第120話 キジ丸到着。
ギルドで少し騒ぎがあったがその後、登録を済ませた俺はレバックと一緒に昼飯を食べ、少し街の中をドライブしてからホテルへ戻った。
「今日はありがとう、感謝する」
「いや、明日には身分証は出来るから届ける」
「分かった」
レバックとロビーで別れ、部屋に戻ると特殊空間へ転移し、夜まで訓練をする事に。
そして数時間後。
部屋に戻ってシズキの影分身を部屋に残して忍換装しハンゾウになると、昼間の男の影に付けた印へ影渡りで転移。
ここは、牢屋か。
どうやら強制送還はまだされてないようだな。
なんて思いながら影から出て座り込んでる男の背後から、短刀で首を斬る。
男は手で首を押さえながらその場で倒れ、少しゴボゴボと音をさせると絶命。
死んだらすぐ収納し、男に変装させた影分身を出すと今度は、街の外へ転移した。
街から南へ10キロの地点。
山の間に通ってるアスファルトのような道の脇に転移すると俺は、周囲を確認して声を掛ける。
「良いぞ、出て来い」
すると目の前にシュッと姿を現すギンジ。
訓練の途中、便所へ行くのに部屋へ戻った時、ギンジに念話でやりとりをし、夜になったらここで待つように言ってあったのだ。
「大丈夫だったか?」
「はい、魔物はそれほど強くなかったので、それよりここからどこへ向かうんです?」
「この道をずっと行けば街がある」
「街を発見したんですね」
「でだ、ちょっと打ち合わせをしとこうと思ってな」
「打ち合わせ?」
頷いて説明を始める。
ギンジはシズキという女侍の仲間で、魔の領域ではぐれた事にし、途中で俺と合流して一緒に街へ来た事に。
シズキの変装も見せて細かい打ち合わせをすると、さっそく道を走って街へ向かう。
「師匠、シズキさんで街に入ったなら次元門を設置すれば良いのでは?」
横を走りながらギンジがそう言うので、勝手に設置して争いになればマズい事を説明する。
「確かにそれはあり得ますね」
それから暫くしてトンネル内のゲートに到着。
するとゲート横の壁が一部スライドして昼間、車で来た時とは違う兵士が出て来る。
アサルトライフの銃口をこちらに向けながら近づいてくると。
「その場で動くな……何者だ?」
「南の森を超えてやって来た侍のキジ丸です」
「同じく、武術家のギンジです」
「君達か、話しは聞いてる。ゲートを開けたら停まってる車に乗るように、案内する」
「俺達の事を知ってるんですか?」
「ああ、シズキさんから話しは聞いてる」
「シズキも来てるのか」
兵士が手を上げるとゲートが開き、一緒にゲートを潜るとSUVのような車に乗り込むと既に運転席に兵士が乗っていた。
「彼が案内してくれるから大人しくしていてくれ。それと武器は持ち歩かないように、君達も収納空間が使えるのだろ?」
「はい」
刀を収納。
ギンジは素手なので武器は持っていない。
車が走り出して少しすると運転手の兵士が口を開く。
「すみません、今日は時間が時間なので一旦ホテルの方へ案内し、明日の朝、迎えが行きますのでシズキさんと一緒に付いて行って下さい」
「分かりました」
「了解です」
そしてシズキが泊ってるホテルに到着し、部屋に案内されるとシズキの部屋の右隣だった。
「では、ごゆっくりどうぞ」
ホテルマンが去ると俺は、ソファに座って明日の事を考える。
シズキは身分証を貰ったら姿を消して、キジ丸で次元門設置を提案しないとな。
上手く行くかは、明日にならないと分からないが、最悪シュート達だけでもこっちに連れてこれれば良いか。
考え込んでいると部屋に近付く魔力を感知し、ソファから立ち上がって扉に向かうと丁度ノックされたので開けるとそこには、ギンジが立っていた。
「おう、どうした?」
「あっ、訓練をと思いまして」
「ああ、じゃあ特殊空間でやるか」
そう言って部屋に招き入れ、一緒に特殊空間へ転移し、ギンジと共に訓練を始める。
次の日の朝。
朝食を食い終わり、一服してると部屋の通信機が鳴ったので出ると受付からで、迎えが到着したとの事。
シズキの方でもその連絡があったので準備を済ませ、キジ丸とシズキで部屋を出るとギンジも部屋を出て来た。
「よし、行くぞ」
「はい」
俺とシズキとギンジでエレベーターに乗り、ロビーへ向かうとレバックが挨拶をする。
「シズキさん、おはよう」
「うむ、おはよう。レバック殿、彼がキジ丸だ」
「侍のキジ丸です。よろしく」
「そして彼が途中ではぐれた仲間のギンジだ」
「武術家のギンジです。よろしくお願いします」
「特殊警備部のレバックです。よろしくお願いします。じゃあ行こうか」
レバックの先導でホテルを出ると前に停められたセダンっぽい車に乗り込み、さっそく出発。
ちなみに助手席に俺が乗り、後部座席にシズキとギンジだ。
向うのは昨日行った事務所のビルで今日は、正規の身分証を貰える事になってる。
車を走らせて少しするとレバックが口を開いた。
「キジ丸さん、シズキさんに聞いたんですが、南方の事ならあなたに聞いた方が良いと言われまして。シズキさんより詳しいのですか?」
「いや、シズキも同じくらい詳しいですけど、俺の立場が関係してるんじゃないかな?」
「立場? まさかお偉いさんでしたか?」
「いやいや……とも言えないか、カリムス王国の特別顧問をしてるんです」
「国の特別顧問!? それって……大臣並みの役職なのでは?」
「さあ? あっちは王政だからよく分かりません。ただの肩書なので気にしないで下さい」
「は、はあ……分かりました」
時々話をしながら走る事数十分。
レバックの事務所に到着し、昨日と同じように立体駐車場の2階に停めると中に入り、エレベーターで上げって部長の部屋に一直線かと思ったら、今回はそのまま会議室へ通される。
中に入ると既に所長やお偉いさんの3人が集まっていた。
ロの字に設置された長机の対面になるように座り、さっそく聞き取りが始まる。
「君がキジ丸さんだね?」
「はい、侍のキジ丸です」
「武術家のギンジです」
「昨日そちらのシズキさんに聞いたら、詳しい事は君に聞いた方が良いと言われたんだが、カリムス王国の事について聞かせてもらいたい」
「あぁ、その前に……これが俺の身分証明です」
そう言ってリングのステータスを見せる。
「カリムス王国の特別顧問!?」
「大臣並みじゃないか?」
「これはとんだご無礼を」
「いえ、大丈夫です。ホテルまで用意して頂いたので……それでここからが本題なのですが……」
ゴクっと生唾を飲み込む3人とレバック。
「カリムス王国について俺が話すより、直接女王と話をした方が良いと思いまして」
「連絡が取れるのですか?」
「いえ、直接来てもらって話してもらおうかと」
首を傾げる3人とレバック。
「どこかに次元門を設置させて頂きたいんですが、良いでしょうか?」
「次元門?」
「それはいったいどのような?」
「設置?」
そこでレバックが呟く。
「転移装置?」
「そのとおり、転移するための門です」
すると3人が目を見開き、口を開けて固まった。
やっぱ驚く表情を見るのは楽しいね。
さて、次元門設置はさせてもらえるかな?
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