第127話 次元門設置。

翌朝、部屋で朝食を食べ終わり、一服してるとフロントから迎えが来たと連絡があったのでロビーへ向かった。


「おはよう」


ロビーで待つレバックに挨拶をする。


「おはよう、キジ丸だけか?」

「ああ、シズキはもう出てギンジは、観光するらしい」

「シズキさんもう出たのか、早いな」


日の出前にシズキでチェックアウトし、ホテルを出るのを見せてから消してある。

ギンジは、リュウゲンと道場都市オウレンに関する情報収集だ。


さっそくレバックの車に乗り、ゲートへ向かう。

その道中、レバックに今日の予定を聞く。


「次元門を設置がどれくらいで終わる?」

「場所によるけど、1時間も掛からないかな?」

「それだと時間が空くな。道場見学は昼からと連絡を入れてあるからそれまで、どこかで時間を潰さないとなぁ」

「じゃあ、設置したら人をこっちに呼んでも良い? 友達を連れてこようかなと」

「街に入るなら監視が付くけどそれで良いなら」

「どうだろ? 本人に聞いて監視が嫌なら街に入らないってのは有り?」

「まあ、街の外なら問題無い……かな?」


とりあえず本人に決めてもらおう。



その後、30分程でゲートに到着し、身分証を提示するとすんなりゲートを通してもらい、街の外に出て暫く車を走らせると山に挟まれた所で停める。


「この辺りで良いのか?」

「ああ、問題無い」


街から南へ約2キロ程の地点だ。

道路の端に車を停め、降りると山に向かって歩いて行き、斜面になってる手前に到着すると立ち止まり、一度道路の方を振り返る。

道路から約80メートルくらいあるかな?


周囲には土と小さな岩と少し草が生えており、離れた場所に点々と木が生えてるだけ。

この辺りで良いかと体内に印を書き、岩山の斜面に横穴を空ける。

魔力制御しながら歩いて行き、ズズズズズズ……と穴を空けると10メートル程の通路を作るとそこから、一気に広げて10メートル四方の空間を作った。


壁や天井を強化して具合を確かめてるとレバックが、キョロキョロと見回しながら口を開けて入って来る。


「な、なあキジ丸」

「ん?」

「覚醒者って全員こんな事が出来るのか?」

「まあ、だいたいの人は出来ると思うけど?」

「スゲ~、やっぱ覚醒者ってスゲーんだな」


やろうと思えばレバックにだって出来るんだけどね。

そう言えば、レバックの才能は……ほう。


【才能】魔法使い・レンジャー


魔法使いになれば、余裕で出来るな。

ゲームの時みたいに職業を与えられれば、今頃レバックは魔法使いになってたかも?

……いかん、ローブを着て杖を持つレバックを想像したら面白過ぎる。

まったく似合ってない。


しかしこの才能は、どうやって決まってるんだろ?

生まれつきか?

ゲームだと住人は、成人までの行動でどんな職業になるか決まってたけど……。


俺は気になったので、空間を補強しながらレバックにこれまでの経歴を聞いた。

すると、地球と同じように6~7歳になると小学校に入って中学校まで義務教育を受け、任意で高校、大学と進むらしく、レバックは大学まで行き、その後警察に入って現在に至る。


「小学校や中学校で魔力に関して何か勉強する?」

「ああ、中学で魔力に関して勉強するな。魔力制御が出来るかどうかいろいろやらされるが、出来た者は居ないな」


なるほど、それで魔法使いの才能があるのか。


「弓とか追跡とかの授業もあった?」

「弓? あぁ、中学でやってたな部活で、追跡はよく分からんがガキの頃にいつもかくれんぼをやってた記憶がある」


ほうほう、それでレンジャーの才能が付いたって訳だな。

才能はやっぱり、それまでの行動で決まるようだ。

実に勿体ない。



そんな話をしてると補強が終わり、さっそくインベントリから次元門を取り出し、空間の中心に設置。


「おお、これが次元門?」

「ああ、ここに触れて起動させると……ほら」


起動させると枠の中に見える反対側の景色が、蜃気楼のように揺れる。


「もう繋がったのか?」


俺は頷き一歩踏み出すと身体を半分入れた状態で振り返り。


「ちょっと待っててくれ」

「えっ、お、おい!?」


レバックの言葉を無視して中に入ると、神楽の訓練場に設置した次元門に繋がっており、区切った部屋の中には誰もおらず、出入り口の前に兵士が2人立ってるのを空間感知で把握する。


区切ってる壁は神楽に使われてる素材と同じ物で、出入り口も同じ素材が使われているようだ。

簡単な壁と扉で良いのに。

なんて思いながら出入り口に近付くが扉が開かない。


どうやって開けるんだ?

自動ドアじゃないのか。

出入り口の周辺を見ると扉の横に、以前シュートがリングを当てていた装置を同じ物を発見。

試しにリングを当てると『ピッ』と鳴って扉が横へシュッとスライドして開く。


「うおっ!?」

「何だ!?」

「どうも、ご苦労さん」

「えっ、あれ?」

「あ、キジ丸様?」

「ああ、次元門が繋がったぞ」

「えっ、って事は、北側へ辿り着いたのですか?」

「当然、ちょっと待て、今シュートに連絡するから」


こっちならリングも繋がるはず、と思いリングでシュートに連絡すると。


『おう、キジ丸か、どうした?』

『次元門、繋がったぞ』

『なに!? って事は北側へ行けるって事か!? 待ってろ、すぐ向かう!』


そう言って念話を切られた。

気が早いなぁ。


「あぁ、今将軍を呼んだからすぐ来ると思うよ」

「「はっ!」」


訓練場の中を見回すと、どうやら全員魔力を使えるようになってるようで、魔力制御の訓練をしてたり、魔力で身体強化をして格闘訓練をしていたりと、順調のようだな。


ビシッと出入り口を見張っている2人に、魔力制御は順調か聞くと。


「はい、毎日将軍閣下に鍛えられています」

「自分はまだ、クリーンの生活魔法が出来ません。どうすれば良いのか」

「それは魔力制御が甘いからだろうな。生活魔法は簡単だが魔力制御とイメージが重要だ。そこを重点的に訓練してみろ」

「ありがとうございます!」

「あっ、キジ丸様、自分は……」


と、2人の相談を受けていると10分後、シュートがレインを連れてやって来た。

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