13話 言っちゃ(美味しそうだけど)マズいやつ


色々あったけど、お腹が空いてきた。森は常に鬱蒼としていて、暗くて分かりづらいが今はきっとお昼時。お腹が空いてるのは私が食いしん坊だからではない。


「茹でるの?焼くの?まさか、生!?あ、でも採れたてだからこそ現地ならではの食べ方みたいでそれはそれでアリ寄りのアリよね!」


キャンプ地までの帰り道、私はアレコレ想像を膨らませる。


「あのな……まだ食べれるか分からないんだからな?」


「分かってるって。ダメでも文句は言わないよ。でも、夢を膨らませるぐらい、いいじゃない?ねえ、キャラはどう食べたい?」


キャラは私の問いにしばし思案すると、ハッキリとこう答えた。


「親子丼はどうでしょう?」


「ダメに決まってるだろうが!?」


「ハハハ、冗談だよシュレッケ君」


「だから笑えねーんだよ」


そのシュレッケの反応をキャラはニコニコと聞いていた。シュレッケは面白くなさそうだったけど。

正直意外だった。キャラってそんな一面あったのかー、私といる時は揶揄うような事しないもんなぁ……色々不敬だけども。

なんのかんのと、徐々に互いに仲良くなれていけてるようだった。


「まあ、卵はともかく。ねえ、シュレッケ。勝手に森で火を起こしちゃまずいよね?ご飯の用意したいから火を起こして平気な場所教えてくれない?」


するとシュレッケは意外そうな顔をした。

「え、他所で食べる気だったのか?ココまで一緒だったんだ。折角だしウチで食べてきなよ」


「え、いいの?」


「今更だろ?それより午後の予定なんだけど、どうする?他の生き物を観に行くか?」


「シュレッケの都合的には?」


「え、俺?……うーん、正直言うと明日に回して貰えると助かる。コカトリスの記録をまとめたいし、ちょっと用事もあるんだ。……ほら、朝突発的な仕事が入って色々遅れててさ」


「あー……その、ごめんね?」

その突発的な仕事言うのは、私たちの事で間違いないだろう。そういえば疑問に思っていた事があったのだった。


「そういえば、私たちが森に入ってからすぐに集まってきたけど、監視してる人でもいたの?」


シュレッケは苦笑いを浮かべる。

「さすがにそんな人手はないって。どれだけ森が広いと思ってるのさ。ま、森に入ってきたら分かる仕組みがあるとだけ教えておくよ」


と、珍しくシュレッケが自慢げに上から目線の表情を浮かべた。

その表情に、ついつい反骨精神が沸き上がり、何とか反論できないかと頭を巡らせる。


「あ」


「どうした?」


「森に入った時にピリってしたヤツ。仕組みってアレ?」


「!?」


急にシュレッケが真顔になる。その表情を見てマズい事言っちゃったかなと心配になった。


「えーと、……なんかマズかった?」


「……いや」

困惑した表情でシュレッケは続ける。

「森に入った時、何か感じたのか?」


「うん」


「ハッキリと?」


「驚かれて可愛い悲鳴をあげてましたよ?」

その時一緒にいたキャラが補足した。でも可愛いとか言わないで恥ずかしいから!


「そうか……」

シュレッケはアレコレ考え込んでるようだったけど、顔をあげた。


「後で話がある。でもまずはお昼食べてからにしよう。親子丼以外で何が食べたい?」

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