第206話 サスケVSロン2
ロンが俺を殺すために準備したもので、ついでにサスケさんも殺すと宣言したロンから突然、血穴から感じる程の魔力が放たれるとロンを起点に周囲に風が吹き荒れ、徐々に周囲の景色が蜃気楼のように歪み始め、その歪みが段々と広がって行く。
化け物かこいつ。
景色が歪んでるのは、大きな魔力を放ってるからなのか?
それとも熱を発してる?
とにかく、人間1人が持つ魔力量じゃない。
おそらくこれが奴のユニークスキルで得た力。
確かこれで半分も貯まってないとか言ってたが、本来はこれ以上の魔力を得られる?
だが、魔力を得たからと言って強くなる訳じゃないしな。
これで終わりじゃないだろう。
「どうだ? これが私の力の一端だ」
「化け物以上の化け物だな」
「中々貯まらないのが難点だが、あいつらとお前達のお陰で、今までで一番貯まったぞ」
「そんな魔力を得て使いこなせるのか?」
「ハハハハ!! 魔力を得ただけではない。まあ、あまり長い時間こうしてられないのでな。悪いがお前は一瞬で終わらせる」
ロンがそう言うとその場から姿を消し、気付けばサスケさんは弾丸のように吹っ飛ばされ、吹っ飛ぶサスケさんの横に並走してロンが姿を現すと、直刀を振り下ろす。
その瞬間、爆発と共にコンクリートの噴煙を巻き上げ、コンクリートの瓦礫が周囲に飛び散る。
ロンの動きはかなり速く、攻撃スピードもギリギリ見えるくらいだ。
サスケさんは、振り下ろされた直刀を刀で受け止め、地面に叩き付けられていた。
ロンは地面に出来たクレーターの中心に倒れるサスケさんを蹴り、天井近くまで上げるとすぐさま跳び上がり、サスケさんの胴体を直刀で斬り上げると追い越したところで更にサスケさんを何度か斬り裂き、最後には髪を掴んで地面に向かって投げつけ、サスケさんが地面に叩き付けられクレーターが出来ると同時に、サスケさんの横にロンが着地しながら胸に直刀を突き刺すと、サスケさんを起点に地面に亀裂が入る。
ゆっくり直刀を抜き、振って血を掃うと地面にビチャっと血が飛び散るその瞬間、直刀を持っていたロンの右腕が切断され、空中に舞い、ロンは腕を気にせず起き上がって刀を斬り上げているサスケさんを蹴り、クレーターの縁に当たりながら吹っ飛んで行く。
「なぜ死なない?」
ロンは腕を拾い、くっ付けると腕が治り直刀を拾う。
回復も速いな。
「確実に斬ったはずなのに斬れてない。確実に突き刺して抜いた時も、なぜ刺し傷が無い? ……それがお前のユニークスキルか?」
そのとおり、老化を止めるために使っていたサスケさんのユニークスキル【
雑談の時に軽く教えてくれた。
吹っ飛ばされたサスケさんは、何事も無かったように服も綺麗なまま、当然無傷のまま立ち上がる。
「中々のスピードだな。一瞬で終わらせるのではなかったか?」
「フンッ、少し生き長らえただけで調子に乗るな。どういうカラクリか知らんが、首を落とせば死ぬだろう」
そう言うとその場から姿を消し、数十メートル離れたサスケさんの背後に直刀を振り抜いた体勢で姿を現す。
素早く動いて首を切り落としたはずが、サスケさんは何事も無かったように立っている。
ロンは続けて振り向きざまにサスケさんの首を斬るが、それでも落ちない。
更にロンは意地になり、サスケさんの全身を斬り刻む。
するとサスケさんは、ひたすら直刀を振り続けるロンの方へゆっくり振り向き、刀で直刀を弾き、素早く逆袈裟で斬り裂くと血飛沫が舞い、更にロンの腹を蹴って吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされたロンは、すぐさま身体を回転させ地面に着地。
斬られた傷はすぐ治っていく。
「はっ、この程度の傷じゃ私は死なないぞ?」
「首を斬られてもわたしも死なないが? お前はどうだ?」
ロンは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、何も答えない。
「今の攻撃じゃ死なないと言ったな? 当然全力ではない。ただお前の状態を確かめるために斬っただけだ」
おっ、流石サスケさん。
あいつの状態が分かったのか?
ちなみに俺は何となく分かったぞ。
ロンの状態は、大量の魔力と化け物以上の身体能力、それにおそらく致命傷を受けても今の奴は死なないだろう。
構成員達が死んでも復活した様子から、何らかのエネルギーを貯めていた。
血穴から噴き出す魔力と同等の魔力量。
それで傷も一瞬で癒してるはず。
だが、致命傷を受けて死なないのは、ある程度のダメージのみ。
じゃないとサスケさんの攻撃を気にする必要が無いからな。
なのに奴は、先程斬られた時、一瞬身体が硬直していた。
なのでサスケさんのように、完全な肩代わりをしてくれるという訳ではない。
だいたいこんなところだろう。
正解かどうかは分からないけどね。
「ほう、それで何か分かったのか?」
「ああ……次の攻撃でお前は死ぬ」
「……ククク、私が死ぬ? 面白い冗談だ」
サスケさんは、忍換装して忍者姿になると直刀を抜き、ロンを見て告げる。
「お前は力の使い方を分かってない」
「何だと? 十分使えてるではないか、お前は私に勝てない。この状況が証明してるが?」
「それはただ力に飲まれてると言うのだ。わたしがマスターを見て学んだのは」
えっ、サスケさんのお手本になってた?
なんか嬉しい。
「力に使われるのではなく、力を使う事だ」
うむ……確かに力に使われると成長しないからな。
今のロンはまさに力に使われてる。
物凄い力を得てそれに頼りっきりで、せっかく得た力を使いこなせてない。
ただ物凄い力なので、身体能力や治癒力は化け物以上の化け物だが、ロン自身がそれを扱いきれてないのだ。
「何を言うかと思えば、実に上手く力を使ってるではないか、この力は世界を統べるに相応しい力、まだ完全ではないが、いずれ完全なものに……」
ロンがドヤ顔で話してると途中で言葉が止まり、サスケさんがロンの後方に直刀を手に持ったまま立っていた。
直刀を振って血を掃い納刀すると同時に、ロンの首が地面に落ち、首から血を噴き出しながら身体がドサッと倒れるとサスケさんは、忍換装を解いて着物姿に戻る。
鮮やかな攻撃。
どうやってロンを倒したのか?
魔眼で視てたがサスケさんは、ただ縮地で移動しながらロンの首を斬り落としたのだ。
だが普通に斬ればロンは死なない。
ならなぜ死んだのかと言うと【魔力対転】を使った。
魔力対転は、事象を魔力が肩代わりするがその逆も出来る。
これは俺の推測だけどね。
肩代わり出来るならその逆も出来て当然。
出来ない方がおかしい。
でサスケさんは、魔力を引き換えにロンに起こる事象を肩代わりし、死なない事象を無くして殺したって事だな。
サスケさんはその場に椅子を作り、座って懐から取り出したポーションを飲み干す。
「ふぅ~」
分身を影から出し、声を掛ける。
「サスケさん、お疲れ様です」
「おや? ずっと見てたのかな?」
「はい、滅多に無いチャンスなので」
「あっちで戦ってるのが本体だよね?」
「はい、こっちが分身です。それでちょっと聞きたい事が……」
先程考えた事を伝え、合ってるかどうか聞くと。
「良く分かったね。ただし、ロンの事象を肩代わりしたんじゃなく、奴が死ぬという事象を魔力と引き換えに起こしたってのが正解だね」
「おう、マジか……じゃあ魔力は?」
頷くサスケさん。
「もう殆ど空っぽ状態。暫く動けないから後は頼んだよ」
「はは、ゆっくり休んでて下さい」
そう言って分身を解除した。
流石影の里の長だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます