第27話 最強プレイヤー出陣。
俺が出て良いと許可を貰ったので、さっそく向かう事に。
なんて思ってると、攻撃が始まってしまった。
「おお、スゲーな。あれがマギアっていう武器か?」
「武器っていうか兵器だな。凝縮した魔力を撃ち出してんだ」
「あたしが作ったんやで?」
「レインが? へ~」
「もうちょっとしたら、もっと凄い兵器が見れるからよう見ときやぁ」
なら見させてもらおうと画面に集中する。
暫く見ていると一番後ろに居る隊長の下を、光線が通り魔物に直撃し穴を空けてしまう。
「このまま倒すんじゃね?」
「いや、Sランクはここからだ。見てろ」
シュートがそう言うので戦闘の成り行きを見ていると、もう1発光線が当たって穴が空いた魔物は、数秒すると即座に穴が塞がっていく。
「再生持ちか」
「ああ、Sランクは全て再生持ちだ」
「そやから倒す事がでけへんねん。ああいう敵は、身体のどっかにコアがあるのがお決まりやのに、どこにも無いから倒されへんのよ」
ん?
GFWにも再生持ちは居たけど、知らないのか?
悪魔なんて普通に攻撃しても、いくらでも再生するからな。
もしかして……。
「GFWで再生持ちと戦った事は無いのか?」
「無いけど?」
「俺は有るが、あそこまで驚異的な再生持ちじゃなかったな。首を落とせば普通に倒せたし」
そういう魔物も居たな。
SクラスやSS,SSSクラスの中には、あれくらいの再生持ちも居たからねぇ。
最初は俺も苦労したよ。
倒し方は簡単。
攻撃の際、自分の魔力を相手に流して再生出来なくするってだけだ。
……そうか、この世界では魔力を使えない人が多いから気付かないのかも?
ましてやゼギアで魔力を流すなんて事は出来ないもんな……いや、出来るか?
それはいずれ試そう。
とりあえず、現場に向かおう。
そろそろやられそうだしと思い席を立ち、左腰に刀を装着し、右腰に脇差しを装着。
「じゃあ現場に行くわ」
「送るぞ?」
「いや、アイテムがあるから大丈夫」
「アイテム? 貴重な……」
そこで俺は、画面の中で魔物がゼギアを踏み潰そうとしているのを見て「あっ」と声を出すと2人も画面を見た瞬間、その場で影に潜り、印を付けてあるゼギアが現場に居るので影渡りで移動する。
移動した影の中から踏み潰されそうなゼギアの影に転移し、影から出ると同時にマナを練って全身に流し強化すると、迫る巨大な足に向かって刀を抜きざまに斬り上げた。
影明流・魔閃
本来は魔力だが今回は神気(マナ)によって伸びだ間合いにより、30メートル程離れた奴の足裏を斬り裂くがそのまま迫る足に続けて全力で、左拳を打ち込むついでに溜気で弾く。
足に拳が当たった瞬間、ドンッ!! と衝撃波が広がり、斬った足裏の傷を更に広げると奴の巨体は、バランスを崩してしりもちを突き、悲鳴を上げる。
久しぶりに全力で殴ったが、気持ち良いな!
まあ、縛りも加重もしたままだけど。
ここ数日、ゲーム内でも全力で殴るなんてしてなかったからなぁ。
なんて思いながら首をコキっと鳴らす。
『あ、あれ? 足が消えてる?』
倒れてるゼギアから女の声がし、見てなかったのかと思い話しかける。
「俺が弾いたから大丈夫だ。今の内に避難しろ」
『えっ? 誰ですか?』
「キジ丸だ。将軍の友達」
『将軍の!? まさか英雄!?』
魔力を使えるプレイヤーを英雄って呼んでたよな?
間違っちゃいないけど、説明が面倒なのでそのままで良いや。
「そうだ。分かったらさっさと行け」
すると返事をしなくなり、少ししてゼギアからガンガン! と音が聞こえてきた。
もしかして、出られないのか?
と思い、ゼギアに近付き、空間感知で構造を調べると背中側にハッチがある事が分かる。
「仰向けに倒れてるから出られないのかな?」
『いえ、前面からも緊急脱出が出来るはずなんですが開きません』
よく見ると、胸の辺りが溶けて溶接されたようになっており、開かなくなっていた。
「ちょっと待ってろ」
そう言うと俺は、隙間に手を入れて強化したまま、全力で装甲を引っ張り、溶接された部分を無理やり千切ってハッチを開ける。
メキメキと聞いた事のない音をさせながら開くとそこには、目を見開いて口をポカーンと開けた青髪の女の子が座っていた。
「ほら、開いたぞ」
しかし、反応が無い女の子。
ただの屍……。
「英雄……」
「ほらさっさと出て避難しろ、機体は俺が持って帰ってやるから」
「あ、はい!」
女が機体から出るとお礼を言って走って行くの見送ると、機体をインベントリに収納し、魔物を見ると起き上がろうとしてまたこけていた。
足の傷が治っていないので、上手く立てないようだ。
斬ると同時に俺のマナを流したからな。
当分再生はしないだろう。
すると空から1機のゼギアが俺の近くに下り、声を掛けて来る。
『あなたがキジ丸様ですか?』
「様って……そうだけど、あんたは?」
『私はジャボック少佐であります! 将軍から連絡がありました。あなたのサポートをするようにと』
シュートが気を利かせたのか。
「じゃあ、全員退かせてくれ」
『はいっ? よろしいので?』
「ああ、今から訓練を始めるから、巻き込まれないように退いてくれ」
『訓練? ……えっ? ……はっ! 全員今すぐ街まで撤退!!』
よし、これで邪魔が居なくなった。
シュートが何か言ってくれたのかな?
『私は少し離れて邪魔をしないよう見守ります』
レイン達が画面で見たいからだな。
まあ、それくらいなら良いか。
「ああ、最低でも300メートルは離れてくれ」
『了解です!』
そう言ってジャボックは、上空へ飛んで消えた。
その間に魔物は、何とか立ち上がり、咆哮を上げて周囲に衝撃波を放つ。
いつもは傷が治るのに、治らない事にイラついてんのかな?
魔物にとっては初めての経験だろう。
さて、訓練だから縛りはそのままで、加重だけ解いとくか。
落星は使わず、斬って倒してやると意志と覚悟を決め、マナを更に増やす。
以前ならこの時点で金色の光が身体を纏うが、制御が上達した事で一切見た目に変化は無い。
実戦に勝る訓練は無し!
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