第34話 4人パーティーはバランスが大事

 私とシャルル、ルナ様、そしてリサお母様。

 4人でパーティーを組むことになり、まずはお父様のいる山賊団の拠点を目指した。

 ちなみにウリエル様は今ワールドの中だ。


 「でも君たちさ、なにも私じゃなくても君たちで魔力を分け与えられるんじゃないの?」

 「えーと、ですね。実はその方法がわからないんです。」

 「それほどの魔力を持っているのに?しかもディーナ、だっけ、君は魔族でもあるんでしょう?」

 「は、はい。でも、恥ずかしい話なんですけど、まともに魔力を使えるようになったのはここ最近の事なので……」

 「そ、そうなの?でも、君に宿っている精霊って、光の精霊だよね。」

 「あ、はい。フェスタ―様、と言います。」

 「え?名前ついてるの?」

 「お父様が付けてくれたそうです。」

 「へぇー……」


 そんな話をしながら歩いていると、街道に出る手前でモンスターに出くわした。

 

 「ディーナ!」

 「うん、シャルル、行くよ!」


 私とシャルルはモンスターへと向かって言った。


 「ねぇ、あなたは行かないの?」

 「ん?ああ、これは二人の修行なのでな。」

 「修行?」

 「まぁ、危ない時は私が行くが、そうでなければ二人にやらせないと、な。」

 「というか、あなた、何者なの?」

 「まぁ、それはそのうち、な。」

 「ふーん……」


 モンスターは1体だけだった。でも。

 私達の世界のモンスターよりも、各段に強敵だった。

 私とシャルルの連携で倒せたけど、一人だったら苦戦するレベルかも知れない。


 「す、すごい。モンスターをたった二人で?」

 「いや、この世界のモンスターはまた強敵なのだな。」

 「この世界?っていうと、あなた達の世界でも?」

 「ああ、もっとも、あれほどの強さではないんだが……」


 ルナ様とリサお母様の元へと戻った。

 ひとまず仕留めて焼却することはできたけど……


 「二人ともご苦労。だが、な。」

 「はい、こっちのモンスターは、とても強いです。」

 「ちょっと、まだ実力が足りないです。」

 「え?いやいや、君たち凄すぎるけど?」

 「そうなのですか?」

 「えーっとね、あのモンスターは私らでも10人がかりで何とか仕留められるくらいだよ?」


 やはり、この世界は色んな意味で何かが違うみたい。

 ミノリ様のテリトリーっていうか、あの開けた場所を離れた瞬間、何というか、いやな雰囲気が纏わりついてきたような感じがした。

 憎悪、嫉妬、殺意、破壊、強欲といった、いわゆる悪意が濃く感じられるんだ。


 「ま、その辺の実情はさておき、だ。こっちのモンスターは強敵というのは解ったな。」

 「はい。」

 「それで、だ。こちらは今から組織戦を考慮した行動をとるべき、だろうな。」

 「組織戦、ですか?」

 「相手が1体なら良いが、複数で来たらてんでんこに戦っても効率が悪いだろう。」

 「てんでん、こ?」

 「ああ、すまない、バラバラに、という意味だ。」

 「でも、そうですね。連携しての各個撃破は必要かも。」


 という事で、対モンスター戦におけるそれぞれの役割を決める事にした。

 とはいえ、リサお母様も含めて4人とも戦闘特化のようなものだ。

 それに主軸はあくまで私達二人の経験を積む事にあるわけで。


 「そこで、だ。戦闘は二人が主に受け持つ。リサ殿は補助、私はバックアップと治癒関係、という事でどうだ?」

 「それでいいと思いますが、結局4人ともほぼ戦闘担当、ですよね?」

 「まぁ、大体がパーティーというと大なり小なりそんな感じだろう。実力が近い者でなければ組む意味もないし、大事なのはその役割を認識して連携をとる、という所だからな。」

 「そう、なのですか?」

 「あのね、私達人狼族も集団戦闘ではそんな感じだよ。要になる者を決めておけば、あとは連携も簡単に取れるんだよ。」

 「じゃあ、私とディーナが主力、という事、なの?」

 「まぁ、これまでもそうだったしな。それに、修行ともなればそうなるのも必然だろう。」

 「そう言われればそうですね。」

 「ただ、な。」

 「ただ?」

 「これはモンスター、あるいはそれに類する相手の場合だ。」

 「え?」

 「お前たちの前には、それ以外の敵も出てくると思う。その時ばかりはお前たちの単独行動が主になると思うぞ?」

 「……そう、かもしれません。」

 「まぁ、その時は私が全力でサポートする。お前たちが思うように動けば良い。」

 「はい。」


 何れにしても、この先戦闘となれば私とシャルルの二人主導での行動、になるのね。

 責任重大、よね、これ。


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