第178話 VSレオン。

壁に叩き付けられるとすぐさま目の前に移動して来たレオンが、獣のように右手を振り下ろして来る。

メス代わりにしていたあの手で斬られると、流石にマズい。


しかし、奴の攻撃は指先のみだ。

振り下ろされる腕を弾くと同時に腹を蹴り、後方へ吹っ飛ばすとクルっと回って着地するレオン。


「ククク、良い蹴りだな。だが効かねぇ」


蹴った時の感触は、分厚いタイヤを蹴ったような感覚だった。

相当鍛えてるな。

先程壁に吹っ飛ばされた時、奴は動いてないのにいつの間にか吹っ飛ばされてたんだよね。

たぶん魔法だと思うが……ほう。

看破で見ると、知らない職業だ。


『魔法錬成師』


てっきりゴリゴリの近接系かと思ったけど、まさかの魔法系とは。

魔法と錬金術が合わさったような職業かな?

いや、そのままの意味で魔法を創る事に長けてる職業かも?


「お前の全身の皮を剥いで、脳をこの手で取り出してやる」


一瞬ゾワッとする。

恐怖ではなく全身に纏わり付くような殺気。

今まで受けて来た殺気とは、濃さが違う。

まるで魔物と対峙してるような感覚だ。


「あぁ~、ならお前を動けなくしたら話を聞かせてもらうぞ?」

「ハハッ! 俺は死んでも話さねぇよ」

「ほう……なら殺して話を聞こう」


すると奴は、何か気付いたようで悦に浸っていた表情が、スッと真剣になる。


「今まで感じた事の無い殺気……いや、威圧か?」

「どうした? 額に汗を掻いてるぞ?」


レオンは、手で額の汗に触れキョトンとした表情をし、これまで以上に深くイヤらしい笑みを浮かべ口を開く。


「俺が恐怖してる? 良いなぁ~お前、もっと感じさせろよ」

「あんまりやり過ぎると、楽しめなくなるだろ?」

「最高だな!!」


奴が右手で人差し指と中指だけで、クンッと上に向けた瞬間、顎に衝撃が走り、アッパーを喰らったように身体が浮くと奴は、続けて両手の指を使って連続で攻撃を仕掛け、俺は空中で全身を見えない何かに殴られ、鈍い音が連続で鳴り響く。


「ヒャハハハハハハ!!!! 最高に気持ち良いー!!! まだまだ死ぬなよぉ!? 生きたまま綺麗に捌いてやるからなっ!!」


そう言うと打撃だった攻撃が斬撃に変わり、全身が斬り刻まれる。

斬られると同時に衝撃が走り、身体が浮かされたままの状態だ。


「どうだ!? 手も足も出ねぇだろ!?」


この攻撃。

やっぱり魔法か。

こいつのオリジナルだな。

まあ、魔法は溜気で防いでるから問題無いが、いつまでもこうしてられない。

だが魔法の隙が無いんだよねぇ。

欲に任せて攻撃してるかと思いきや、ちゃんと考えて攻撃してやがる。


「オラオラオラオラオラ……!!!!」


俺は空中に足場を作り、周囲に溜気を放ちながら縮地で集中攻撃されてる場所から奴の背後へ瞬時に移動し、インベントリから右手に取り出した刀で、奴の両腕を瞬時に斬り落とす。


「っ!? ハハッ! やるなぁ!!」


奴は両腕を斬り落とされた事を無視して振り向きざまに回し蹴りを放ち、俺は腹を蹴られて壁まで飛ばされるが両足を壁に突いて思いっきり壁を蹴り、レオンに突っ込むと斬り落とした両腕が高速で再生し、両手の爪に魔力の爪を伸ばして刀を受け止め、腕を振って空中に居る俺を飛ばすがフワっと着地する。


「魔法錬成師、魔法を作る事に長けた職業っぽいな」


回復魔法で腕を再生させた。

しかも速い。


「ほう、鑑定で見たのか? 俺にとっては最高の職業だ。自分のイメージどおりの魔法が作れるからな」


魔法は基本、イメージで大抵の事は出来るが、先程奴がやった連続魔法。

あれは、普通の魔法使いには出来ない。

魔法は一度放つと次の魔法を放つまでに魔力を練り、イメージを乗せて魔法を放つという順序があって2発目を放つには、時間が掛かるのだ。


ゲームでいうリキャストタイムだな。

だがGFWでは、魔力制御のレベルを上げれば、マシンガン程ではないが連続で魔法は放てるようになる。

しかし奴の魔法は、マシンガンを超えた連続魔法。

これは、奴がそう作った魔法だから出来る芸当。

魔力量、発射速度、全てが計算されて作られた魔法だね。


「これで解剖に適した魔法も作ったからな」


そう言って舌なめずりをする変態だが、その実力はかなり高い。

大会に出てた誰よりも。

だが……。


「お前が裏最強ってのは、絶対無いな」

「あっ? 言っただろ? 俺が最強だってよ」


裏の奴らを集めて大会をした訳でも無いのに、誰が最強かなんて分かるはずもない。

まあ、裏の奴らなんて自分が最強だと思ってる奴らばかりだろうけど。


「俺の魔法は、人を殺すためだけに作った魔法だ。これを受ければ必ず死ぬ……生きてる間に脳を取り出してやりたかったが、お前は殺してからじっくり、お前の身体で遊んでやるぜ」

「お前に俺は殺せない。これまで戦って分かった」

「言ってろ」


奴から表情が消えると、縮地のように一瞬で俺の懐に移動し、左拳を脇腹に打ち込んで来たので、後ろに少し下がって避けるが腹を深く斬られ、大量の血が飛び散る。


続けて奴は、右拳でフックの要領で顔面目掛けて打ち込んで来たので、上体を後ろに反らして避けるが左目が斬れて血が舞う。

そこから奴の拳による猛攻が続き、刀で防ぎ、避けるが腕でガードすれば肉が抉られ、避けてるのに斬られるという事が続く。


「このまま斬り刻んで殺してやる」


なるほど、見えない魔法。

魔力による刃を両拳に纏わせてるから、避けても見えない魔力の刃によって斬られるんだな。

奴の攻撃で斬られるたび傷は、体内に書いた印によって治る。


「はあ、はあ……再生持ちか、お前」

「もう終わりだ」


奴の両拳を刀で瞬時に弾き、両腕が開いた状態になった瞬間、技を発動。


影明流・瞬獄


その場で1秒も経たない内に奴の四肢を斬り落とし、更に腰から切断。

最後に奴の腹に刀を突き刺し、床に張り付け状態にした。


「がはっ!?」


奴の腹に突き刺さった刀の柄を握り締めながら告げる。


「さあ、話してもらおうか?」

「はあはあ……はは、誰が話すかよ」

「今話せば生きてられるぞ?」

「くたばれ」


これだからサイコパスは面倒だ。

ならお望み通り、始末してやろう。


突き刺さった刀を床から抜いた瞬間、奴の身体を細切れにして終了。

よし、話しを聞こう。

奴の死霊に。

だがこのままだと奴の死霊は、地球に帰ってしまうので空間全体に、不動金剛術を掛ける。


逃がさないぞ。

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