第34話 特殊スーツ。

空間感知と魔力感知でシュートが生きてる事は、確認済みだ。

撃たれる瞬間、俺の声に反応して微かに逸らした。

流石将軍。


俺は空間感知と気配察知、そして魔力感知を全力で発動。

すると微かな魔力が大量に迫るのを感知し、後方へ跳んで避けた瞬間、俺が居た場所に銃弾の嵐が降り注ぐ。


アサルトライフルで撃ったような感じだな。

なんて思ってるとビルの上層から刺客が飛び下りながら、銃を撃ち続けて来るが余裕で躱しながら車の後方に隠れる。


しかし、後方のビルからも銃弾が迫って来たので、その場から消えるように縮地で建物の陰に隠れ、倒れたままのシュートに魔糸で触れ影に沈め保護。

直撃は免れたが掠った衝撃で、気を失ってるシュートが狙われたら終わりだ。


「フゥ~」


まさか銃で襲われるとは思わなったな。

ゲームじゃ無かった事だね。

これは……銃を持った相手との戦闘訓練には丁度良い。

次は、強化した身体にも銃弾が効くのか確かめたいんだが……そう言えばさっきの銃撃、実弾だったよな?


てっきり魔力弾かと思ったけど、実弾もあるのか。

さて、強化すれば耐えられるかな?


建物の陰から覗き込み、飛び下りて来た奴らを確認すると縮地で隠れたので俺を見失い、辺りを見回していた。

全身黒いスーツに覆われ、顔は黒いシールドで隠し、全身に青というか黄緑色の蛍光色のラインが入っており、夜の街中だとどこに居るのかよく見える。


俺は全身に魔力を流し強化すると建物の陰から出て、奴らの視界に入るとすぐさまライフルの銃口を向け撃って来たので腕をクロスして顔を覆うと弾丸が腹や腕、肩に着弾。


しかし、強化した身体は銃弾を弾くようで、衝撃はあるが痛みは無い。

数秒撃ち続けるとマガジンが空になったのか、銃撃の雨が止んだのでクロスした腕を解くといきなり額を、大工用の金槌で殴られたようなピンポイントにガツンッ!! と衝撃が走り頭が後ろへ持っていかれ体勢が崩れる。


「っ~!?」


滅茶苦茶痛い!!

微かに額から血が流れるのを感じ、すぐさま印を書いて治す。

アサルトライフルは効かなかったが、スナイパーライフルだとかなり効くって感じか。


だが、この程度なら強化のついでに硬質化すれば問題無いな。

首をコキっと鳴らし、その場から体勢を変える事なく姿を消し、近くに居たスーツの背後へ一瞬で移動すると、右拳を背中の真ん中に打ち込む。


ドンッ! と衝撃波が広がるがスーツは吹っ飛ぶ事は無い。


影明流・深撃


忍者の特性である魔力を纏うと、壁や天井に張り付ける効果を、殴ると同時に拳に相手を張り付け逃げられないようにし、力を全て対象に伝える技だ。


いつもは瞬影という技と合わせて使う事が多いが、こいつらの力量を確かめるためと、もし生け捕りに出来るならという考えもある。


スーツは仰け反るような体勢になると、手に持っていた銃を手放し、瞬時に左足で回し蹴りを放って来た。

俺の拳を受けて動けるとは、あのスーツに細工があるのかな?


身体を反らし蹴りを躱すと続けてどこから出したのか、右手にバトルナイフを持っており、斬り掛かって来るのを一歩踏み込み、手首を掴み取りながら奴の心臓にもう一発深撃を打ち込む。


すると今度は動きが止まり絶命。

と思った瞬間、スーツの黄緑の部分が光を放ち、突然動き出すと先程までより明らかに速く、俺の懐に入り込み腹に肘を打ち込まれ、後方へ吹っ飛ぶがすぐさま身体を捻り地に足を着け、道路を数メートル滑って止まった。


あの状態から生き返った?

いや、死んでなかったのか?

それと、いきなり強くなったあれは……あのスーツの効果だな。

あんなハイテクで近未来的なスーツがあるとはねぇ。



奴と距離を空けるとスナイパーが撃って来るが、身体は強化と硬質化してるので銃弾を弾く。


「お前ら何が目的だ? シュートを狙ったのか? それとも……」


最後まで言い切る前に、別のスーツが瞬時に俺の背後へ姿を現し、頭を蹴られて吹っ飛ばされるがすぐ道路に手を突いて跳び上がり着地。


こいつも動きが速くなってる。

それに今の蹴り、かなり重い。

全身の蛍光色が更に光ったら、本気モードって感じかな?

カッコいいなあのスーツ。

俺も作ろうかな?


「本気になったのかな? ならドンドン掛かって来い」


そう言うと他の奴らも更に光らせ動きが速くなり、隙を与える事なく攻撃の波が続く。

しかし、全て躱し、防ぎ、受け流しながら話しかける。


「おっ、とっ……そのスーツ、誰が作った、んだ?」


だが誰も答えない。

当然と言えば当然だ。


そこで腹を殴られ後方へ吹っ飛ぶが道路を数メートル滑って止まり、笑いながら告げた。


「お前らの攻撃は、効かないねえ」


奴らが俺を囲むように立つと構える。


「ダメだな、ただ殴る蹴るだけじゃ、俺には効かない。殴るってのは……こうやるんだ」


縮地で正面に居るスーツの懐に腰を落とした状態で瞬時に移動すると、深撃を使わず右拳を打ち込む。


するとスーツは数十メートル吹っ飛んで行き、地面に何度か叩き付けられた後、道路に倒れたまま動かなくなる。

魔力感知で確認すると絶命したようだ。


「どうだ? これが殴るって事だ」


俺は殴った瞬間、流気で奴の体内に魔力を流し、内部を破壊した。

これを防ぐには、同じように魔力で防ぐしかないのである。



奴らは警戒して動けず、その場で固まったままなので問いかけた。


「お前ら、魔力を使えないだろ?」


その問いに一瞬、気配察知で反応した事が分かる。

やっぱり、こいつら全員魔力が使えない。

魔力感知で魔力があるのは分かるが、先程から攻撃に魔力が篭ってないのだ。


あのスーツを装備すれば強くなれるだろうが、魔力が使えないなら俺にとっては子供と同じだな。

なのでこれ以上、訓練をしても意味が無い。


「という訳で、終わらせる」


俺がそう言うと全員腰を落とし、警戒態勢になるが次の瞬間、全員その場で動けなくなる。

そう俺が神気による威圧を放ったからだ。


続けてインベントリから鞘ごと刀を左手に取り出すと次の瞬間、その場で俺はチンッと納刀すると共に、周囲に居る者達の首が地面に落ち、血を噴き出し身体が倒れ絶命。

影明流・瞬殺で動けなくなった奴らの首を斬り落とした。


続いて空間感知と魔力感知で離れたスナイパーの位置を探り、見つけると分身の忍者を送り、スナイパーの影から分身を出すと魔糸で全身を巻き付け動けなくし、影に沈めて俺の下へ連れて来る。


「ハンゾウありがとう……さて、じっくり話を聞こうか?」


魔糸に巻かれて道路に転がるスーツを見て、ニヤっと笑いながらそう告げた。

久しぶりの拷問を試すとするか!

どれくらいで話してくれるかな?

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