第8話 突然ですが
「はーいつきましたよ〜」
あおい先輩がそう言って止まった目の前にあるのはレトロな外装の喫茶店?だ。
「CLOSEってなってますけど?」
「問題ない!失礼します!緑原いますかー!」
シオリ先輩はその店に勢いよく入っていった。勢いがよすぎて心配になるほどだと思った。
そしてその奥から
「ウチ全員緑原なんすけど?」
と、気だるそうな声が聞こえた。
ショートヘアで左にピンをつけて、店のエプロンのようなものをつけている女性がそこに立っている。先輩たちとは違う雰囲気の美少女……
正直とても興奮している!
「すまんすまん!」
「はぁ……んで、閉店したんで好きに使ってもらってかまわないらしいですけど、居住スペースに聞こえないようにしてくださいね?というか、閉店時間が近かったからいいものの……自分らがバレたらいけない立場だってこと分かってます?」
「わ、分かったから!次から気をつけるからそこまでにしてくれ‼︎ほら、緑原も同期と顔を合わせるのは初めてだろう?挨拶をするといい!」
「え?レミちゃんと
私の顔を美少女が見つめてくるとはなんという幸福感!他では味わえませんなあ。
って、やばい自己紹介しなきゃ。
「はい、常夜やみ。本名は宮下由夜です」
「私は
「透ちゃん、でいいですか?」
「ん。私も由夜ちゃんて呼ぼうかな……でも今は他に人いないしライバー名でいいか」
あーやっぱり美人が笑うと破壊力あるなあ。その微笑みだけで多くの人が救われるよ。
にしても、想像していたより先輩には砕けた口調だった。
「やはりネムシオ?いや、この場合は透薫か?」
「やみちゃん、声に出てますよ〜気持ちは分かりますけどね〜」
「ひ、ひえっ、私はまた⁈すみません!」
まさか声に出てしまっていたとはね。
気を抜かないようにしなければ!
「これがあかちゃんモードか……面倒だな」
「こらっ、そんなこと言ってはめっ、だろう!」
「はいはい。てか赤羽先輩あざとさでも狙ってるんですか?」
わ、私のことで推しカプがいちゃこらしている、だと⁈眼福眼福……
とか思ってたら私の隣であおい先輩がニコニコ笑いながらシャッター押してるんだけど。
「ん?いりますか〜?」
正直驚いて見ていただけだ。
でも、もらえるのなら……
「ほしいです!」
「ではあげましょ〜ところでうちあわせはしないですか〜?するために来たんですよね〜?」
あおい先輩が首を傾げながら言ってきたことでハッとした。そういえばエネルギーチャージとかって言われて連れてこられたんだった。
「くっ、二人がいちゃついてるから‼︎」
「勝手に私たちのせいにしないでくれるか⁈」
「赤羽先輩なに顔赤くしてるんですか……」
また二人がいちゃつこうとしてる!
しかし、打ち合わせもしなければいけないのならそちらを優先させないとだよねえ。
そもそもエネルギーチャージって言ったのあおい先輩のような気がするのだけど。本来の目的を思い出させてくれたから気にしないでおこっと。
「それで、なにをするんだ?」
シオリ先輩が仕切り直そうと咳払いをしてから言ってきた。
赤いままなところ可愛いよなあ、この先輩。
「コラボ、いつやるの〜?」
「今でしょ‼︎」
「さっすがあかちゃん、わかってますね〜」
「あおい先輩まであかちゃん呼び⁈嬉しいんで全然オッケーですけど!」
あおい先輩のふわふわボイスで呼ばれるのとか最高だからね。
というか反射で答えてしまったのだがシオリ先輩が複雑な顔をしてるのが見える。
「い、今ってどうするつもりだ?ここは緑原の家だぞ?家というか店の方だが」
「もちろんネムのを使わせてもらうんですよ〜機材、いっぱいありますよね?このあいだもかしてもらいましたからしってますよ〜」
「うっわあ、東堂先輩に教えるんじゃなかったー」
蓮華隊の絡みがここで見られるだなんて!あと二人足りないけど‼︎
なんかあおい先輩って強いんだなっていうのが感じられるよ。普段ふわふわしてるのになあ。
「まあ、いいですけど……」
嫌そうな顔をしているけどネムちゃんは許可してくれた。
それが示すことは……
「やりましたよやみちゃん!今からコラボしましょ〜もちろんネムとシオリもですよ〜」
「「え?」」
「りょーかいでっす!」
今からコラボ配信をするということだ‼︎
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