第3話 はっちゃけ配信
「闇の中でいい子にしておったか?皆の者よ。『カラーズ』二期生でスパイシーの
:やらかした人だ!
:またやらかそうとしてるな!
:いつもの挨拶から始めたかと思いきや⁈
:なにが飛び出すんだ⁈
:wktk
つかみはオッケー。あとはここからが私の本領発揮じゃ!
缶をプシュッと。そしてごくごく飲んで!
「ぷはっーみんなー!百合は好きかー⁈私は大好きだー‼︎ちなみに普通の花じゃないほうだー!」
:キ、キター‼︎
:百合大好きじゃー!
:てか今の音なに?
:おそらくほどよいが開いた音だろう
:謎のプルタブ博士がきた、だと⁈
「おっ、正解正解。ほどよい飲んでるよー配信前からだから今三本目かな。あと百合好きって言ってくれた人はみんな仲間だ握手しよ」
:お酒飲んでて大丈夫なの?
:手汗すごそうなんで遠慮しまーす
「なんか事務所がオッケーしてくれたからお酒は大丈夫!どうなろうが知らん‼︎あとなあ、手汗すごくないから!普通じゃ!」
あーこのやりとりさいっこうに楽しい!
コメントがすごい早く流れてくから追うのも大変だけど、それがなにより嬉しい。
この高揚感は紆余曲折を経て推しカプが付き合った時とよく似ているものだなあ。
「口調変だけどどうしたかって?気にするでないよそんなこと!ただ酔ってるだけだから!」
:酔うのに飲んでんの?
:自分に酔ってんじゃね?
:なーる
:つかやみちゃんの姿でこの喋り……違和感しかねえな
:それなー
「勝手に納得するな!自分には酔ってない!三本も飲めば酔うし酒好きは酔っても飲みたいもんなんだよ⁈違和感あるのはごめんなさい!」
コメントに丁寧に返していることは返しているんだけど、やっぱり違和感がある人も出てきちゃったかあ。姿はどうしようもできないし慣れてもらうしかないんだよね。
赤羽シオリ:先日は後輩が世話になった!
進藤あおい:おせわになりました〜あなたも面白い人ですね〜
:カラーズ一期生だ!
:しかも蓮華隊の先輩組揃ってだと⁈
:後輩が迷惑かけられたことへの仕返しか⁈
あばばばば……し、思考がフリーズしてしまう!まさかの蓮華隊の先輩組⁈
ヒーローが好きで沢山の人を笑顔にしたいという思いからカラーズに入った
コメントにあるとおり仕返しだったら……
いや、そんなことあるわけない!そして私のテンションは今とても上がっている。つまり、無敵状態なのだ。だから、立ち向かうよ!
「シオリ先輩、あおい先輩!突然なんですけど、結婚を前提にお二人でベッドインしてくださいませんか⁈」
コメント
:い、言いやがったー!
:なんかやばいこと言いそうだと思ったけど想像以上じゃねえか‼︎
:先輩に言っていいことと悪いことを考えなさい!
:というか逆だろ!
:待て待て。二人の答えを聞いてないだろ?
赤羽シオリ:わ、私はしないぞ⁈それにそんな破廉恥なことを言うんじゃない!
進藤あおい:ぼくはシオリには他の人とベッドインしてほしいので〜遠慮します〜
「えっ、あおい先輩も百合好きですか⁈」
:まさかの事実発覚
:ちょくちょく雑談で言ってなかったか?
:あおいオタは知ってたかもな
進藤あおい:好きですよ〜やみちゃんの好きなシチュはなんですか〜?
あおい先輩が百合好きだったなんて衝撃だけど嬉しすぎるよー!語れる人できた!
っと好きなシチュだったや。
「んーわりとなんでも好きですけど、無知な受けが強引に攻められてるのとか好きですね。あ、目隠しされた状態とかも!シチュじゃないですけど蓮華隊でならネムシオ推しです‼︎」
進藤あおい:やみちゃん、ぜひコラボしましょ〜
赤羽シオリ:あ、あおい⁈そ、その時はストッパーとして私もいくからな⁈
「まじですか⁈ぜひよろしくお願いします!」
今までの私だったらコラボ配信の誘いがくるだなんて考えられなかった。
それなのに、こうして本性を曝け出したら先輩二人に誘ってもらえるとは……自分を出すのって
「はー!気持ちいい‼︎」
思わず声が出ちゃった。
それほど嬉しいって、楽しいって思えるんだ。過酷な場所で働いていた時からは考えられないほどの充実感。
財布がスカスカになっても百合はカラーズを見るようになって常に摂取できてたし心は満たされてた。
そんな中で2期生を応募するって見てこれだって思い切って良かった。今心からそう思えるんだ。
「私、やっぱりみんなともっと百合の話したい!」
:急に大声出したと思ったらなにかを決意したような声⁈
:この短時間になにがあったんだか
:トレンド世界一の考えることはわかんねえぜぇ
:一期生とコラボできるからって高揚してんじゃろ?
:このチャンネルじいちゃんも見んだな
:ばあちゃんもおるぞい
:層がわかんない‼︎
「ファン層とか関係ないから見たい人は見てって!そして私と一緒に百合を語ろう。一緒にお酒も飲もう!」
どんな人でも関係ない。好きなものは好きでいいんだ。というか一期生とのコラボは初じゃない。ミツ先輩とはユニット組んだときにしたし。
あっ、でもユニット関係なくだと初めてなのか⁈うわーどうしようかな。まあなんとかなるでしょう!
「さて、今回はここまでにしようかな。また闇の中で出会おうぞ」
:ばいやみー
:ばいやみー
:終わりの挨拶だけ変わんないんだな
:それはそれでやみちゃんらしくていいよな
:闇の中でいい子にしてまーす
:外にも出ろよ
:自宅警備員に酷なこと言うなよ!
流れてくコメント欄を見ながら一息つく。
なんとか無事に終わらせることができた。
みんな楽しんでくれたみたいだし、良かった。本当に良かった。
今回はきり忘れてもないし!というかもうしないし!
「ふー、お疲れ私」
疲れたけど不思議と高揚感は残ったままだ。きっと、この日を忘れない。
なんて、少しロマンチストっぽいかなあ。
って、また着信音がする……
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