閑話2:スナイパー。

Side:スナイパーの男



上からの指示である人物の始末に向かった俺達は、奴らを誘導して人通りが無い道へと誘い込んだ。


しかし、事故車を装い横転した車の手前で停まり、車から降りて来ない。

感づかれたか?

と思っていたら2人同時に車を降り、周囲を見回す。

やはり何か気付かれた?


……もう少し前だ、そう……今!!

俺はスナイパーライフルの引き金を引きプシュッ!! と弾丸が放たれ、黒髪の男の胸に着弾。


「チッ」


心臓を狙ったが当たる直前、動かれてしまった。

運の良い奴だ。

俺は続けてもう1人の頭を狙って撃つ!

男は頭から血飛沫を上げ倒れたので、今度は仕留めただろう。


その後、俺の攻撃を合図に仲間が銃撃を始めるが黒髪は、素早い動きで銃撃を避けると車の陰に隠れる。


「馬鹿が」


後方に居る仲間の銃撃を受けた瞬間黒髪の男が姿を消し、見失ってしまう。

どこだ?

まったく見えなかったぞ?

車の下に隠れたか?


と、暫く探していると男が姿を現し、仲間の銃撃を浴びる。


「はは、これで……っ!? なん…だと……」


生身の身体で銃弾を弾いてる!?

魔鉱弾だぞ!?

スキラスさえ貫通する銃弾を弾く……化け物か。

いや、俺の弾は効いた。

止まってる今の内に仕留める。


腕をクロスして銃弾の雨を浴びている黒髪に照準を合わせ撃つ!


俺はこの時、初めて英雄と呼ばれる者達の事を実感した。

先程奴を貫いたスナイパーライフルの弾丸は、特殊加工がされており、貫通力は仲間が使っている物より数百倍上だ。

なのに奴の頭に当たったはずの弾丸は、奴の頭に弾かれてしまう事に。


さっきは効いたのになぜ……英雄の力。

血は流してるが表面だけの傷だな。


その後は、動きを目で追えない程の速さで仲間を吹っ飛ばしていく男。

そして数分後、奴を囲った仲間全員の首がその場で地面に落ちて血を噴き出す光景を目の当たりにし、俺はすぐさま逃げる準備をしようとした瞬間、糸のような物で全身を巻かれ、気付けば黒髪の男の近くで道路に寝そべっていた。


「ハンゾウありがとう……さて、じっくり話を聞こうか?」


男がそう言ってニヤっと笑う。

すると俺の下に光る文字のようなものが現れ、気付けば周囲の景色がドーム状になった洞窟のような空間に変わる。


何だ?

何をした?

幻覚か?


「お楽しみの時間だ」


そう言ってニヤっと笑う黒髪の男。

俺達は訓練を受けてるんだ。

拷問されようが何をされようが、一切何も話さない!

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