用のだもん。歯ブラシとか食器もやみっち用のなんだよ〜」
「は、はい⁈」
私用の?なにそれ?聞き間違い?
というか私用のだとしてもなんでサイズ合ってるの?
「やみがスパイシーに入った時から買っておいたんだ。サイズは目視だよ」
「そうそう!いつかお泊まり会したいなって!役に立って良かったよ〜」
「そんな時から⁈」
どうやら聞き間違えたわけではなかったようだ。私が入った時からって、カラーズに入ってすぐのことだったんだけどなあ。
「嬉しかったからね」
「あの時のミツは数日ずっと機嫌がよかったね」
「えへへ〜だからさ、本当にありがとうやみっち!」
こんないい笑顔で言われたらこっちもうれしくなるじゃないか。サイズを目視で分かられたということも水に流せるくらいだ。
それに、自分は邪魔じゃないかって思っていたのだけれどそんなことなかったみたいだ。百合には挟まりたくないが。
「私、いていいんですね」
「もっちろん!」
「もちろんだとも。ほら、寝るよ。翌日に支障をきたしてしまうだろう?」
このあと、布団を敷いてもらってそれに寝転がって眠ったのだった。
これにて、初めてのお泊まり会は終わりました。またしてみたいって思ったから、今度は違う人ともお泊まり会したいなあ。いつになるか分かんないけど!
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