8章
第211話 ユニークスキルの訓練。
四皇帝と呼ばれる3人をサスケさんの手伝いで始末したその後、サスケさんとメンバーとギンジが残り、後処理をする事に。
俺はジャンブロート王国へ向かうため、1人で北西を目指して街を出た。
サスケさんが言うには、西に行けばチャルドム共和国の最西端の港町があるらしいが、そこに寄る気は無い。
この国は、俺には合わないのだ。
街の治安は悪く、あっちこっちで犯罪が起きてる。
そんな街を見てるといっその事、破壊したくなってくるんだよね。
それと後処理というのは、政府に警告する事らしい。
何人か政府の人間を暗殺した後、もし周辺国にまた手を出せば次は無いと。
もうすぐしたら仁皇国も政治体制が、民主制から君主制に変わる。
これはアマネ達がやってるから詳しくは分からないが、あと2週間ぐらいかな?
体制が変わったらいよいよレインの訪問だ。
時代が動く予感。
皆が後処理をしてくれるので、随分楽である。
楽をしてる俺は現在、整備された山道をのんびりと歩いてるところだ。
チャルドム共和国の首都を出る時、北西の街に向かうバスがあったので乗って行こうかと思ったが、バスが装甲車のような感じで客も多く、長時間乗ってるのは嫌だなぁと思い、1人でのんびり歩いて向かう事にした。
たまにはこうして景色を楽しみながら旅をするのも良い。
右側が山の斜面で左側は崖、すぐ下には森が広がってるが少し先は、草原と丘と所々に木が密集した林が見られる。
青空と所々に浮かぶ雲。
風が少し冷たいが気持ち良い。
まあ、山は自然が無く、岩と土だけで殺風景だけど。
そんな山をふと見上げると、数百メートル先の中腹に、人らしきものを発見。
立ち止まり、視力を強化して見るとそれは、中腹の斜面に倒れてる人間だった。
なぜあんな所に?
俺は足に魔力を纏わせ、斜面を走って登って行く。
魔力を纏えば滑る事も滑落する事も無い。
忍者って便利だな。
1分もしない内に倒れて動かない者の近くまで行きながら空間感知で周辺を探ると、少し上った所にある大きな岩の後ろにも、倒れてる者を1人発見。
手前の者に近付き確認すると、大剣を背負った明るい赤髪の男で、白いジャケットに黒いズボンと黒いブーツ。
結構イケメンなのでおそらく元プレイヤーだろう。
呼吸してるので問題無いかと岩の後ろに倒れてる者の所へ行って確認すると、長く明るい青髪の可愛らしい女の子で、黒のブレザーっぽい上着を着て黒短パンに白のロングブーツを履いてる。
腰には短剣を2本。
この子も呼吸はしてるので一安心。
「おい、大丈夫か?」
女の子に声を掛けるが反応が無い。
男の方に行って声を掛ける、がこちらも反応が無い状態。
とりあえずこんな所で目を覚まして混乱し、斜面を転げ落ちたらマズいので影に沈めて山を下りた。
あと3時間程すれば日が沈みそうなので、山の中を走って抜ける事に。
あっ、閻魔鉱の装備はちゃんとしてるぞ。
数分で山を越えると、草原と丘が広がる風景に変わり、整備されてない街道を進むと数百メートル右前方にある山から流れる、大きな川に到着。
目の前には、古く真ん中らへんが崩れた木製の橋。
俺はそのまま足に魔力を纏わせながら水の上を走り、川を渡った所で野営をする事にした。
影から2人を出すと近くに木遁で木材を幾つか作り、生活魔法で火を点けて焚火をする。
まだ目を覚まさないようなので、分身を置いて特殊空間に転移し、いつもの訓練を行う。
一通り訓練が終わり、今日からユニークスキルの成長と進化を試すため訓練をする。
シオウを斬った後、制御が甘くて刀を久しぶりに破壊してしまったからな。
今後も増加法と強化法を併用するので、制御訓練はしないとね。
腰にぶら下げた数打ちの刀を抜き、シオウを斬った時よりは弱めに強化法と増加法を斬撃に乗せながら振り抜く。
すると、刀が粉々になって砕けた。
「ん?」
ちゃんと制御したのになぜ崩壊したんだ?
制御が甘かった?
いや、今のは綺麗に収まってたぞ?
というか、シオウを斬った時もちゃんと制御は出来てたかも?
じゃあ、何で壊れたのか……もしかして増加法で増やした力に耐えられない?
今まで増加法は、分身を増やしたり物を増やす事に使ってたが、今回のように力を増やす事はしてなかった。
……ギンジは上手くやってたよな?
ギンジもユニークスキルで力を増やして斬撃を飛ばして……そうか、俺の増加法とギンジのスキルは、似てるが違う。
俺の増加法がホースを大きくして水の量を増やすならギンジは、ホースの量を増やして水を増やしてる感じだ。
でも、それならホースを増やしても刀は崩壊するはず。
なのにギンジは保ってた。
強化法や激化法は、力の量が増えないから何とも無かったけど、増加法で力を増やすのは無理があるのか?
まあ、刀を犠牲にすれば出来るけど勿体ない。
何か良い方法は……ん?
俺はギンジのユニークスキルを思い返し、ある事に気付く。
それは、ギンジのスキルは、離れていても増やせるという事だ。
ギンジは、力を放出した後に増やした?
試してみるか。
強化法は使わず、増加法だけで試そうと刀に魔力を流し、振り抜くと斬撃が飛ぶ。
その流れを意識し、どうやって増加法で増やすか頭の中でイメージを繰り返す。
……あれ?
刀が崩壊したのは斬った後だな。
なぜ斬る前は無事なんだ?
……っ!?
「そうか」
斬撃が放たれるまでは、増加法で増えてないんだ。
斬った時のイメージは『斬撃が増える』イメージ。
つまり、斬った時に増える。
なので、斬った瞬間に後から斬撃が一気に増えるので刀が崩壊。
増加法を乗せた状態では、まだ待機状態って事か。
これは刀に増加法を乗せたからの結果だな。
なら簡単。
刀に乗せるのではなく、斬撃に増加法を乗せれば刀は壊れない……はず。
壊れた刀を収納し、新しい数打ちを取り出す。
刀を抜いて魔力を流すと『その魔力に増加法の魔力を重ねる』
すると先程までより、一気に制御が難しくなった。
そりゃそうだ。
刀に流した魔力が増えるんだからな。
増え続ける魔力は、まさに嵐の如く暴れようとするので必死に制御をするが、バチンッ! と魔力が四散してしまう。
「……むず」
だが出来る。
1度失敗しただけで諦める俺ではない。
その後、数回繰り返して全部の魔力が四散してしまうが、数回目で気付く。
別に維持する必要が無いのでは?
魔力に増加法を乗せた瞬間に斬れば、斬撃は増えて飛んで行くはず。
と思い、試しに打ってみると。
「うん、ダメだな」
シオウを斬った時のような斬撃ではなく、増えた事で纏まりが無く、斬撃が打撃に変わってそうな感じだ。
やっぱり制御は必要だね。
制御が必要だと分かったので制御の訓練を再開しようとしたところで、2人が目を覚ましたのを感覚共有してる分身で分かった。
なので訓練は終了。
分身と入れ替わって彼らに話を聞こう。
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