第42話 情報漏れ。
シュートの部屋に到着し、部屋に入るとソファに座って話す事に。
それぞれ1人でソファに座り、シュートが用意したお茶を飲みながらアキオがまず、遠征の時に襲撃がある可能性を話す。
「やっぱりレインが狙いなのか?」
「それは分からない。潜入捜査させてる部下からの情報だと、女王が遠征に行く情報が裏では既に回ってるそうだ」
確かな情報筋って潜入捜査官の事か。
裏組織に潜入させてるのかな?
あれって精神がやられて悪に走る人も居るらしいけど。
「やっぱりか」
「可能性は高い」
「何の話?」
俺が聞くとシュートが答える。
「政府機関にスパイが居るって話しだ」
「一応全員身元はハッキリしてるが、それが偽装の可能性もある」
魔法があるこの世界でスパイか……それより。
「盗聴の可能性は? あと覗きの可能性もあると思うけど?」
「いや、この神楽にはそういう類は出来ないようになってる」
「本当に? 完璧に無いと言い切れるかな?」
「そう言われると俺が作った訳じゃないからなぁ。だがレインがそれは無いって言い切ってたぞ?」
「アキオはどう思う? 盗聴や覗きの防犯をしてるから無い?」
俺の問にアキオは、腕を組んで少し考えてから答えた。
「ん~、可能性はあると思う」
「その心は?」
「潜入の方が難しいからだ」
俺もそう思う。
この神楽の警備は厳重だ。
中に入れる者は、身元がハッキリした者しか入れない。
入る時に必ずIDをチェックする。
魔法のあるこの世界で偽装を見破るのは、地球よりも簡単だろう。
そんな環境に潜入は、考えにくい。
なら情報をどうやって得ているのか?
それは使い魔や式紙などを使えば、かなり簡単に行える。
虫程の使い魔や式紙なら発見は難しいだろう。
結界を張っていても、人ではない限り通り抜ける方法はいくらでもあるしな。
そこで俺は試しに、空間感知で周囲を探る。
「……ん?」
「どうした?」
「いや、部屋の中に虫が1匹居るなと思って」
「侵入者か!?」
「その虫じゃなくて、本当の虫?」
「なぜ疑問形なんだよ」
俺は体内に印を書いて不動金剛術を発動させ、部屋の隅に居る虫を動けなくし、席を立って壁際へ歩て行くとヒョイっと床で固まってる虫を摘むとじっくり観察しながらソファに戻った。
「見た目は完全に虫だけど……消えた」
プチっと潰すと霧のように四散して消滅。
「使い魔だな」
「マジかよ」
「これはマズいぞ? いつから入られてるのか、どんな情報が漏れてるのか分かんねぇ」
「とりあえずレインに報告して対策を講じないと」
シュートはすぐレインにリングで連絡し、念話で使い魔が入り込んでいる事を報告する。
「俺は一旦署に戻る。警察内部にも使い魔が入り込んでる可能性があるからな」
そう言ってアキオが席を立つのでアドバイスを1つ。
「とりあえず警察署で、魔力を周囲に放てば使い魔は消滅するよ」
「本当か?」
「虫くらいの使い魔なら、見聞きする程度の魔力しか籠ってないからね。それより多い魔力に当たると簡単に消滅する」
「助かる」
そう言ってアキオは部屋を出て行った。
シュートも報告が終わると先程の方法は、虫以外の使い魔には効かないのか聞かれたので頷く。
「ネズミくらいになるとちゃんと衝撃を与えないと、消えないだろうな」
「まあこれで、虫の使い魔対策はなんとかなるだろう」
そこで突然、あっちこっちから大きな魔力の反応を感知。
「何だ?」
「あぁ、レインが魔力を使える者にやらせたんだろ」
さっそく虫の使い魔対策をしたのか、早いな。
するとシュートは、情報漏れの件と襲撃の可能性がある事で、レインと直接話し合う事になったらしく、俺も一緒に来るかと言うので断る。
「今日俺が来たのは、シュートの武器を預かるためだ」
「あぁ、メンテしてくれるって言ってたな……じゃあ頼む」
インベントリから取り出した剣をテーブルに置いたので、手に持ち少し抜いて刃を見るとかなり使い込まれていた。
これを下手な奴が使っていたら、既に折れてる程だ。
「この状態でよく今まで持ったな」
「魔力で耐久力を極限まで上げてたんだ」
なるほど、それで微かな魔力が刃に残ってるのか。
この状態だと殆ど魔剣だね。
「任せろ、新品同様にしてやる。もしかしたら更に性能が上がるかも?」
「マジかよ」
「まあ、楽しみにしといてくれ。今日中にやっておく」
「頼んだ」
そう言って一緒に部屋を出て俺は、神楽を後にした。
その後俺は、荒野に転移してシュートの武器のメンテを行い。
夜は荒野で訓練、翌日はミツキの訓練に付き合って自分の訓練もする。
その日の夜は、シュートも一緒に訓練をしてからベッドで眠りに入る。
武器は、ちゃんと新品同様にして性能もちょっとだけアップした事に、シュートは喜んでいた。
そして出発の朝。
ベッドで目を覚ました俺は、クリーンで全身を綺麗にしてからダイニングへ向かうといつもどおりシュートが朝食を作っていたのでそれを頂き、食後の一服をしたらシュートの車で一緒に神楽へ向かう。
神楽へ向かう車の中で。
「なあ、古代都市までどうやって行くんだ? ゼギアに乗って?」
「いや、違う」
「車か? ってか、古代都市までどれくらい掛かるんだ?」
「車だとだいたい3週間くらいかな?」
滅茶苦茶遠い。
そう言えば1200キロとか言ってたっけ?
もう、どれくらいの距離かも想像出来ないぞ。
結局どうやって行くのかシュートは言わないまま、神楽に到着するとエレベーターで行った事の無い階層へ上がる。
「……200階?」
エレベーターの表示されてる階層を見ていると、まだまだ上がっていく。
すると数秒後、223階で止まった。
降りると数十メートルの廊下が続いており、正面に扉があるだけで他に出入り口は一切無い。
シュートに付いて扉の中に入るとそこは、天井まで50メートル程あり、奥行きは約300メートル以上。
幅も同じくらいある広い空間だ。
そしてその広場の中心に、それはあった。
「もしかしてあれで行く?」
「ああ、スゲーだろ?」
「あぁ……マジでスゲー」
俺は立ち止まり、それを見上げる。
地球では架空の乗り物だった物。
そう『飛空艇(ひくうてい)』だ。
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