第55話 これからどうするのか?
最上階からレイン達とシュート達が居る所へ向かうと、大量のスキラスが居たのでとりあえず、轟雷雨を発動させて始末し、数を減らしたところで分身のハンゾウを使ってシュート達を回収し、そのまま飛空艇まで戻る事に。
影の中でシュートがゼギア部隊に撤退の指示を出し、皆が船まで戻る。
ゼギア部隊に被害は無く、迫る大量のスキラスを仕留めたようだ。
影渡りで船の塔の最上階まで戻ると皆を影から出す。
「皆大丈夫か?」
「ああ、ハンゾウがもう少し遅かったらヤバかったな」
「数が多すぎるぜ」
「ラメリ、大丈夫か?」
「ええ、あなたも大丈夫?」
「問題無い」
「前回よりスキラスの数が多かったなぁ」
「あの数に囲まれたら、全ての式神を出しても無理かも?」
護衛の軍人は、何も言わずレインの背後に立ち、護衛を続ける。
将軍のシュートが居るからちゃんとしてるのかな?
それにしても、マジでスキラスの数が半端なかったよ。
高炉が生み出し続けてる影響だろう。
「で? 高炉は停められたのか?」
シュートの問いにレインは、首を横に振る。
「座って話そうか、何があったのか今後どうするのか、全部話すわ」
全員頷いてソファに座り、レインがインベントリからお茶を出して一旦落ち着くと、高炉に到着してからの事を皆に話した。
「……で、今に至る訳や」
「なるほど、それでその警備ロボがそいつと?」
シュート達が俺の背後に立つ、D1を見て言う。
そう、最上階から撤退する時、D1も連れて来たのだ。
今は何も覚えていないが、何か思い出すかもしれない。
そのために連れて来たんだけど……。
『ここはどこ? 僕は……』
「元プレイヤーの可能性が高いって?」
アキオに聞かれたので首を横に振り、プレイヤーの可能性があるのはブラファで、D1は、過去に生きていた『誰か』という事しか分かっていない事を説明するとサイオウが。
「でも、記憶が無いんだろ?」
「何かが切っ掛けで思い出すかもしれないだろ? そうすれば、高炉を停止させる手がかりになるかも?」
「そんな考えがあったんや。でも、それとは別にこっちでも、停める方法を調べなアカンな」
「だな、そいつが思い出すのを待ってたらいつになるか」
「それは当然そうだ……それで俺は、街に戻ったら古代都市を超えるための道を探す事にする」
そう言うと全員黙ったまま俺を見るので続けて話す。
「俺とハンゾウだけなら古代都市を超えられるが、それだとシュート達や他にも北へ行きたいと思ってる人は、行けないだろ? だから誰でも超えられるルートを探ろうと思ってな」
「……エインヘリヤル」
シュートがボソッと呟くと、全員の視線を集める。
「そのエインヘリヤルって奴らが北のヴァルハラって国と繋がってるなら、北へ行く方法があるって事だな?」
「いや、奴らは忍者だ。忍者として訓練された奴らなら、古代都市を超えるのは簡単だろう。まあ、それでもかなり厳しいと思うけど」
影渡りが出来るなら簡単だが高炉より北へ行くには、魔力に縛りがある、簡単に超えられるのかは微妙だ。
俺は行けるけどね。
……ん?
そこで俺は、シュート達が普通に戦っていた事に疑問を抱く。
魔力が上手く使えないはずなのになぜ戦えたのか?
その事を聞くと代わりにレインが答えた。
「あぁ、あの魔力が使われへんようになるのは、あの中央の建物付近と上空、あと東西にも次元エネルギーっちゅうのが出てて、北と南を分けてる状態やね」
って事は、街中の地上を行けば、エインヘリヤル達は普通に魔力を使えるって事か、それなら忍者であるあいつらが簡単に街を超えられる事にも納得出来るな。
「ただし、スキラスの中には塔と同じエネルギーを放って魔力を使えんようにする個体もおるから地上もほぼ同じ状態やと思うで」
そんな個体が居るのか。
「以前話しただろ? 覚醒したスキラス。それがそうだ」
「あぁ、言ってたな」
次元エネルギーか……それとブラファは、混在してる別次元のエネルギーが暴走の原因だと言ってたな。
その事をレインに今後どうするのか聞くと。
「そうやな。とりあえず混在してるエネルギーだけを抽出して調べる必要があるね」
「サンプルはどうするんですか?」
ミツキの問に一瞬皆が固まったので俺が答える。
「スキラスのコアにも同じエネルギーが混ざってるはずだ。それを抽出すれば良いんじゃね?」
「えっ、って事は街中で使われてるコアにも、そのエネルギーがあっていつか影響が出る可能性があるって事ですか?」
「いや、スキラスも覚醒しないと放出しないらしいから、何か切っ掛けが無いと出さないと思うぞ?」
そう言うと「なるほど」と言って考え込むミツキ。
そんな話をしているとサイオウとラメリが、息子から連絡があり、席を外すと言ってエレベーターに乗り、部屋を出て行く。
「はぁ~、今回こそ停止させるつもりやったのに、まさかこんな事になるとはなぁ」
レインがそう言いながらソファにもたれ掛かり、ズルズルと滑ってダラ~っとする。
そこでふとD1を見ると、部屋の中をあっちこっち見て回っていた。
「D1、どうした? そんなに珍しいか?」
すると振り返り、首を傾げて答える。
『この造りが面白い。面白い?』
「なんやD1は、こういう船が好きなん?」
『分からない。でも、僕も作ってみたい』
「飛空艇をかいな!? 生きてた頃は技術者やったんちゃうん?」
『技術者? ……分からない』
少し俯くD1。
レインとのやり取りを見ながら俺は、思考を巡らせていた。
警備ロボに入った魂、おそらくは大昔に死んだ人の死霊が入ってるはず。
経緯は分からないが、死霊なら死霊術でどうにか出来ないか?
死霊の記憶を戻したり、生前の状態に戻したり……いや、俺の死霊術じゃ無理だな。
死んで間もない死霊なら俺でも話を聞けるが、時間が経って記憶が薄れてるなら無理か……死霊術師が居れば出来そうだけど。
「レイン、死霊術師ってカリムス王国に居る?」
「死霊術師? あぁ~……おったっけ?」
レインがアキオとシュートに問うと2人は、少し考えてから「聞いた事無い」と答える。
死霊の記憶を戻すなら、死霊術師の上位職じゃないと無理だろう。
初期の死霊術師が出来るなら俺でも出来るからな。
こんな時、アベルが居れば良いんだけど。
居るとしたら死の国カラトナがあった辺りに居るはず。
デスペナ受けて訓練してる最中だって言ってたし、その状態で国から出るなんて事は無いと思う。
だとしたらここから……北北東の辺りか?
どっちみち古代都市を超えないと辿り着けないな。
その後、少し話をした後俺達は、捕らえたエインヘリヤルの女に話を聞くため、場所を船の中にある頑丈な牢屋へ移る事に。
どんな話が聞けるか、しっかり心眼で視てやる。
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