第142話 モード復活。

レバックがレンジャーの職業を得た事で、魔力を使えるようになる。

これは、ゲームの時と同じだ。

ゲームでも職業を得る前は、魔力が使えなかった。

職業の証を魂と繋ぐ事で第一核を解除出来るのは、アマネに教えてもらったよ。


「どう? 魔力を感じれたか?」


未だ驚いた様子で自分の身体を見てるレバック。

俺が声を掛けると目を見開いて口を開けたまま、俺を見て手に持つ紙を見る。


「それは魂に収納出来るからな。ステータスも見れるはず」

「……これは、何だ?」

「職業だよ。レバックが就いた職業はレンジャー。追跡や弓、短剣が得意な職業だ。ステータスを見たらスキルが見れるだろ?」

「ステータス? ゲームみたいな……うおっ!?」


前を見て驚くが画面は、本人しか見えない。


「……スキル選択?」


教えてもらうと【剛弓】【早弓】【連弓】【遠弓】【弓法】のどれかを選ぶらしい。

暫くステータス画面を見つめていたレバックは、スキルを選んだようで、取得したスキルが決まった。


【弓法】【ナイフ術】【鷹の眼】【追跡】の4つを取得。

これがレンジャーの初期スキルか。

レンジャーっぽいね。


「じゃあ、魔力を使えるようにちょっと練習しよう」

「ここで?」

「すぐ出来る」


そう言って俺は、レバックの肩に手を置き、魔力を流す。

これは、カリムス王国の学校でやってる魔力を感じる方法だ。

魔力を使える者が流し、それを感じる事から自分の魔力を感じ取る。


レバックは、俺が流した魔力を感じ取り、そっと魔力を引くと今度は、自分の中にある魔力を感じ取る事が出来た。


「これが魔力……俺も覚醒者になれたのか」

「あぁ~、この国で言う覚醒者は、本当の覚醒者じゃないからな」

「ん? どういう事だ?」

「仁皇流の道場で師範代のオウカも言ってただろ? 魔想演武は『魔力を使える者』が鍛錬する方法だって、あの時『覚醒者』と言わなかったのは、魔力を使えるのは本来『普通』だからだ」

「じゃあ、本来の覚醒者ってのはなんだ?」

「マナを扱える者の事を言うんだ」


本当は、ユニークスキルを取得してマナを扱える者だけどね。


「俺もいつか覚醒者になれるのか?」

「それはレバック次第だな。訓練をすれば誰でも出来る。まあ、簡単じゃないけど」

「今日から鍛える」


そう言って拳を強く握りしめるレバック。


「じゃあ、ギンジと一緒にちょっと稽古をつけてやろうか?」

「良いのか!?」

「ちょっとだけな」

「訓練ならうちの訓練場を使うか?」

「いや、俺の部屋に行こう」

「部屋で?」

「まあ大丈夫、とりあえず車を停めて部屋に向かうぞ」

「えっ、ちょっ、すぐ行く!!」


俺は車を降りて先に部屋へ向かい、到着するとギンジに念話を送る。


『ギンジ、今から俺の部屋に来れるか?』

『はい』

『じゃあ、訓練をしようか、シュートも呼ぶ』

『了解です』


続いてシュートにリングで念話を送る。


『シュート、今部屋か?』

『ああ』

『今から俺の部屋で訓練をするんだけど、一緒にやらないか?』

『お前の部屋で? 魔想演武か?』

『いや、ちゃんとした訓練だよ』

『ん~、まあ、やる事は無いから行くわ』

『おう』


少しするとギンジが来てすぐにシュートも部屋へやって来た。

2人をソファに座らせてレバックが来る事を伝えると。


「レバックが俺達の訓練に付いてこれるか?」

「魔力が無いと流石に厳しいのでは?」

「魔力はもう使えるようになったさ。それと2人にも良い事を教えてやろう」


俺は2人に、職業の証に血を垂らしてもらうと2人は、驚いた表情をして固まる。


「ステータス……」

「マジかよ……」


そこでレバックも部屋にやって来たのでソファに座らせ、2人に伝えるように言う。


「何だ?」

「先程魔力を使えるようになったと言ってましたが、もう使えるんですか?」

「あぁ、キジ丸にレンジャーの職業を貰ったんだ。それで魔力を感じられるようになっただけで、まだちゃんとは使えない」

「「っ!?」」


2人は俺の方を勢いよく見てジッと見て来る。


「ちょっといろいろあって、職業の証を作れるようになった」


そう言ってニッコリ笑う。


「はあーーーーーーーー!?」

「師匠、どういう事ですか?」

「まあまあ、それは訓練が終わったらちゃんと説明してやるから」

「そういや、部屋で訓練するって言ってたが、何すんだ?」


シュートの問に俺は、ニヤっと笑って答える。


「戦闘訓練だ」

「部屋の中で?」

「部屋が壊れますよ?」

「キジ丸よ。流石にお前が訓練狂でもホテルに迷惑は掛けちゃダメだぞ?」

「じゃあ、移動しようか、ハンゾウ」


そう言うと俺は、全員を『訓練モード空間』へ転移させた。

その瞬間、周囲の景色がソファに座った状態で何も無いだだっ広い空間へと姿を変える。

床は土で空は真っ白だ。


「なんだここは?」

「これは……」

「はっ? ……転移か?」


レバックは、移動で転移陣を使ってるから慣れてるのかすぐ気付いたようだ。


「ああ、シュート」

「何だよ?」


俺はニヤっと笑みを深め、告げる。


「殺し合いをしようか」

「はっ? 訓練で死ぬまでって……」


固まるシュート。


「マジか?」

「マジだ……ちなみにここでは、死んでも生き返る」

「「っ!?」」


シュートとギンジは気付いたようだ。

ここが訓練モードと同じ効果がある空間だと。


「キジ丸、死んだら終わりだろ」

「レバック、言っただろ? 死んでも生き返ると」

「そんな事がある訳ねぇだろ」

「それがあるんだよなぁ……こんな風に」


そう言ってレバックの首を魔糸で落とすと数秒後、光の粒子が集まってソファに座って固まったままのレバックが蘇る。


「どうだ? 生き返っただろ? なんならもう一回試すか?」


すると物凄い勢いで首を横に振るレバック。

今のでトラウマになってないよな?

まあ、何度か死ねば慣れるはず。


「さて、思う存分訓練しようか!! 先にレバックに魔力の使い方を教えるから、それまでギンジとシュートで好きなだけ殺し合いをしててくれ」

「お、おう」

「はは……分かりました」

「ほらレバック、立って付いて来い」


俺達が立ち上がるとソファは消滅というか、座っていたソファは俺がホテルのソファと同じ物を空間内に作っただけである。

座った状態で転移させたからね。

いきなり床に座らせるのも悪いかと思って。


この空間の広さは、地球と同じくらいの広さがあるので、好きなだけ暴れても問題無い。

フフフフフ……全力で訓練が出来るぜ。

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