第108話 末裔はチート。
影の中の分身を影渡りでギンジの下へ移動すると、丁度倒れたギンジに追撃をしようと魔物がギンジに迫っていたので、ギンジの影から出るとカウンターで魔物の腹に身体強化と溜気を発動させ、術理を最大限に生かした右拳を打ち込み、弾丸のように魔物を吹っ飛ばした。
本体の俺は吹っ飛ばされたが、分身では魔物を吹っ飛ばしてやったぞ。
「うっ……だ、れ?」
「拙者だ」
装備が新しくなってるからね。
「カッコいいだろ?」
「はは……ゴボッ!」
ギンジが口から血を吐き出す。
すぐさま体内に印を書いて回復術を発動。
これでとりあえずは大丈夫なはず。
「拙者が奴の相手をするから今のうちに行け。決して止まるな」
「はあはあ……分かりました」
ギンジはそう言うと地面に倒れた状態のまま影に潜り、影渡りでその場を離れた。
しかし参ったな。
こっちも同じ魔物とはね。
それにしても……。
そこで魔物が吹っ飛んで行った方角の森から、大きな音と共に土煙が上空へ舞い、木々をなぎ倒しながら物凄い速さで正面から突っ込んで来る魔物。
あのカウンターを受けてもう動けるとは、相当頑丈だな。
まあ、再生持ちだしこれが普通か。
正面から右拳を振り抜いて来たので身体を逸らしながら左手を添え、拳を躱すと同時に右手で直刀を抜きざまに振り下ろし、奴の首を斬り落とす。
続けてスパパパパと身体を細切れにするが、肉片が地面に落ちる前に他の肉片と引っ付き再生していく。
俺はすぐさま跳んで後退する。
ちゃんと魔力を流したのに再生するだと?
再生持ちは、攻撃と共に魔力を流せば再生を阻害出来るはず。
こいつには効かない?
実際再生してるしな。
こいつは、今までのどの魔物よりも厄介だぞ。
その頃、本体でも魔物と戦っていた。
80メートル程離れた場所からお互い一気に走り出し、1秒程でぶつかると奴は右拳を振り抜いて来たので地面を蹴って奴の右側へ一瞬で移動し、変質法を発動させ刀を抜きざまに横一閃。
奴の胴体が真っ二つになるとそこから更に刃を返し、斬り上げて切断した胴体を斜めに切断すると跳んで後退する。
何だ今の手ごたえは?
先程より硬くなってるのか?
切断した身体がドサッと地面に落ちるが切断した他の身体と引っ付こうと、切断面が盛り上がり肉が触手のように伸び始めた。
先程より再生は遅いがこれは……普通の再生じゃない。
変質法で再生出来ないようにしたはずだが、再生が遅くなっただけでまだ再生しようとするとは、どうなってるんだ?
そう言えばゲームの時にも居たな。
再生かと思ったら、他の場所からエネルギーを供給して再生させていた奴が。
こいつもそうなのかも?
だとしたらどこかに本体が?
なんて考えてると上半身が元に戻り、下半身と引っ付こうとしている奴をもう一度変質法を発動させて肉薄し、刀を振り下ろす。
しかし刃が奴の首に数センチ入ると、そこで止まってしまう。
硬い。
そこで上半身と下半身が引っ付き、奴の裏拳を受けて吹っ飛ばされる。
明らかに先程より硬い。
攻撃は変わって無いが……まさかこれが適応?
俺の攻撃に適応したのか?
だとしたらヤバくね?
攻撃をする度に奴は強くなるって事じゃん。
倒すには、一撃で倒さないと再生してまた攻撃が効かなくなるって事だろ?
これは訓練どころじゃないな。
こんなスピードで強くなる魔物、いや、生物は反則だ。
だが一撃で仕留められるか?
首を落としても変質法を使っても再生するんだぞ?
どうやって倒す?
吹っ飛ばされながら考えてると奴が迫って来たので、身体を捻り魔力を纏って木に足を張り付けると丁度奴が目の前に姿を現し、左拳で殴りかかって来た。
木を蹴って跳び、奴の拳を避けながら首に魔糸を巻き付け切断すると共に、身体を引き寄せ奴の背中から刀を胸に突き刺し、流気で魔力を流す。
すぐさま奴の身体を蹴って距離を空け別の木に張り付く。
奴はそのまま地面に落下。
だがすぐさま再生が始まる。
「マジか」
……いや、生物なら何か倒す方法はあるはず。
だがどうすれば良い?
変質法も魔力を流しても再生は、一時的に遅くなるがすぐ再生してしまう。
元に戻った奴が地面を蹴って迫って来たので拳を避けると木が破壊され、メキメキメキと上部がへし折れた。
そこから奴に攻撃せず、暫く奴の攻撃を避けながら観察する。
下手に攻撃をすれば適応されてしまうからな。
奴の攻撃は拳での攻撃かたまに蹴りがあるだけで、避けるのは簡単だ。
しかし、奴の動きが徐々に速くなっている。
何か良い方法は……環境創造?
いや、まだ完全に使いこなせてない。
魔導領域?
デバフを掛けてもすぐ適応されそう。
とにかく出来る事を試してみるしか無いよな。
まずはマナを使った攻撃ならどうなるか。
避けながら地面に誘導すると奴の拳を躱し、マナを練りながら踏み込み奴の胴体を斬る。
先程より簡単に斬れたがまたも再生。
もう一度マナを使った斬撃を試すが、やはり硬くなっていた。
すると次の瞬間、奴の動きが急に速くなり、腹を殴られ、身体が止まると顔面を思いっきり殴られ、弾丸のように森の中を吹っ飛んで行く。
俺はすぐさま全身から魔糸を放ち、周囲の木に張り付けピタッと止まる。
が、今の攻撃はかなり効いた。
「……良いね。ふぅ~」
こんな強い奴が居るとは、流石魔の領域。
それにしてもこんな魔物が外に出て来たら、世界は終わりだぞ?
攻撃するたびに強くなるし、再生しまくって死なない。
普通の奴なら絶望するだろうな。
……うむ、奴を倒すにはあれしか無いか。
はぁ~、あまり使いたくないんだけどなぁ。
奴が地面を蹴って土煙を上げながら迫り、奴の拳が俺の顔面に当たる直前、ピタッと動きを止めた。
俺は顔を上げ奴を見ながら告げる。
「これで終わりだ」
影明流奥義・五式滅殺
その瞬間、俺を中心にした半径20メートル範囲にある物全てにキラキラと金色の光が微かに纏わり付くと一瞬で世界が真っ白になり、色が戻ってくるとそこには、半径20メートル範囲にあった木々や草などが綺麗に無くなり、森の中に綺麗な円形の広場が出来上がった。
ボコボコしていた地面は綺麗に整地されたように平らで、一部が範囲に入っていたようで綺麗にその部分が無くなっている木まである。
「ふぅ~……」
魔物も綺麗に無くなった。
ゲームで使った時は、使用後暫く動けなかったが今回は、マナを3分の1程しかつかっていないので余裕はあるな。
念のため、激化法を乗せたけど、必要無かったかも?
さて、そろそろ分身の方も終わる。
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