第183話 変態三人兄妹。
全員の首を落として歩き出そうとした瞬間、危険察知が反応したので後方へ跳ぶと足元から赤黒い棘が数本伸びて来た。
「あ”あ”……あっ、ああ、いきなり首を切るとは、酷い奴だな」
切り落としたはずの首が、血を伸ばして引き寄せると身体を起こしながら両手で頭を支え、元の状態に戻る黒髪の2人。
「吸血鬼か」
「俺達の種族を知ってるようだな」
「魏王一家のトップも吸血鬼か?」
すると黒髪を縛った男が口を開く。
「私と弟だけが吸血鬼だよ」
「おい」
「いいじゃないか、私はデイウォーカーの『アーレン』」
「俺はデイウォーカーの『オーレン』だ」
「兄弟の吸血鬼、しかもデイウォーカーとはな。親は?」
「親は普通の人族だったよ」
なるほど、吸血鬼にされた者か。
それでデイウォーカーに到るとは、かなり長い時間を過ごしてるな。
昼間でも街中を歩けるから人に紛れて暮らしていた。
まあ、昼間はステータスが下がるからあまり外では、戦わないだろうけど。
「ふ~ん、それで? 吸血鬼が犯罪組織の幹部をやってる理由は?」
「勿論、いつでも血が飲めるからだよ」
「普通の仕事をしてたら血を摂取するのにも苦労するからな」
「この組織で吸血鬼はお前達だけ?」
「知る限りは、居ないねぇ」
「俺も知らないな」
「いろいろ教えてくれて有難い。そのお礼に見逃してやっても良いぞ?」
そう言うと2人は、笑みを浮かべてオーレンが言う。
「お前は馬鹿か?」
「私達に勝てると思ってる?」
「思ってるけど?」
すると2人の目が鋭くなる。
「俺は真祖と戦った事もあるけど、それに比べるとお前らは弱すぎる」
「真祖!?」
「へ~、真祖と……そんな冗談を信じるとでも?」
「信じる信じないはどっちでも良い。証拠に、2秒以内にお前らを殺す事も出来るぞ?」
「私達は吸血鬼、その不死性を知らないようだね」
「デイウォーカーへ至った俺達に、勝てる人族は居ない」
「あっそ」
次の瞬間、インベントリから瞬時に腰へ刀を取り出した俺は、縮地で奴らの背後に移動し、刀を振って血を掃うと納刀。
それと同時に2人は、身体が三等分になって肉塊へと変わり、死体が塵となって消滅。
「吸血鬼の不死性は悪魔と似たようなもの。魔力を流せば再生は出来ない」
あっ、トップが居るのか話を聞くの忘れてた。
まあ、良いか。
奥に居る『3人』に話を聞こう。
奥の扉を開けると。
「あん! あっ! もっと! もっとぉ!!」
パンッパンッ! と肌と肌を打ち付ける音が部屋の中に鳴り響き、女の喘ぐ声。
「ハハッ! やっぱお前の穴は最高だな!!」
部屋は、奥行き20メートル程あり、幅は手前の部屋と同じで造りは、ソファとテーブル、そして大きなテレビが置かれ、一般家庭が住んでるような広いリビングで、奥には大きなベッドが2つ、入ってすぐ左手には、ダイニングキッチンがある。
「ん? 兄ちゃん、お客さんだよ」
ダイニングキッチンのカウンターに座り、静かに本を読んでいるTシャツを着た若い茶髪の男が、ソファで全裸の茶髪女をバックから突きまくってる筋骨隆々で赤黒い髪をした全裸男に言う。
「あぁっ!? いま妹と楽しんでんだ! 邪魔すんじゃねぇ!!」
「お兄ちゃん! もっと突いて!!」
「しっかり中に出してやるからなぁ!!」
「うん! いっぱい出して!!」
「はぁ、しょうがないなぁ……で? 何の用?」
この男が兄ちゃんと呼ぶ男が妹とセックスをしてるという事は、こいつら三人兄妹?
まさかの近親相姦とは、いや、妹と言ってるが組織の組員という可能性もあるか。
「近親相姦を許してるのか?」
「あぁ、より濃い血を残すためにやってる事だね」
「じゃあ、血の繋がった兄妹?」
「そうだけど? いつも僕か兄ちゃんとやってるけど普通の事でしょ?」
おう、この家庭は頭がイカレてるようだ。
流石犯罪組織!
ぶっ壊れてるね。
「それで? 何の用? 父さんと母さんなら居ないけど?」
居ないんかい!
「って、その親父と母ちゃんが魏王一家のトップ?」
「父さんがマスターだけど、父さんに何の用かな? それと、手前の部屋に居た奴らはどうしたの?」
「親父がトップね……あぁ、ここに来るまでの奴らは全員殺した」
「へ~、やるねぇ。アーレンとオーレンは出掛けてるのかな?」
「吸血鬼の兄弟なら始末したぞ?」
すると男は、目を鋭くしてニヤっと笑みを浮かべると席を立ち、俺の方へ歩きながら言う。
「そうか、あの2人を殺してくれたのか、ずっと嫌だったんだよねぇ。組織内に吸血鬼が居るのってさ。なんかダサいよね?」
「そうか? まあ、人それぞれだろうな」
「それでお前は……何しに来たの?」
目の前に来ると顔を近づけ、目を見開いて俺の目を覗き込みながら聞いてくる。
こいつの目を見て分かった。
完全に壊れてる事が。
レオンと似たような感じのサイコパスだな。
そこで腹が熱くなったので視線を落とすと、男が表情を変えずいつの間にか俺の腹に短剣を突き刺していた。
あぁ、こいつは暗殺者向きだな。
「あれ? 痛くないの?」
そう言ってぐりぐり短剣を捻じる男。
痛い事に変わりは無いが、この程度なら我慢出来る範囲だ。
もっと酷い攻撃を受けてきたからな。
主に訓練で。
俺は短剣を握る男の手を掴み、短剣を抜きながら手に力を籠め、男の手を握り潰す。
「へ~、凄い握力だね。っていうか痛くないの?」
「俺が何をしに来たか……魏王一家を潰しに来た。ついでに暗黒街について知ってる事があれば教えてもらえると助かる」
「うちを潰しに来た? アハハハハハ! お前1人で? 馬鹿じゃないの? アハハハハハハハ!!!」
すると突然左腕を何かに斬られ血が舞う。
「お前の穴も使ってやろうか? アハハハハハハ!!! アハハ……はっ?」
「そんな趣味は無い」
奴が笑ってる間に横を通り過ぎ、左手には奴の頭を掴んでいた。
刀で斬った後掴んだだけである。
未だに楽しんでる兄妹の横に首を放り投げると、女がソファに向かって四つん這いになってる横に落ち、女が首を見ると蕩けるような表情で顔を近づけ首にキスをするサイコパス。
「お兄ちゃん、首だけになってもカッコいいねぇ。あっ、あん」
「はあ! 弟の首を見ながら妹の中に出す!!」
「ああ!! 熱いのが入ってるぅ~」
俺は納刀しながら不動金剛術で2人を縛り、動けなくする。
「なあ、お前達の親父はどこ行った?」
「動かねぇ? テメェ、せっかく妹の中に出したのに、子種が溢れるところが見れねぇじゃねぇか!」
「ん~、私はこのままでも嬉しいよ~?」
「そうか?」
「親父の居場所は知らないって事でいいか?」
「あ? 知らねぇな」
「会合に行くとか言ってなかった?」
「あぁ、そんな事言ってたか? それより……ふんっ!」
男は不動金剛術を自力で解き、妹からムスコを抜いて立てたまま仁王立ちし、俺を見て言う。
「弟を殺してくれたお礼に、殺してやろう」
「そりゃ……っ!?」
一瞬で目の前に姿を現し、顔面目掛けて殴りかかって来る長男。
両腕でガードするが後方へ吹っ飛ばされ、部屋の壁を突き破って先程の部屋に戻される。
良いパンチだねぇ。
ただの変態でサイコパスかと思ってたけど……だがしかし、俺には用事が出来たのですぐ終わらせよう。
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