11話 再び森へ


私がシュレッケと話していたら、キャラが無言で間に割って入った。


「キャラ、どうしたの?」


「お嬢様、私にも構ってください」


「は?」


「さあ」


「え?」


ひとまず頭を撫でてみた。


「あ~~~~~~~~~~」


目を細めて変な声を出していた。というか雇用関係でいえば私が主の筈なのに何故このおねーさんは普通に私に要求してくるのだろう。不敬じゃね?……ま、いっか。


「ねえ、キャラ。もういい?」


「もう少しだけ」


私、主……。

と、そんな事を思っていたら目を開いたキャラがその場でくるっと半周、シュレッケを見た。その瞬間シュレッケが半歩後ずさる。私からは後頭部しか見えなかったけど、きっと何かそんな表情だったのだろう。

おかげで先ほどの笑顔は引っ込んで、今はすっかり苦い顔になっていた。


「はい、お終い。それで、まだ準備はかかりそう?」

私はキャラの頭から手を下ろす。


「いや、もうできた。今からで大丈夫か?」


「ええ。キャラは?」


「お嬢様の御心のままに」

さっきまで突然私に構えと言ってきたヤツとは思えない発言だな!


「……じゃ、行こうか?遠いの?」


私は家のドアを開ける。


「徒歩30分ぐらいだ」


家を出ると、シュレッケに先頭を譲る。来た道を戻ってるので入ってきた門からまた出るみたいだ。


「ここって男の人ばかりだね。みんなココに住んでるの?」


「いや、本当の住まいは森の外にある村だ。そこにみんなの家族もいる。ココは仕事中しか使わない」


「あ、じゃあシュレッケの家族も」


「俺は違うかな。そっちに俺の家はない。ま、一人だからそれで全然困らないんだ」


「ふーん?」


そんな事を話してる内に門に着いた。先ほどの男の人はまだいた。


「よ、これからデートかい?」


「んな訳あるか、お守りだよ。コカトリスのトコに行ってくる」


「そうかい、ベイビーたちによろしくな?」

そう言うと、勝手口を開けてくれる。私たちはそこをくぐって外に出る。

振り返ると手を振っていた。私も手を振り返すと嬉しそうに笑っていた。


「で、これから観に行くのはコカトリスなんだ?」


「ああ」

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