第10話 コラボ配信2

[コラボおめでとうございます!質問なんですけど、ネムシオは自分たちが百合として見られるのはどう思ってるんですか?]


「実際どう思ってるんですか⁈嫌なら自重……できないかもしれないけど頑張りますので!」

「できないんだな⁈うーむ、まあそういうように見られているのは知っているし、同期でありユニットメンバーのあおいからも言われるので嫌と思ったことは特にないな!」

「そうですね……私も需要あるのは分かってますし否定する気持ちはないです。そもそも赤羽先輩の距離感がおかしいから一ヶ月ちょっとでそう言われるようになったんですよ?」

「シオリは後輩のことかまうのが好きですからね〜」


:自重する気のないあかちゃん

:自重しようとしてもできないんだ分かってやれよ

:二人とも嫌だって言ってないんだが⁈

:まだ一ヶ月ちょっとしか経ってないのにペアってなったもんなー

:シオリンの距離感が普段からおかしいってのは素晴らしいと思う

:あおちゃんとも距離おかしかったけど同期微笑ましいなって見てただけだったのに……

:後輩の中でも特にネムちゃんにくっついてるからそれほど好きなんだろうな‼︎


「ほら先輩が近いからですって。コラボ配信とかでレッスンの時のこと話すからそれもあるのかな……」

「歌の練習で一緒になるし、緑谷がいつも甘い匂いしてるから近づきたくなるんだ!」

「ごふっ‼︎」

「あかちゃ〜ん?無事ですか〜?目の前にあるのは天国ですがまだ生きてくださいね〜」


:あかちゃーん‼︎

:生きろー!

:実際に見てる分ダメージでかそう

:あおちゃんも何気に悶えてないか?

:目の前に萌えがあったらそうもなるだろう!


「いやーあの本当に危なかった……あおい先輩背中さすってくれてありがとうございます」

「お互いさまですから〜」

「えーと、大丈夫なのか?」

「あの、紅茶飲む?」


美少女が私の様子を伺っているだと⁈なんと言うご褒美だろうか。

 かつてないほどの幸福感だなあ。昇天しそうだ。


:また静かになってね?

:なにがあった⁈

:萌えの過剰摂取か?


「あー美少女に囲まれてるって事実に気づいて危うかった……もう大丈夫なので次にいきましょう!」

「まだチョコ一つしか返してませんからね〜次はこれですよ〜」


[あおちゃんとあかちゃんはいつから百合好きなの?]


「そうですねえ……人間になったときですね〜」

「えっ?あっ、そうでしたね!私はブラックなところに勤めてた時に癒しとして見ていたら好きになってました!」


そうだった、あおい先輩の設定忘れるところだったや。

 あおい先輩は元々は水族館にいたクラゲがもっと人を笑顔にしたいと願ったら人間になって、カラーズ0期生の先輩に誘われて今こうして配信をしているのだ。

 衣装もクラゲのようにふわふわとしたものになっているのに忘れるとこだったとは、うっかりしてたなあ。


:あおちゃんの設定を一瞬忘れるあかちゃん

:あかちゃんだから仕方ない

:あおちゃん、人間になった瞬間から百合が好きってクラゲの時にいったい何があったんだ?

:あかちゃんは設定守らないんだな


「私は今やみではないので!それにブラックなところですよ?吸血鬼ハンターから逃げ回ってたとかかもしれないじゃないですか!」

「吸血鬼ハンター⁈いるのか⁈確かにやみは吸血鬼ではあるが……」

「シオリ先輩……いませんよ!そんなの!なんで私がツッコミしてるんですか⁈」

「赤羽先輩は天然ボケだから……」


:あかちゃんがツッコミに回るとか貴重

:てか吸血鬼ハンターってなんだよ

:いないらしいから気にしないでいいだろ

:天然ボケだからって言うネムちゃん疲れてそうだったな

:シオリンの天然ボケには同期も悩まされてるからな!

:あおちゃんは面白がってツッコミしないけどな


「ふふっ、だってシオリおもしろいですから〜」

「くっ、これが蓮華隊二期生……あおシオも推せる!」

「結構見境ないんだな⁈」

「私雑食なので‼︎」


:なんでもパクパクしちゃうあかちゃん

:あかちゃんがまじで赤ちゃんすぎてあかちゃん……あれ?あかちゃんってなに?

:赤ちゃんすぎてあかちゃんってなんなん?

:よう分からん言葉生み出しちまったやつがおる

:やばいやつのリスナーもやばいやつなんよな


「なんか私の知らないうちに変な言葉生まれた……」

「それよりもやばいやつの訂正しなくていいの?」

「えっ?可愛くてやばいってことでしょ?ありがと〜でも百合がいちゃいちゃしてる方が可愛いと思います」

「急にスンってされると怖いんだが……」

「ぼくはあかちゃんに同意しますけどね〜」


:この配信シオリン振り回されてんなあ

:可愛くてやばいだと思ってるのはまあ正解

:あおちゃんとあかちゃん相性良さげ

:コンビみたいだよな!


「あおい先輩、私たちコンビみたいですって‼︎」

「そうですね〜コンビ結成ですか〜?コンビっていうとお笑いコンビが先に浮かんできますよ〜」


:ある意味お笑い芸人

:笑わせてくれてありがとう

:コンビ名はふわふわあかちゃん

:どっちの要素も入ってていいな!


「コンビ名まで⁈みんなツンデレなんだね〜」

「みなさんツンデレですね〜」

「緑谷〜脱線しすぎてて収拾つかない……」

「赤羽先輩ならいけますって。だから私に押し付けないでほしい」


:シオリンが弱ってる!

:癒しボイスのネムちゃんがいつもと違って面倒そうな声出してる‼︎

:レアすぎるだろこれは!


「さすがに脱線しすぎたかな!しかも二つしか返してないのにね〜」

「そうだぞ!私ストッパーなのに全然できなかった!不甲斐ない‼︎」

「それは私もすみませんでした!」


:ガチ謝罪やん

:一応罪悪感はあったのか?

:脱線してるの分かってたんだな


「あかちゃん実は土下座してます」

「きれいな土下座ですね〜ぼくもしましょうかね〜」

「あおいにまでされたら流石に良心が痛むからやめてくれ!というかあかは顔を上げてくれないか⁈」

「はい!」


:土下座してたとか想像つかなかった!

:言われたとかじゃなく自分からするんだもんな

:真似しようとするなあおちゃん!

:良心が痛むシオリン

:素直に返事をするあかちゃん可愛いな


「さて、そろそろ終わりにしませんか?私疲れてきたんですけど……」

「私もなんか疲れてきたな!いつもよりな!なんでだろうな⁈」

「そんな元気そうですけど疲れてるんですね?でも私のせいかもしれないと思うと申し訳なくなってくる……」

「そろそろ終わりにしましょうか〜シオリとネムが疲れたって言ってますし〜」


:もう終わってもいいと思うぐらいには長かった

:チョコ二つ返事しただけなのに満足度高すぎい!

:短いはずなのに長いと感じる配信!

:レアなこといっぱいあったしな‼︎

:またこの四人でコラボしてほしい!


「またやりますか?」

「私が力つけてくるからそれまで待っててくれ!」

「なんの力ですか……またするんなら間置いてからにしてね。同期配信はいつでもいいよ」

「ぼくももういちどしたいです〜」

「じゃあまたするということで今回はこれでおしまいです!ばいやみ〜」


 配信はきった。

 しかし、隣にはまだ三人がいるのである。

 すごく疲れた顔をしている二人が終わったと同時に横になったんだけど、それとは反対にあおい先輩の顔がめちゃくちゃキラキラしてる。


「楽しかったですね〜いつのまにか時間すぎてました〜あっ、ネムの作ってくれたケーキも美味しかったですよ〜」

「それは良かったです……私はもう疲れたんでこのまま寝たいです……」

「私も眠い……みどりはらぁとまっていいか〜?」


えっ?待ってなにが繰り広げられているのかなこれは?

 眠そうな感じのシオリ先輩がネムちゃんに抱きついて泊まっていいか聞いた、だと?もしや夢か?


「シオリは限界になるとああやって誰にでも抱きつくんですよ〜でもネムが入ってきてからはすぐにネムのところにいくようになりましたね〜お泊まりもよくしてるみたいです」


あおい先輩が私に小声で伝えてきた。

 私が発狂して起こさないようにという気遣いでもあるのだろう。

 それなら私はこの状況を邪魔するわけにはいけないな!


「では私は帰りますね。またよろしくお願いします」

「ぼくも帰りますね〜シオリのこと頼みましたよ〜」


 私とあおい先輩は一緒にネムちゃんの家から出て喋っていた。

 

「シオリがあんなふうに頼れる後輩ができて良かったです」

「え?」

「あの子も色々抱え込むところがありますからね〜」


『も』と言ったあおい先輩の言葉が少しだけ気になったけど私は何も言わなかった。

 聞けなかったのだ。それにまだ聞くには早いかなと思ってしまったから。

 そうしてあっという間に分かれ道でわかれて家に帰ったのだった。

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