第202話 ギンジの決闘1
ギンジとリュウゼンが10メートル離れて対峙する。
俺は離れた場所に立ち、2人を見て合図を出す。
「準備は良いか?」
「さっさと始めろ」
「はい!」
「では……始め!!」
開始の合図を出すが2人共動かない。
リュウゼンに至っては、刀すら抜かないのだ。
ギンジは、腰を落として構えるがどう攻めようか迷ってるようだな。
2人の決闘が始まると周囲に居る構成員達は、近付かずに離れた場所から観戦してる。
近付けばリュウゼンに斬られるからだろう。
メンバーとサスケさんも観戦するようだ。
構成員達は、俺達が負ければその後、自分達も殺されるので俺達の勝利を願ってそうだが俺達が勝っても、お前らは全員始末するぞ。
なんて思いながらギンジとリュウゼンを見てると、最初に動いたのはギンジだった。
深呼吸して自分を落ち着かせると、縮地でリュウゼンの懐に入り、左拳を腹に打ち込むが身体を逸らして避けられる。
ギンジは右、左、蹴りを繰り出すがまったく当たらない。
「この程度か、刀を抜く必要も無いな」
奴がギンジの攻撃を避けながらそう言うと次の瞬間、ギンジの全身が斬られて血が舞う。
ギンジは咄嗟に後方へ跳んで距離を空け、警戒して構える。
どうやら傷は浅いようだ。
「あれからどれ程強くなってるのかと思えば、がっかりだな」
「どうやら本気でやらないと無理そうだ」
「雑魚がいっちょ前に手加減だと? 次から全力で来ないと、気付かぬ間に首を落とすぞ?」
「っ!?」
リュウゼンの殺気、いや、威圧に気圧されてるな。
だが動けない程じゃなさそうだ。
「俺をがっかりさせるな。俺を楽しませろ」
「ふぅ~……」
ギンジは覚悟を決めたような表情をし、縮地で奴の背後に移動すると頭目掛けて蹴りを放つがリュウゼンの頭に蹴りが当たる瞬間、奴の姿が消えギンジの後方へ一瞬で移動する。
「全力で来ないと斬ると言っただろ?」
するとギンジの首が地面に落ち、首から血を噴き出しながらドサッと倒れた。
「よし、じゃあ次はお前、やろうか?」
俺を見て無表情のままそう言うが俺は。
「いや、まだ終わってないだろ」
「ん?」
次の瞬間、リュウゼンの右側に姿を現したギンジの蹴りが、奴の顔面に入りそうなところで腕で防がれる。
「ほう……」
ギンジは足を引き、左拳を奴の脇腹に打ち込むがギリギリ躱されるが、そこからギンジの猛攻が続き、徐々にリュウゼンは余裕で避けていたのがギリギリで避けるようになっていく。
「やるな」
だがギンジは答えない。
「だが……まだまだ……っ!?」
正面からギンジの攻撃を避けていたリュウゼンは、突然頭を蹴られて左へ吹っ飛んで行くが、当たる直前に腕でガードしていた。
吹っ飛んだ奴はすぐさま身体を捻り、着地して真っ直ぐ立つ。
「分身か」
そう、リュウゼンを蹴ったのはギンジの分身である。
それにしてもギンジの奴、分身を使うタイミングが上手いな。
だがリュウゼンは、おそらく気配察知、空間感知、魔力感知のどれかを持ってるっぽい。
じゃないと今の攻撃は防げない。
ギンジは分身と共に縮地でリュウゼンを左右で囲み、次から次へと攻撃を繰り出すがリュウゼンは先程よりも速く動き、全ての攻撃を避け、弾き、防いでいく。
奴の動き、違和感があるな。
…………もしかしてリュウゼンは、心眼を持ってるのかも?
少し未来の攻撃が視えてるっぽい。
これはちょっと厄介だぞ。
ギンジは気付いてるか?
心眼持ちを相手にするなら、こちらも心眼を持っていれば対処は出来る。
だがギンジは爆眼だ。
この場合、リュウゼンよりも速く動けないと攻撃を当てるのはほぼ不可能。
どうするギンジ?
数秒間続いた2人のギンジによる攻撃は、リュウゼンが左側に居るギンジの腕を掴み引っ張ると、もう1人のギンジへぶつけ、攻撃が止まった瞬間に刀で斬り刻まれ、1人のギンジが霧のように消滅。
もう1人のギンジも微かに右腕を斬られるが、ギリギリ後方に下がって避けた。
「はぁ~、これがお前の全力か? ならもう終わらせる」
リュウゼンが刀をその場で素早く振ると、ギンジの胴体、腕、首が切断されて絶命。
だが次の瞬間には、リュウゼンの背後に姿を現した忍者姿のギンジが、背中の直刀を抜きざまに振り下ろす。
しかし、振り向きざまに刀で受け止め鍔迫り合い状態になる。
「やっと本気になったか? 以前とは装備が違うな」
斬られたギンジは、ユニークスキルで増やした自分だ。
増えたギンジは、全部本物。
俺が把握してるだけでも全部で6体。
2体死んだのであと4体。
それで良い。
正面からやればギンジに勝ち目は無い。
それ程リュウゼンは強いのだ。
するとギンジが後方へ跳んで距離を空けると、片手で印を結び、周囲に火球を5つ出し、順番に放つがリュウゼンは、刀で火球を斬り裂き消滅させていく。
最後の火球を斬ったところで懐に縮地で入ったギンジは、直刀で斬り上げる。
リュウゼンは、迫る刃を身体を逸らし避けると刀を振り上げ、屈んでるギンジに向かって振り下ろす。
刃がギンジを斬り裂くと同時に、リュウゼンの左腕が斬り落とされた。
すぐさまリュウゼンは、回転して背後に居るギンジを横一閃で切断する。
が、霧のように消滅。
続けて斬り裂かれたギンジの影から新たなギンジが跳び出し、リュウゼンの首を狙って直刀を振り抜くが、ギリギリ屈んで避けると同時にギンジの腹を蹴って吹っ飛ばす。
「やるじゃねぇか、俺は嬉しいぞ。俺と戦うためにここまで強くなってくれたとはな」
ニヤっと笑みを浮かべながら刀を地面に突き刺し、斬り落とされた腕を拾うと傷口にくっ付け、数秒経つと腕が治る。
今のは、回復魔法か?
「何度かお前を斬って手応えを感じてるが、本体はあと何体居るんだ?」
吹っ飛ばされたギンジは、身体を捻って地面に手を突き跳び上がると着地。
蹴りはそんなに効いてない。
蹴られる瞬間に溜気で威力を殺してたからな。
魔眼って便利だね。
「じゃあ俺も、ちょっと本気でやってやろう」
すると次の瞬間、奴から放たれる魔力が一気に増え、腰を落として刀を構える。
リュウゼンの奴、俺と同じように縛りをして鍛えてるようだ。
そしていま奴は、その縛りを解いた。
リュウゼンは何も言わず、構えてから少し間を空けると次の瞬間、10メートル以上離れたギンジの左腕が斬り落とされる。
しかしリュウゼンは動いてない。
まさか……刀気だけで斬ったのか?
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