第185話 侍神。
次に魔法使いに就こうかと思ったが、普段から侍のフリをしてるのでここは、先に侍に就こうと証を創ると短刀が出現、短刀で指を斬ると魂に収納。
『職業侍に就きました』
『ユニークスキル職神により、侍に連なる職業を全て取得』
『侍、武芸者、鬼武者、影武者……武将、侍大将、侍王将・魔、侍王将・斬、侍王将・極、侍神のスキルを取得』
『職神により侍系統のスキルを統合し【侍神】スキルへ進化しました』
侍系統にもこんなに派生職業があったのか。
それにしても……侍スゲーな。
侍神のスキルに進化した事で、今まで以上に刀の扱いがより解る。
侍に関する知識が膨大だ。
しかし、一瞬意識が遠くなり、フラッと倒れそうになるがすぐ元に戻った。
今のは、情報が多すぎて防衛本能が働いたか?
……いや、これは魂の方が限界っぽいな。
剣士と侍だけでも数十と職業があったからねぇ。
まあ、職業欄は『職業・忍者・神、剣神、侍神』となってるので、3つの職業に就いた事になる。
偽装職で侍神だけにしとかないとな。
さて、どれほどなのか試したい。
剣神と侍神の職業を得てどうなったのか。
刀を抜いて両手で持ち、中段の構えを取ると侍神スキルを意識する。
その瞬間、体内の魔力が変わった事を感知し、そのまま魔力を刀に流すと軽く一振り素振りをした。
すると空間に一筋の縦線が生まれ、3秒程で消える。
今のは、次元を斬ったのだ。
職業にはそれぞれ特性がある。
忍者なら影属性が強化されたりするが侍は魔力を纏えば『斬撃が強化される』という一点。
しかしこの斬撃強化が他の職業に比べ、次元が違う。
まさに先程やったように、次元を斬る事も可能になる。
これは侍大将・極になると得られる特性だ。
そして剣士は、魔力を纏えば筋力・体力強化と『属性強化』である。
この属性強化とは全ての属性が均等に強化されるが、他の職業のような特化型に比べると強化率は低い。
だがそれは、訓練次第で他の職業よりも強くなれる可能性を秘めてるのだ。
「うむ、訓練しないとな」
力を得て使えるが、使いこなせるかはまた別だ。
今は他の職業は就かない方が良い。
一気に就いても力に振り回されるだけだね。
刀を納刀し、インベントリから木刀を取り出す。
キングと摸擬戦した時に使った木刀だ。
これに魔力を流し、極限まで圧縮すると木刀が黒くなる。
教えてもらったスキル黒刀だ。
侍神に就いた事でかなり制御が楽になり、更にここから進化させられるはず。
意識を集中させ、圧縮した魔力の周囲に薄く魔力を纏う。
すると木刀が少し重くなる。
軽く片手で振ると地面にスパッと線が走り、数秒で元に戻った。
訓練空間は、どれだけ暴れても元に戻るからね。
俺はニヤっと笑みを浮かべ、強化法で強化した分身を1体出し、さっそく戦闘を始める。
新しい力を試したくてウズウズしていたのだ。
結果は、分身の勝利。
流石強化された分身。
俺より新しい力を使いこなしてるのは驚いた。
だがそのお陰で俺も、更に力の制御が出来るようになったので結果オーライ。
やはり分身との戦闘は、いろいろ知れて便利だ。
1時間程訓練をした後、路地裏に転移すると昼飯を食うため適当な食堂に入り昼飯を済ませる。
さて、魏王一家のトップがどこに居るのか分からないので先に、女神の懐のアジトへ行こうかな。
そこでサスケさんから準備が整ったとの念話が届き、路地裏と屋敷の地下をゲートで繋ぐとサスケさん達が首都へ入った。
サスケさん達に現状を伝えると。
「魏王一家のトップの居場所か、探らせている者からの情報だと現在、各組織のトップは、この街に居ないそうだ。ただ、暗黒街の事だけは分からないが」
「暗黒街は、この街全体を視てるらしいですよ」
「ほう……なら既に我々が街に入ってる事も把握してると思った方が良いかもな」
「まあ、暗黒街は後で潰すとしてまずは、女神の懐へ行こうかと思ってるんですけど、どうします?」
「なら我々は、武双連合を担当しよう。何人か連れて行くかい?」
「そうですね。女神の懐ってどんな組織か知ってます?」
「表向きは、宗教団体だよ」
「げっ、マジっすか」
宗教団体は面倒くさい。
「女神『アメリース』を崇めてる宗教だが、そのアメリースが存在してるかは別として、かなり信者が多い」
当然女子供の信者も居るらしいが、普通の信者は大した脅威にはならない。
しかし上層部は裏で、人身売買、薬の密売、殺しといろいろやってるとの事。
見込みのある信者に声を掛け、不老になる事を条件にヤバい事に手を染めて行くという。
「ちなみに女神の懐は、基本女だ」
「あぁ、トップも女?」
頷くサスケさん。
組織は基本女で構成され、男は少ないが居るらしい。
「中には、信者に子供を孕ませ、生むとその子供を売るという商売もやってるそうだ」
「おお、流石クズの集まり」
サイコパスが集まると碌な事が無いな。
「宗教団体を潰すのは難しいですけど、どうするんです?」
「完全に潰すのは難しいが、トップや上層部を始末すれば、暫く動けないはず。そうすれば周辺国への脅威は、当分無くなる」
「他国の拠点はどうするんですか?」
「そっちは送り込んでるメンバーに任せて我々は、本元を叩く」
「了解、とりあえず始末して混乱させれば良いんですね?」
「ああ、それから暗黒街の者を発見したら教えてくれないか?」
「それは良いですけど、何か?」
「ああ、ちょっと暗黒街の者に用事があってね。頼めるかな?」
「分かりました。見つけたら殺さず知らせます」
「ありがとう」
「じゃあ、俺は女神の懐のアジトへ向かいます。3人だけ借りても良いですか?」
「ああ、勿論だ。君がマスターだからね」
そう言ってお互い笑い、近くに居る3人を連れて表通りへ出た。
連れて来た3人の名は『ダン』『バル』『ソウジ』で、今は一般人の格好をしている。
3人と共に女神の懐のアジトへ向かうとそこは、大学のキャンパスみたいに広く、奥に白く荘厳な装飾が施された教会のような大きな建物があり、その周囲に4階建ての校舎っぽい建物が幾つか建っていた。
唯一敷地内に入れる大学のような正門には、詰所と警備員が2人。
人の出入りが激しく、入る時に何かカードのような物を提示してるのを見てこのままでは入れない事を理解する。
門から少し離れて3人には、俺の影に一緒に入ってもらい。
影渡りで中へ侵入。
手前にある建物の影に移動し、3人にはそのまま影に入ったままで居てもらう。
建物の陰から行き交う人々を観察。
すれ違う時に変な挨拶をしたり、暗号のような掛け声をしたりする事無く、普通の街中のように楽しそうに会話をしながら歩いていたり、スマホで電話しながら歩いてる者が居る。
俺が影の中に居る3人に、散開して上層部がどこに居るのか探るように指示を出すと、すぐさま他の影へ移動を始め離れて行くのを確認し、俺も影に潜って上層部の人間を探し始めた。
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