14話 強襲
「お嬢さん達、お帰りー」
と門にいた男性が出迎えてくれた。もしかしてずっと門の番をしてるのかな。
「ただいま、出迎えありがとー」
私もそれに手を振って応える。
男はそれにキザっぽい仕草で勝手口を開けて応えてくれた。
そのドアを私たちが通る中、男はシュレッケの手に持った卵に目を向けた。
「今日は大漁だったな。ベイビーたちは元気だったか?」
「ああ。今日も元気に走り回ってたよ。レポート、いつも通り回すから」
「頼むわ。あ、そうそう。姫さん来てるぞ?」
「え?」
「お前の家で待ってるってさ。早く行ってあげろよ?」
そう言うと、軽くウィンクして楽しそうな表情を最後に残してパタンと扉を閉めた。
シュレッケは少しの間閉じた扉を見ていたけど、やがて私の方に向き直った。
「なに?」
「……まあ、手間が省けたと思うか」
「どうしたの?」
「何でもないよ。それより、噂のお姫様、会えるぞ?」
「え?」
「今、俺の家で待ってるって。良かったな」
「ほんと?行ってくる!」
「あ?え、ちょっと待て」
「待たない!」
慌てた声のシュレッケの制止も聞かず、私はシュレッケの家まで走り出した。
そしてあっという間に家まで着くと勢いよくドアを開ける。
「あ、シュレッケってば遅い……って誰!?」
椅子に座って本を読んでいたらしく、手元の本から顔を上げた姫と呼ばれているお姉さんはサラサラの髪に、線の細い感じの美人なお姉さんだった。
「すっごい美人なお姉さんだー!!」
「なに!?何なの!?」
その美人な顔も今は混乱と恐怖の表情で覆われていたのだけど。お姫様は私の勢いに押されて後ずさった。その拍子に椅子が倒れてカタンと鳴る。
そして形の良いピンと伸びていた耳は、徐々に垂れていくのだった……
「って、お姉さん、耳長い!」
「ヒィッ!?」
と、私が更に彼女に詰め寄ったその時、家のドアが勢いよく開いた。
「あ、シュレッケ助けて!!このコ、一体何なの!?」
「お嬢様!危ないですから一人で行かないでください!」
「って、また誰っ!?」
キャラが開いていたドアの隙間から、ようやく家主が顔を覗かせた。
「あーサナ、いらっしゃい。とりあえずみんな座れ。お茶、出すから」
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