第198話 ゾンビアタック。

魏王一家、武双連合、女神の懐、暗黒街の構成員1000人以上がゾロゾロと迫って来ると先頭の者達が走り出す。


武器を抜き、魔法や魔術を放つ準備をする中俺は、両手で印を結ぶと魔力を練り重ねていく。

そこへ強化法と激化法を重ね、の魔力を消費。

さて、どうなるのか。


影明流・六式轟雷雨


六式とは、強化法と激化法を使う時に付ける。


術を発動させた瞬間、広い空間全体に雷鳴が響くと同時に天井から白い光りの柱がドンッ!! と床へ伸びると徐々に光りの柱が太くなっていく。

柱の周囲には雷が走り、柱に触れていない者まで焦がす。


数秒後、柱の太さが10メートルを超えると細く分裂していき、真っ直ぐだった光の柱が揺れ出すとバチバチと放電し始め、本来の雷の形を成すと次から次へ空間内に雨のように降り注ぎ、床から白い雷が天井へ向かって伸びると更に雷の柱が生まれ、構成員達を焦がしていった。


10秒程経った頃、轟雷雨を解除。

最後にバチンッ!! と天井へ向かって雷が上って途中で消えるとそこには、真っ黒になり煙を上げる死体の山。

中には炭になって塵となった者も居るようだ。


「えーっと……」

「マスター」

「はい?」

「……私達のする事が無いのだが?」

「ですよねぇ~」

「主よ。終わってしまったぞ?」

「うん」

『主、狩りは終わりですか?』


雷鳴がうるさかったのか、耳をペタンとさせながら聞いてくるカゲ。


「あー、んー、終わってしまったな」

『流石主です!』

「アズラ、すまんな。マスターが終わらせてしまったようだ」

「キュー?」


いや申し訳ない。

まさか1000人以上居る敵が、全滅するとは思わないじゃん?

下手したら2000人は居たかも?

うん、エデンのメンバーとやり合った時から、かなり成長してるな。


「では、奴らを探そうか」

「そうですね……っ!?」


魔力感知に反応があったので構成員が居た方を見ると、先程と同じくらいの構成員達がいつの間にか姿を現していた。


「まだ居るのか」

「暴れられる」

「キュー!」


やる気満々の夜叉とアズラ。

だがカゲだけは違い、ジッと奴らを見ながら念話で伝えてくる。


『主、あの者達は、先程死んだ者達です』

「ん? どういう事? アンデッド……には見えないが?」


黒焦げにしたからゾンビには出来ない。

でも、姿を現した奴らは、ちゃんと肉体があるぞ?


『いえ、アンデッドではありません。先程と同じ生きた者です』

「はっ? じゃあさっき殺したのは何だ?」

「キジ丸君、どうしたんだ?」

「あっ、カゲが言うには、あいつらさっき殺した奴らと同じ人間だと言うんですよ」

「ん? まさか分身だったのか? いや、分身なら死体は残るはず無いか……」

「まさか幻術?」

「……いや、幻術の痕跡は無いようだ」


魔眼で視たのか。


「カゲ、奴らは生きてるのか?」

『はい、ちゃんと生きた人間です』

「幻術でもなくアンデッドでもない……ん?」


奴らが先程と同じように前進を始め、最前列が走り出すと後続も走り出す。

すると今回は、何か叫びながら向かって来る。


『よくも殺しやがったな!!』

『滅茶苦茶痛かったぞコラァ!!』

『ぶっ殺してやる!!』

『グチャグチャにしてやるぜぇ!!』


うむ、殺された自覚があるのか。


「サスケさん、どう思います?」

「さっきの者達であるのは間違い無いようだ」

「また同じ術をやるのは、魔力がキツイですね」

「しかし、殺してもまた出て来るのではないか?」

「本当に同じ人間なんですかね?」

『魔力は間違いなく同じです』


なるほど、カゲが言うなら間違い無い。

だとしたら……。


「とにかくやらないと殺されるぞ」

「ですね……ん?」

「どうした?」

「黒焦げの死体が無くなってる」

「誰かが回収したのかそれとも……」


死体を使って蘇ってる?

いやいや、どんなチートだよ。

永遠に生き返る訳じゃないよな?

何かしらの術で生き返ってるなら、魔力やマナといったエネルギーを使ってるはず。

なら永遠に続く訳じゃない。

いずれエネルギーが切れる……と良いな。


「まあ、考えようによっては、訓練には丁度良い相手ですね。いくら殺しても蘇る。技を磨くにはもってこいですよ」

「う、うむ、確かにそうだが……流石に永遠と戦うのは」

「とりあえず訓練に使わせてもらいましょう。その内蘇らなくなるかもしれませんよ?」

「だと良いのだが」


まだ試してないスキルもあるし、いろいろ試させてもらおう。


「カゲ、夜叉、思う存分に暴れろ。ただし! 訓練としてな」

「ああ、主の言うとおり、技を磨くには丁度良い」

『では、新しい技を幾つか試したいと思います』

「良いね」


俺も今作ってる技を試そうかな。


「キジ丸君、来るぞ」


まだ100メートル以上離れてるが、ロケットランチャーや銃による攻撃が始まり、魔法や魔術も放たれる。


「散開!」


サスケさんは縮地で躱し、アズラは風の結界を張りながら飛び上がり、カゲも結界を纏いながら奴らに向かって走り出し、夜叉は素早く動いて避けながら奴らに突撃。


俺も縮地で避けると刀に少しだけ魔力を流し、抜きざまに一閃。

すると数百人の構成員を切断。

魔閃である。


訓練で試行錯誤してる技は、タカドウがやってた、乱切りの斬撃を飛ばす技である。

剣神と侍神のスキルを得た事で、あれよりも強力な技が出来そうな予感はしてるが未だ形にすらなってない。

実戦でやれば完成に近づくかも?


斬獄という似た技はあるがあれは、自分で動いて斬るからな。

タカドウみたいに、斬撃だけを飛ばして斬りまくりたい。

しかし中々上手く行かないんだよね。


タカドウがやってた技を思い返してると、ふと思い出す。

仁皇流でやったあの対戦方法『魔想演武』が使えるのでは?

あれは動かずともオウカを斬っていた。

よし、ちょっと試そう。


意識を集中させ、イメージを刀に魔力と共に流し、軽く床に向かって振り下ろす。

すると床に幾つかの斬撃が走る。

出来そうかな?

次はもっとイメージを固めて魔力も多めに。


また銃弾が飛んで来たので避けると同時に刀を振り下ろす。

すると見えない力が床を抉りながら敵に向かい、着弾した瞬間1人の全身をズババッ!! と斬り刻んで血が舞う。


違う、もっと広範囲に、そしてもっと斬れるようにしないと。

的はいくらでも居る。

焦らず確実にだ。

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