第20話 トラブル?

キミカに召喚術の話を聞いていると料理が運ばれて来たので、頂く事にする。


まずは神酒・六式だ。

日本酒のような瓶とラベルでガラスコップに入れると、無色透明の酒。

香りは……微かに柑橘系の匂いがする。


1口飲むと微かな甘みが口の中に広がり、その後すぐ酒の辛口が来てさっぱりとした口当たり。


「美味い」

「お酒好きなんですか?」

「ああ、毒耐性があるから酔わないけど、味を楽しめるから良い」

「私はワインが好きです」

「私はハイボールかな?」


2人は飲まないのか聞くと、昼間から飲みませんと言われた。

俺も酔うなら飲まないぞ?


次は、唐揚げを1つ口に放り込むとサクッ、ジュワ~と肉汁が溢れ、味付けが俺の好みだ。

これも美味いね。


焼き肉を食う前に酒で口の中をさっぱりさせてから、焼き肉を1切れ食べるとタレの味がした後に、肉の甘い油が口に広がり自然と笑みが零れる。

これはご飯に絶対合うと思い、すぐさまご飯を1口……。


「最高~」

「美味しそうに食べますね」

「私も唐揚げ食べたいな」

「美味いからな……1つ食って良いぞ」


ミツキが言うにはこの食堂は、どのメニューも美味いらしく、ミツキも毎回違う物を注文してるらしい。

それでもまだ全てのメニューは食べれていないとの事。



飯を食いながらキミカに、召喚士の基本スキルは他に無いのか聞くと【強化召喚】というものがあるそうでそれは、召喚する時に魔力をいつもより多めに消費して強化した状態で召喚するスキルだという。


あと召喚方法にもいろいろあって例えば、召喚獣の一部だけを召喚して攻撃だけする方法や、上位職になると召喚獣の能力を身に纏うスキルもあると言うが、フレンドの召喚士が使ってるのを見た事が無いな。


と思ったらどうやらそのスキルは、普通の召喚士から派生した『魔闘召喚士』という職業で習得するらしい。

GFWはいろんな職業があるからなぁ。

知らない職業もまだまだあるだろうね。


もしかしたら魔導書を読み進めれば、使えるようになるかもしれないな。

今晩の訓練から魔導書も取り入れよう。


なんて話をしてる間に飯は食い終わり、お茶を飲みながら俺は当然酒だ。

を飲みながら休憩し、煙草を吸っていると外から声が聞こえてきた。


『俺達は客だぞ!? 相手しろよ!!』

『こっちは金払ってんだぞ!?』

『やめて下さい! 警察呼びますよ!!』

『おう、呼びたきゃ勝手に呼べ! その代わりこの店がどうなっても知らねぇぞ!?』

『いやっ!?』

『良いケツしてんなぁ』

『お前だけズルいぞ!! 俺も触らせろ!!』


ミツキとキミカは見合って首を傾げる。

あまりちゃんと聞こえてないようだ。

俺は、忍者特性で五感が強化されてるのではっきり聞こえた。

魔力を使って強化すれば更に聞こえるぞ。


空間感知で店の中を確認すると、4人組の男達が店員の女の子に絡んでる事が判明。

どこにでも居るバカって奴だな。


「店員が変な客に絡まれてるぞ」

「またあいつらか!?」


そう言ってミツキが席を立ち、靴を履いて個室の扉を開ける。

またって事は、以前にも同じような事があったと。



扉を開けるとハッキリと声が聞こえてくる。


「テメェら、何見てんだコラァ!?」

「おっ、そこの子、可愛いじゃん。俺達の相手してくれよ」

「お客様、いい加減にしないと警察を呼びますよ? さっさと出て行って下さい」


店長らしき男の声が聞こえてきた。

さっさと警察呼べば良いのにと思いながら俺とキミカもミツキの後を追って個室を出る。


「だから呼べよ。俺達が『火の盃』だと知れば警察も逃げるだろうな」


火の盃?

何それ?

と思ってキミカを見ると、首を傾げる。

そこでミツキが男達の所へ歩いて行くと男達がミツキを見て、怪訝な表情を見せた。


「あんた達、この店でくだらない事をするなら許さないわよ?」

「あぁ、またお前かよ」

「なんでここに居るんだ?」

「それはこっちのセリフよ。さっさと帰ってトラジに伝えなさい、調子に乗ってると潰すわよ? ってね」

「調子に乗ってんのはお前だろ? その爺さんが居ないと何も出来ないくせによぉ」

「なら試してみる? ちなみに犯罪者を殺しても私の罪にならないからね?」


おっ、そうなのか。

なら今後クズは、その場で始末しても問題無さそうだな。

まあ、始末して死体をインベントリに入れておけば、完全犯罪になるんだけど。


するとソウがミツキの前に出て告げる。


「主様の許可が出たので向かって来る者は、その場で全員始末します」

「ほらな、結局爺さんにやらせんのか」

「お前が相手してくれよ? ついでに夜の相手もさ?」

「朝まで俺達がたっぷり可愛がってやるぜ?」

「おい、キミカちゃんも居るじゃん」

「キモっ」


キミカが表情を歪め引く。

確かにキモイよね。

未だにこういう奴らの思考がまったく分からん。


男達が席を立ち、やる気満々な雰囲気を出す。

このまま店の中で暴れると店に迷惑だろう。

なのでここは俺が穏便に……。


「おら、掛かって……っ!?」

「「「っ!?」」」


男達はその場で気を失い、泡を吹いて倒れる。


「……なに?」

「いきなり倒れたぞ?」

「興奮し過ぎたんじゃない?」

「病気かもよ?」


なんて周りの客がヒソヒソと話しているのが聞こえてきた。

ミツキとキミカはポカーンとして固まる。


「よし、今の内に警察呼んで連行してもらおうか」

「……キジ丸さんが何かしたんですか?」

「店内で暴れたら店の迷惑だろ? だから威圧で気絶させた」


そう、俺がやったのはマナを使った威圧だ。

強めにやったので一瞬で気絶したな。


するとミツキが、警察は呼ばないというので男達をソウに頼んで外に出してもらい、放置する事に。


なぜ警察を呼ばないのか聞くと、火の盃のトップは元プレイヤーでそいつが厄介なんだとか。

個室に戻ってその話しを詳しく聞かせてもらおう。

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