第170話 引継ぎ効果。
職業の証を継がせれば、ユニークスキルの一部も継がせる事が出来る。
この情報が広がってないのは、継がせた者が居ないかまたは少ない。
それに、この情報を秘匿してる可能性が高いな。
「我らがマスター、更にこの引継ぎには、もう1つメリットがある」
「メリット? 若い者が職業を得られる以外に?」
頷くサスケさん。
「それはクラスを引き継げるんだ」
クラスを引き継げる……って、マジで?
サスケさんが忍び頭だったから、引き継いだ者も忍び頭からスタートって事?
なにそのチート。
ん?
待てよ?
クラスをそのまま引き継げるって事は、引き継いだ者は次のクラスにすぐ成れるって事じゃね?
じゃあ『8代目サスケ』になってるフタバは……。
俺がフタバに目を向けるとサスケさんが頷き、続きを話す。
「キジ丸君が思ったとおり、フタバの職業は現在『生産忍者』だよ」
「なるほど。それまで引き継いだ者が、そこまでクラスアップし、フタバが生産忍者になったと」
「フタバはまだクラスアップしてないが、現在頑張ってくれてるよ」
「それで生産忍者の次は? 魔忍者?」
「それは1つ前で既に修了してる」
「じゃあ、クラスアップすれば次は、忍者・極って事か」
「そう、我らがマスターと同じだ」
「あっ、俺の職業はいま、忍者・神になってますよ」
「神!? まだ先があったのか!?」
「神ってなに!? ってか、忍者・極ってなんすか!?」
「君は?」
「あぁ、こいつはリュウタ、後で誓約して異界の里に入れる事を決めた」
「どうも、忍び頭のリュウタです。よろしくお願いします!」
するとサスケさんは、鋭い目をしてリュウタをジッと見ると俺を見て言う。
「マスター、この者は信用出来るのか?」
「そのための誓約だ」
「誓約? 契約魔法のようなものかい?」
「まあ、それは後で、それよりサスケさん……フタバの証をサスケさんに戻そう」
「いや、私は今の状態でも満足してるんだけどな? 若い者が育ってくれるのは有難い」
「今のやり方だといずれ、忍者は滅びる」
「ではどうする気だ? 私達に職業を戻せば、若い者が力を無くす。そうなればますます忍びの者が滅びると思うが?」
まあ、証が無いならそう思うよね。
俺はニヤっと笑って答える。
「証ならいくらでも創れる」
そう言って右手に巻物を生みだし、テーブルの上に置いた。
「これは、君の証かい?」
「いや、新しい誰の物でもない証だ。それに血を垂らせば、忍者になれる」
「それはいったい、どういう……」
「キジ丸さん、何で新しい証を持ってるんすか?」
「サスケさん、これは影の神からの報酬でもらったスキルだよ」
「っ!? この世界に居るのか!?」
「影の神ってなんすか?」
「それでサスケさんにお願いがあるんだけど」
「お願い? 何かな?」
俺はフタバを見てからサスケさんを見て話す。
「俺がフタバを鍛えるから、忍者・極になったらサスケさんに戻し、このスキルを与えたいんですよ。そうすれば、忍者が滅ぶ事は無くなる」
まあ、俺が居る限り滅ばせないけどね。
この職証創造を与えるには、四次職になっていないと無理だ。
そして忍者は、忍者・極が四次職である。
忍者(一次)→生産忍者or魔忍者(二次)→生産忍者or魔忍者(三次)→忍者・極(四次)
なので俺は、誰も到達出来ない『忍者・神』の五次職となるのだ。
これはアマネにしか出来ない事だね。
目を瞑って考え込んでいるサスケさんが、目を開いて俺を見ながら答える。
「これはとんでもないスキルだな」
「まあ、サスケさんは忍者の証しか創れないと思いますが、若い忍者の事を任せても良いですか? いや、異界の里マスターとしてサスケさんに任せる!」
「はは、相変わらずだね……ただ1つ問題がある」
「なんです?」
「私は現在、他の者の老化を止めるためにも魔力を使ってるので殆ど無い。例え職業に就いても魔力は戻らない。解除しない限りは、だが解除する気は無いのだ。だから証を創る事は……」
「それなら問題ありません。俺が全員不老にしますよ」
「なっ!? そんな事まで出来るのか!?」
「流石最強!! 俺も不老になりたいっす!!」
「不老であって不死じゃないので注意して下さいね? お前もな」
「了解っす!」
サスケさんは何か考えてから口を開く。
「その力、忍者・極になれば扱えるのかい?」
どうだろ?
時空属性を取得するから出来るかもしれないけど……うん、出来るな。
「出来ますね」
「そうか、分かった。マスターの命令どおりにします」
そう言って頭を下げるサスケさん。
「じゃあ、先ずはリュウタの誓約から済ませよう。その後、フタバを鍛えて忍者・極になってもらう。まあ、すぐは無理だろうけど、それまでお世話になっても良いかな?」
「我らがマスターなんだ。遠慮なんてする必要は無いよ」
「よし、じゃあリュウタ、後ろ向いて背中見せろ」
「えっ? あ、はい……あの、影の神とか影の里って何か聞いても?」
背中を見せながら聞いて来るリュウタに、ざっくり教えると。
「へ~、管理AIか、それに火の里とか風の里は知ってるけど、まさか魔の領域に里があるとは……クレイジーっすね」
「それは俺も思った……ほい、これで終了」
リュウタの背中にクレナイと同じ印を刻み、縛りの魔力球を体内へ入れた。
「えっ、もう終わったんすか?」
「ああ、それとリュウタ、職業の証に血を垂らしてみろ。そうすればステータスが見れるようになるぞ」
「マジで!?」
そしてサスケさんの方に向き直り「うお、マジだ! ステータスが見れる!」と騒いでるリュウタを無視してフタバに、現在のスキルレベルを聞き、今後の訓練方法を考える事に。
ついでに、現在ここに居る人数を聞くと全部で『36名』らしい。
半分は、メンバーから証を受け継いだ若者で、半分がメンバーである。
500年以上経ってもメンバーは、18人しか現れてないのか。
まだこの世界に来てない者や、大昔に転移した者も居るだろうな。
「じゃあフタバ、とりあえずモノづくりをしようか」
「はっ!」
「マスター、戻ってきてくれてありがとう」
急に頭を下げるサスケさん。
「どうしたんです?」
「いや、キジ丸君が来てくれたお陰で、全てがまた動き出す気がしてね」
「そんな大げさな。忍者・極になったらしっかり働いてもらいますから、覚悟して下さい」
「はは、全力でやらせてもらいます」
「そう言えば、サイやカナエさんは?」
首を横に振るサスケさん。
「カナエは、この世界に来てるのかすら分からん」
「じゃあ、気にしても仕方ないですね。異界の里を維持していれば、いずれ姿を現すかもしれません」
「そうだな。それまでは、頑張って生きてみよう」
「では、他のメンバーも集めてもらって良いですか? 全員不老にするんで」
「分かった。すぐ集めよう。フタバ」
「はっ!」
すると影に潜って姿を消すフタバ。
そこで俺はリュウタに、誓約の内容を伝える。
俺の正体を誰にも言わない事、それだけだ。
もし言えば、心臓が潰れると言っておく。
「マジで?」
「俺の正体を誰にも言わなければ大丈夫だ」
掟が無いからなぁ。
……新しい掟を作ろうかな?
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