第68話 気付けば。
事件を解決して街をブラつき、時間になったので店に行ってスキラスの買い取り金を受け取ると路地裏へ入り、特殊空間へ転移し、次元エネルギーについての研究を続けた。
エーテルで試すと次元エネルギーは安定しているので次は、そこから混ざっている別次元のエネルギーを抽出しないといけないのだ。
「ん~……」
腕にエーテルに包んだ次元エネルギーを留め、どうすれば良いのか考えるが中々思いつかない。
そのまま全身に巡らせたりしながら考えていると、エムが次元エネルギーというか次元コアのエネルギーを纏っていた事を思い出す。
身体に流せる次元コアのエネルギーは、次元エネルギーになるのかな?
変えてしまっても別次元のエネルギーが混ざってるなら一旦その状態にした方が、調べやすいかも?
しかし、あの黄緑の蛍光色にするにはどうすれば良いのか……ゼギアのコアで試してみるか。
さっそく土で容器を作り、そこへインベントリに残っていた魔石を砕いて水に浸ける。
そして次元コアをその液体に浸け、暫く放置するとゼギアコアの完成!
さっそく空色のコアに触れ、エネルギーを自分の中に流すと全身が軋むように痛み、全身の骨がバキバキに折れてしまった。
地面に倒れたままエネルギーを放出し、全身を回復。
ゼギアを動かすエネルギーだもんなぁ。
人には適してないか。
でも、次元エネルギーだと消滅するのにゼギアコアにすると骨が折れるんだな。
この変化も面白い……変化?
「あっ」
ガバッと身体を起こし、忘れていた事を思い出す。
俺にはユニークスキルがあるじゃん。
五法一術の中にある『変質法』というユニークスキルが!
この変質法でエネルギーの質を変えれば……よし。
スキラスのコアを取り出し、さっそくコアに触れて変質法を試す事に。
コアに触れ、イメージを固める。
触れても消滅せず安定した状態……。
そして変質法を発動。
するとコアの色が、銀色に変化した。
「成功?」
コアのエネルギーを自分に流してみると、すんなり身体に流れ込み、痛くなったり骨が折れたりもせず、腕を通って身体全体に巡らせたが特に変化は無い。
次にそのエネルギーに意識を集中させ、その中にある別のエネルギーを探る。
だがあまりにも混ざり過ぎており、判別が出来ないようだ。
「うむ……」
俺はエネルギーをコアに戻し、別のコアを取り出して実験してみる事に。
変質法を使えば、混ざっているエネルギーを分離出来るのでは? と考えたのだ。
その考えは正しいようで、真ん中が空色で外側がエメラルドグリーンだったコアの色が、左が青色で右がエメラルドグリーンに分かれた。
「なるほど」
コアに2色ある事に違和感があったけど、最初から次元エネルギーと別次元のエネルギーは見分けが出来ていたんだな。
おそらくエメラルドグリーンが別次元のエネルギーだろう。
これなら高炉を停止……は、無理っぽい。
この方法は、コアだから出来たが高炉だと、エネルギーの量が桁違いで全てを変質法で変えるのは難しそうだ。
それに高炉だと、次元エネルギーも別次元のエネルギーも増え続けてるみたいな事を言ってたよな?
増え続ける物を変質し続けるのは無理だし、かと言って増え続けるのを止める方法も思いつかないんだよね。
でもこの変質法を使ったやり方は使えるかも?
もっといろいろ試してみるか。
と思い、変質法を使っていろいろ試してみる。
そんな作業をしていると頭の中に声が聞こえてきた。
『おーい、キジ丸ー、そろそろ出発の時間だぞー』
「ん? ……あっ、使い魔か」
俺は作業を止め、散らかってる物を全て収納し、シュートの家に転移。
玄関で靴を脱ぎリビングへ行くと、シュートがいつでも出られる格好をして待っていた。
「お前、ずっと籠ってたのか?」
「あぁ~、丸一日篭ってたな。もう出られるぞ」
「飯は?」
「食ってない。向かう途中で食うよ」
「じゃあ行くか」
靴を履いて一応全身をクリーンで綺麗にし、シュートと家を出るとエレベーターで地上へ向かい、正面玄関から出る。
シュートの車で行かないのか聞くと、魔導列車に乗るから今回はタクシーで行くそうだ。
駅に車を停めておける場所が無いんだとさ。
既に連絡してタクシーを呼んでいたようで出てすぐの所に、青い車のタクシーが停まっており、それに乗り込む。
シュートが運転手に「中央駅まで」と伝え、車が出ると俺は、インベントリからサンドイッチを取り出し、簡単に朝食を済ませる。
「寝てねぇんじゃね?」
「まあ、寝てないけど大丈夫」
ゲームの時に睡眠耐性を習得してるからな。
数日は寝ずに動けるぞ。
ちなみに空腹耐性もある。
「ってかシュートも行くんだ」
エインヘリヤルのアジト。
「当然、エインヘリヤルはテロ組織と変わらないからな」
「テロか……アキオ以外のメンバーは?」
「俺とキジ丸だけだ」
「えっ……少なくね?」
「行くところは他国だぞ? 大勢で行ける訳無いだろ?」
確かに、俺納得。
「外務大臣も連れて行こうかと思ったが、お忍びで行ってちゃちゃっと終わらせる方針に決まった」
「外務大臣……外交か」
まあ、そうしたらいろいろ面倒だろうしな。
こっそり行って済ませる方が楽だよね。
「って事は、アジトに乗り込むのは俺達だけって事か」
「ああ、あっちの警察や軍に協力要請するといろいろ面倒らしい。主にレインが」
「求婚の件か、借りは作れないって訳ね」
なんて話をしてると駅が見えてきた。
スカイツリーより高い建物で下層が大きく10階程から細くなってる。
それよりもその建物に違和感が。
「なあ、あれが駅だよな?」
「ああ」
「……線路は?」
建物から左右に何も伸びていないのだ。
それもそのはず。
「地下にある」
まさかの地下鉄。
もしやと思い聞くと、地上を走ってる線路は無いそうで、街中も全て地下を通っている。
そして隣国へ行くための線路も、全て地下を通ってるとの事。
その名を。
『ディーライン』と呼ぶらしい。
魔導列車。
楽しみだな!
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