第39話 慣れた事をやるだけ。

3人にそれぞれ職業スキルを教えてもらう事に。

ちなみに3人は、魔力を使えなかったが俺の講義を受けた者に教えてもらい、使えるようになったそうだ。


呪文師はそのまま【呪文】というスキルを使うらしいがゲームの時は、メニューで呪文を設定して使っていたが現実になった今は、魔力で呪文を設定し、自分の中に保管するとの事。


「まあ、難しいと思うけど、慣れれば簡単だね」

「……出来た」

「早い!? マジでもう出来たの!?」


俺は縛りの要領で光りの呪文を保管したのだ。


『明るくなれ』

「うわっ!?」


魔力を込めて呪文を唱えると、ゴウの頭が明るくなった。

面白いな呪文師。


「マジで使えてる……流石最強プレイヤー」

「じゃあ次は、糸操術っすね」


糸操術は、糸に魔力を流して操って戦う職業で糸は、ワイヤーでも細い物なら何でも操れるらしい。

しかし俺は、魔力で作った糸を使ってるので操るのは簡単だ。

なので、他に何か出来る事はあるのか聞くと。


「そうっすね。糸を自動で動かす事も出来るっすが、それも出来ます?」

「自動で? 操らなくても勝手に動くって事?」

「はい、罠や多数の相手をする時に使用するっす」

「それは是非教えてくれ」

「自動で動かすのは、糸にある程度の命令を入れた魔力を流せば良いっすがこれは、魔力制御が低いと出来ないっす」

「……よし出来たぞ」

「マジっすか!?」


俺はインベントリから糸を取り出し、分身を自動で動かす時の要領で糸に命令を出すと自動で糸が動いて城の形を空中に描く。


「魔力制御が難しいのに……これが最強」

「じゃあ最後は、俺の人形術だな」

「人形術って人形を作らないといけないんだよな?」

「練習なら土で作った人形でも大丈夫。ちゃんと人形で戦うならしっかり心を込めて作らないといけないけどな」


ならばと俺は、魔導書を取り出し、床に魔法陣を展開させると全長50センチ程のゴーレムを作る。

見ためは、デッサン人形のようにシュッとしたゴーレムだ。


「キジ丸さんって侍だよな?」


ポカーンとゴーレムを見ながら聞いてくるジュン。


「魔導書を貰ったから魔法が使えるんだ」

「スゲー……と、人形を用意したなら人形と自分を魔力で繋ぐんだがこれが……だよな」


ジュンが言ったそばから俺は、ゴーレムと自分を魔力で繋ぎ、小さいゴーレムでシャドウボクシングを始める。

分身と感覚共有をしてるので慣れたもんだ。

使い魔や式紙とも繋ぐしね。


この人形を使ってシャドウボクシングをして思ったが、皮膚感覚は繋がらないけど動きは完全に思念操作したとおりに動くので、暇つぶしには丁度良いかもしれない。

後は、車の移動中でも身体の動きを確かめられるな。


「良いなこれ、ありがとう」

「それにしても、マジで他の職業スキルを使えるんすね」

「ゲームの時はシステムがあったが今は、殆どのスキルは魔力制御で出来るからな」

「なあ、俺達もお互いのスキルを習得しようぜ」

「そうっすね。人形を使えるようになったら、人形を戦わせて遊べるっすよ」

「まあ、遊びの人形を作れば、それも良いかもな」


なんて3人が話している横で俺は、ゴーレムでシュートに殴りかかるが、子供の相手をするように余裕で笑いながら避け、受け流す。


「面白いな。俺も人形を作ってもらうか……って、そろそろ刀気を教えてくれよ」

「よし、3人にも教えてやる。全員並べ」


そう言ってゴーレムを解除するとその場で崩れ、全員を並べさせる。

なぜかミツキの式神のソウまで一緒に並んでるのは、触れないでおこう。



全員が聞く体勢になったので告げる。


「刀気とは、武器から発する気で相手を斬る、または吹っ飛ばす事が出来る技だ」


そこでタツロウが手を上げて口を開く。


「スキルじゃないんっすか?」

「違う。これは住人の侍が使っていた技だ。良いか? スキルと違って制御がかなり難しいから覚悟するように……ではまず初めに、威圧を出してもらう」


すると全員が首を傾げ、シュートが言う。


「威圧って相手を威圧するようにすれば良いのか?」

「あれっ? 威圧を知らない?」


ゲームの時、シュートに使った事無かったっけ?

……無いか。


「GFWに威圧なんてスキル無かっただろ?」

「無いですね」


シュートとミツキの言葉にウンウンと頷く3人。

……そう言えば、威圧を使ってるプレイヤーを、自分以外に見た事が無いな。

住人は使ってたけど。

威圧は、神気(マナ)を使う事が多いが魔力でも出来る。

魔力と神気だとやり方が異なるけどね。


「威圧は神気……自分のマナに意志と覚悟を乗せて放つ事で出来るんだがこれは、制御がかなり難しいので今回は、魔力を使った威圧にする、とその前に、ちょっと待っててくれ」

「どうした?」

「いやちょっと確かめる」


神気を使った刀気はよくやってたけど、魔力を使った刀気はやった事が無い。

なのでどうなるのか分かんない事を教えるのは、危険すぎるのだ。


後ろを向いて同じ身長のゴーレムを作り出すと刀を抜いて、魔力による威圧を刀に流す。

するとその瞬間、ゴーレムの全身に細かい無数の傷が生まれた。


斬撃の雨に撃たれたように、いろんな角度で斬られた傷。

神気による刀気の場合は、一撃でズバッと斬るような刀気だったが、魔力だと威力は弱いが数が多くなるのか。

……いや、これをもっと鍛えれば、近づく周囲の敵を細切れに出来るのでは?

今後の訓練に加えよう。



確認が終わったのでゴーレムを解除し、振り返るとミツキ以外の全員が目を見開いて固まっていた。


「悪い待たせたな。じゃあ魔力で行う威圧について説明する」

「いやいやちょっと待て、なんだ今の? 何もしてないのにゴーレムが斬れまくってたぞ? あれが刀気か?」

「そうだけど?」


シュートの問にそう答えるとミツキが、目をキラキラさせながら言う。


「見えない斬撃で無数の敵を斬る! 最高にカッコいい!!」

「とりあえず、魔力で威圧を出せるようになったらそれを、武器に流せば出来るようになる」

「威圧か……出来てる?」

「まったく何も感じないっすよ?」

「……どうだ?」

「プッハハハハハハハ!? なんすかその顔は!?」

「ジュン、ただ睨んでるだけだろそれ」

「威圧してんだよ」

「変顔っすね!」

「何だと!? だったら……あれ?」

「ん? なんか変っすね。身体が勝手に震えるっす」

「俺も」


3人が騒ぎ始めたので魔力による威圧を放ってみた。

魔力の威圧は、心より身体が先に反応をするのだ。

逆に神気の場合は、先に心が反応する。


シュートもミツキも身体が震えてる事に首を傾げるが、理解が出来てないようだな。


「それが魔力による威圧だ。魔力による威圧は……」


そうして俺は、威圧の方法を教えた。

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