第51話 警備システム。

空間に縛りがある事で、レイン、ミツキ、ソウ、護衛の軍人2人は、魔力が使えない状態となった。

これで敵が出て来たらマズいと思ってると、柱を燃やした影響か俺達を囲むように、金属素材で出来ている床が盛り上がり、大量の人型ロボットが姿を現す。


出て来たらヤバいと思ってたら大量の敵。

まあ、攻撃したから警備システムが作動してもおかしくはないよね。


「なんやこれ!? 囲まれたで!?」

「何も出来ない状態でこれは、マズいですね」

「すみません主様、この空間では私も役に立てないようです」

「ソウ、あなたは一旦解除しておくね。魔力を使えないんじゃ戦えないでしょ?」

「主様は?」

「私は……師匠が居るから大丈夫よ」

「キジ丸殿、どうか主様を……」

「任せろ、と言うかミツキ、お前は縛りを解けば戦えるだろ」

「えっ? ……あっ」

「まあ、ここはさっさと終わらせるために俺がやるから全員、影の中に入ってろ。ハンゾウ」

「はっ!」


俺の背後に忍者の分身を出し、全員を影に沈めて行く。


「キジ丸さん、死んだらアカンで?」

「師匠……」

「誰が死ぬか……ミツキ、戦いをしっかり見とけ、刀での戦い方を見せてやる」

「はい!」


そこで全員、完全に影の中へ沈む。

ハンゾウも一緒にね。

さて、こいつらは良い訓練相手になるかな?



周囲に現れたロボット。

見た目は、身長約2メートルで床と同じ銀のような鉄のような色をした骨格と頭。

肉は付いておらず、上半身は金属の塊といったがっしりした見た目だ。


顔は、髪はなくマネキンのようになっており、口鼻は無く目だけが付いているが真っ黒な瞳をしている。

おそらくレンズだろう。

全身骨格だけなのでかなり身軽そうに見えるな。


『侵入者を排除せよ』

『侵入者を排除せよ』


機械音声で全てのロボットがそう言い、ガシャガシャと硬い足で床を踏む音を響かせながら近づいて来る。


影渡りでこの空間に入った時に反応はしなかったが、遁術を使ったら反応をしたって事は、魔力に反応するのか?

この空間をずっと監視してる訳じゃない?

普通大事な場所なら常に監視すると思うが……まさか。


そこでロボットが俺から15メートル程の距離まで来ると、一斉に走り出して迫って来た。

俺は居合切りの構えを取り、一息吐くと技を発動。


影明流・皇庭


その瞬間、周囲に迫っていたロボット達にドンッ!! と重力が掛かり、床に押し潰されると思ったが、動きが遅くなる程度でそのまま迫って来るロボット達。

それを見た俺は、自然と笑みを浮かべる。


床もへこんでいない。

これなら、全力でやっても大丈夫そうだな。


こういう建物内で皇庭を発動する際、重力を掛け過ぎると建物が崩壊する恐れがあるので、手加減をして発動するがこの建物は、かなり頑丈に作られてるようだ。


「ならもう一段階上げるぞ?」


そう言って加重を1段上げるた瞬間、俺に迫っていたロボット達はその場で床に叩き付けられ、張り付け状態になる。

流石全身金属の骨格だ。

潰れたりはしないな。


それでも、ギシギシと軋む音をさせ、なんとか立ち上がろうとするロボット達。

俺はその場で、刀を抜きざまに一回転し一閃、そして納刀。


すると次の瞬間、床に張り付け状態のロボット達は、俺から周囲へ放たれた斬撃により、外側へ向かってロボット達が切断されてバラバラに弾かれていく。


「まだまだ甘いか」


その状態を見て俺は、綺麗に斬れなかった事を反省。

本来皇庭の最後は、斬撃を飛ばして一刀両断にする技だが今回は、一振りの斬撃に複数の斬撃を加えた。


それによって本当は、その場で細切れになる予定だったがある程度切断してバラバラになり弾かれた。

これは斬撃が甘いって事だ。

もっと精進しないとね。



全てのロボットがバラバラになったところで、ふと近くの残骸を見ると丁度、残骸が溶けて液体金属になると床に沁み込み、残骸が綺麗に無くなるのを目撃。


「液体金属……もしかして……やっぱり」


ロボット達の残骸が綺麗に無くなると、新たに床からロボットが大量に出てきた。

これはいくら斬っても、無限に出て来そうだな。

嫌な警備システムだ。


さて、この状況をどうするか……警備システムを止める方法はあるのか?

……あの柱。

結界を張ってる柱を破壊すれば、ロボット達は消えるかな?

いや、考えてる暇は無い。

とりあえず柱を破壊してみよう。


俺は影からハンゾウを出し、ついでに影分身を10体作り出し、ハンゾウの影から出して散開させる。


「ハンゾウ、ロボットは無視して全ての柱を破壊しろ」

「承知」


そう言ってその場から姿を消すハンゾウ。

と言っても、俺が動かしてるんだけどね。

影の中でミツキやレイン達が見てるので、演技をしないといけないのだ。



分身で柱に近くまで縮地へ行くと、魔糸を柱に巻き付け一気に細切れにする。

他の影分身でも同じようにして柱を破壊していく。

するとロボット達が分身達を追い始めるが、縮地で移動している分身達には追い付けず。

ものの1分も経たない内に全ての柱を破壊。


よし、これで結界は解けたはず。

後はロボット達だが……ん?


柱を全て破壊したらロボット達は、その場で動きを止めるとドロッと液体になり、その液体が一か所に集まり始めていた。


「おいおい、マジか」


徐々に大きな液体金属の溜まりが出来、中心から液体が盛り上がると先程のロボットを大きくしたような姿へと変わっていく。


完全に姿を現すと全長約12メートル程ある巨大なロボットになり、細い腕と足だったのに今回は、全身に銀色の筋繊維のようなものを全身に纏い、筋肉を持つロボットになっていた。

黒かった瞳は赤く光り、動きが人間に近くなっている。


『警備システムの停止を確認、これより、殲滅モードに移行します』

「殲滅?」


するとロボットは一歩踏み出した所で動きをピタッと止め、赤い瞳が点滅して黒に戻った。


なんだ?

停止したのか?


しかしロボットは頭を動かし周囲を見回すと、機械音声で言葉を発した。


『これは……どうなってるの?』


それは俺が聞きたい。

人工知能か?

とりあえず……斬る?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る