VRMMOで最強忍者になった男～異世界でも最強を目指す～

第209話 神武葬錬。

シオウと互いにお礼をすると言って数瞬、シオウの姿が消えると俺の左側に姿を現し、顔面目掛けて右拳を打ち込んで来たので上体を後ろに反らし、ギリギリ避けると左拳が続けて迫る。

魔眼で視ると右拳には火属性の魔力、左拳には雷属性の魔力を纏っているのが視えた。

左拳には触れずに身体を逸らして避け、一歩踏み込みながら奴の腹に掌底を軽く打ち込む。

その瞬間奴は、血を吐き出しながら弾丸のように吹っ飛んで行く。

受け身も取れず、地面に何度か叩き付けられ止まると、両手を突いて身体を起こし、口からペッと血を吐き出し立ち上がり、袖で口端から流れる血を拭き取る。

「ふぅ～、面白い技を使うね」

「いま初めて試した技だ。効くだろ？」

「……そろそろあっちも終わりそうだし、こっちも終わらせよう」

サスケさんがロンにボコボコにされてるのを見て終わると思ったのか、シオウも本気で来るようだ。

次の瞬間、シオウの姿が消えると俺の背後に気配が現れ、今まで持っていなかった直刀を振り下ろして来る。

俺は振り返りながら避けると、奴が振り抜いた直後、地面を数メートル先まで斬り裂く。

続けて刃を返し、横に振り抜いて来たので屈んで避けながら奴の懐に入り、右拳を腹に打ち込もうとしたが奴も左肩を前にし、俺が踏み込んだタイミングに合わせ、奴も俺の懐に入り込み、奴の体当たりをもろ受けてしまう。

胸から全身に走る衝撃と、体内が異常に熱いのを感じ、吹っ飛びながら全身に魔力を流し熱を放出させ、体内に印を書いて回復してから地面を蹴り、飛び上ると回転して着地。

体当たりの瞬間、魔力を流しやがった。

拳や蹴りじゃなく体当たりでも出来るとは、面白い。

着地して奴を見ると突っ立ったままで、右手に持っていた直刀も無くなっていた。

住人だからインベントリは使えない。

そう言えば、ギンジの首を斬った時も持ってたけど、いつの間にか無くなってたな。

出し入れ可能の直刀か？

普通の武器じゃないって事ね。

「さあ！　終わりだ！！」

奴がそう言った瞬間、心眼で俺の胸から直刀が生える数瞬先の未来が視え、咄嗟に空蝉術を発動。

すると奴が持っていた直刀が背後から俺の胸を貫く。

が、俺の姿が歪んで消滅すると奴は、振り向きざまに直刀を振り抜く。

先程俺の残像を刺した直刀を振り向く時には、既に手に持っていた。

やっぱり普通の武器じゃないか。

瞬間移動する武器ってところかな？

シオウは、俺が空蝉術で避けたとすぐ気付き、直刀を振り抜いたが奴の後ろに俺は居ない。

空蝉術・神は、任意の場所に瞬間移動出来るからね。

「っ！？」

背後に俺が居ない事に驚くシオウ。

その瞬間に俺は、離れた場所から縮地で奴の背後へ移動し、左足で奴の脇腹に蹴りを入れると奴の肋骨を折り、内臓を潰しながら弾丸のように血を吐き出しながら横へ吹っ飛ぶ。

数十メートル吹っ飛んだ奴が止まって地面に倒れたままになると、俺の背後と左右に気配が生まれたので、その場でしゃがんで避けると奴の直刀が３本、俺を突き刺そうとするが全て躱す。

通り過ぎた直刀はフッと消えると、更に周囲を囲むように直刀が空中に浮いた状態で現れる。

この武器、奴のユニークスキルか。

全ての直刀が一斉に動き出し迫る中俺は、縮地でシオウの横へ移動しようとした瞬間、辿り着く前に奴の周囲に直刀が数百本出現。

咄嗟に縮地を解除して立ち止まると、地面に足が微かにめり込む。

すると背後から囲っていた直刀が数十本、迫って来たので振り向きざまに刀を抜き一閃。

それで迫っていた直刀を全て弾くが次の瞬間、弾いた直刀が全て大爆発を起こし、爆発の衝撃波で俺は、吹っ飛ばされてしまう。

爆発までするとは。

しかも威力が半端ない。

更に爆発によって空中に放り出された俺の周囲に、またもや直刀が出現し、俺を突き刺そうと一気に迫る。

もう爆発に巻き込まれるのは勘弁と思い、全身から溜気を放ち直刀を弾く。

その瞬間、直刀が簡単に砕け散り、周囲へ急速に広がる冷気。

キラキラと空気中の水分を凍らせ、俺の全身も微かに凍らせると周囲に漂う冷気から大きな氷の棘が大量に出現し、迫って来た。

何重の攻撃だよ。

と思いながらも空中に無属性で足場を作り、縮地で地上へ下りると俺が居た空中に、氷の棘で出来た花のような塊になるとすぐさま砕けて消滅。

ここでサスケさんの戦いが終了。

こちらも終わらせよう。

数百本の直刀が浮いてる方を見るとシオウは、既に治療したようで立っていた。

「その武器、お前のユニークスキルか？」

「ふぅ～、さっきの蹴りはヤバかった。あの掌底と同じ技かな？　あっ、この武器は僕のユニークスキルだよ」

「結構効くだろ？　次はもっと苦しいぞ？」

「はは、はぁ～、まさかロンがサスケに負けるとはねぇ」

「その姿、火の里の忍び頭を殺して変装してるんだろ？　変装し過ぎて自分の素顔を忘れたか？」

すると奴はキョトンとした顔をする。

「これが素顔だけど？」

「ん？　その姿は火の里の忍び頭だろ……まさか」

「ああ、僕は元から火の里の忍び頭だね」

「……コハクは、お前を信じてたぞ？」

「ハハハ！　忍びに一般の家族愛が存在すると思ってる？　ただの駒だよ」

まあ、忍びに一般常識は通用しないからな。

「つまり、最初から里の者達を裏切るつもりだったと」

「いやいや、裏切ってないよ。最初から里の者には伝えていたさ『影の里は敵』だってね」

最初からいろいろ吹き込んで、火の里と影の里を敵対させようとしてたのか。

「僕が里の幹部達を集め、付いて来るか聞いたけど全員反対。だから里は捨てた。使えない里は要らないからさ」

「そうか、他に言い残す事はあるか？」

「まるでもう終わるみたいな言い方だね？」

「ああ、終わらせる」

「それはこっちのセリフだよ」

奴がそう言うと次の瞬間、シオウの周囲に浮かんでいた数百本の直刀が一瞬で集まると１本の直刀になり、虹色の光をユラユラと纏うそれを手に取るシオウ。

「僕のユニークスキル『神武葬錬（しんぶそうれん）』は、神をも殺せるユニークスキルだ」

そう言ってニヤっと笑みを浮かべると地を蹴り、直刀を手に物凄い速さで迫るシオウ。

神、管理AIを殺せるユニークスキル？

そんなものは存在しない。

勘違いしたまま死ね。

迫るシオウは、途中で姿を消すと俺の背後へ一瞬で移動し、直刀を振り下ろす。

俺は振り向きざまに刀を横一閃。

すると奴と奴が持つ直刀、そして奴の後方にある壁にも線が入り、シオウの腕と身体が切断され絶命するとその場にドサッと落ち、直刀は四散して消滅。

その直後、俺の刀が砕け散る。

いきなり試したけど、ランクＣの刀じゃやっぱり耐えられなかったか。

制御がまだまだだな。

俺はやったのは、五法一術の強化法と増加法を斬撃に乗せただけである。

これはギンジの戦いを見て思いついた方法でギンジは、ユニークスキルで『斬撃を増やして』攻撃していたのだ。

なので俺も増加法で斬撃の力を増やし、更に強化法で強化した結果があれだね。

例えるなら強化法は、ホースから出てる水の口を摘んで勢いよく水を出してる状態。

増加法は、ホースを太くして出る水の量を多くしてるようなもんだ。

流石ユニークスキルだが、増加法と強化法の合わせ伎はやった事が無かったので制御が甘く、刀が崩壊した。

ちなみに掌底や蹴りも増加法である。

ユニークスキルも使い方で進化、成長する事をギンジの戦いで教わった。

もっと訓練に取り入れよう。