第18話 鬼眼。

ミツキおすすめの店に歩いて向かう途中、ずっと気になっている事を聞く。


「その左目は、そういう年頃か?」

「? …………っ!? 違いますよ!? 決して私の左目に封印された邪眼が! とかじゃありませんからね!?」

「じゃあ何かのスキル? それとも陰陽師の術かな?」

「いえ、これは鬼眼の呪いが出ないようにしてるだけです」

「鬼眼? 何だそれ?」


ミツキの話しによるとゲームの時、封印されていた鬼神の目を解放して倒した事で、鬼眼を取得したそうだ。


「俺がゲームで最後に居たのがキジンの森の近くで、その森に何か封印されてるって言ってたな」

「それです! それ私が倒したんですよ。それでこの眼をゲットしたんです」

「眼帯を外すと呪いが漏れるのか?」

「はい、ゲームの時はそんな事は無かったんですけど、現実になってからは大変で……」


眼帯をしていないと悪いモノを引き寄せるらしく、かなり大変だったらしい。


「てっきりそういう年頃かと思ってたよ」

「とっくに卒業しました!」

「って事は、そういう時代があったんだな」

「まあ……ゲームの時は、封印されし邪眼が! とかしてましたけど、こっちに来て数十年、とっくにその年頃は過ぎました」


なるほど、こいつの素はそっちのタイプか。

という俺にも、その気持ちは分かるぞ。

それにしても鬼眼ねぇ……気になる。


という訳で、ちょっと見せてもらう事に、しかし……。


「ダメダメ! こんな所で封印解いたら悪霊が寄って来ますから」

「大丈夫、俺死霊術もってるから寄らないように出来る。だからちょっと見せてくれ」

「死霊術も持ってるんですか!? キジ丸さんって侍でしたよね?」

「いろいろあるんだよ。な? 見せてくれよ。呪いが漏れてる原因が分かるかもよ?」


するとミツキは、少し悩んでから了承し、一旦立ち止まって歩道の端によると眼帯を外そうとするので待ったを掛け、呪いが漏れないように体内に印を書いて即座に結界を張る。


「良いぞ」

「一瞬で結界を……」

「ほら早く」

「あっ、はい……これが鬼眼です」


眼帯を外したミツキの左目の瞳孔がドラゴンのように縦に割れ、金色の瞳をしていた。

ジッと瞳を見て観察。


「……どうですか?」

「……綺麗な眼だな」

「っ!? そ、それで呪いが漏れる原因は、分かりました?」


顔を赤くして目を逸らすミツキ。

中学生か!

とツッコみそうになったが堪え、魔力感知で感じた事を述べる。


ミツキの体内に流れる魔力は、元プレイヤーとあってかなり多い。

魔力は普段、何もしていない時は微量だが体外に漏れているのだが、その多い魔力のせいで漏れている魔力も多くなっているのだ。

そしてその多く漏れた魔力を、左目が吸収して常に鬼眼が発動。


「……という悪循環になってるな」

「えっ、じゃあやっぱり眼帯は、今後も外せないって事ですか?」

「いや? 魔力制御を鍛えれば問題解決だ。普段出てる魔力を抑えれば良いんだ」


ゲームの時、俺が発見した魔力の真髄、使い方『溜魔』を伝授してやろう。



溜魔は、通常漏れている魔力を全て体内に留める技術の事だ。

俺がゲームで発見して付けた名である。


「今から普段漏れてる魔力を、全て体内に留める訓練をするように」

「今から!?」

「じゃないと鬼眼は常に発動するぞ?」

「あ、はい」

「慣れるまでは眼帯してろ」

「そうですね」


そう言って眼帯を着けるミツキ。

じゃあ店に向かうかと歩き始め10秒程で到着すると既に、店の前に金髪の長い髪をポニーテールにした可愛らしい女の子が立っていた。


格好は、ジーパンのようなピチッとしたズボンに、白いTシャツを着て上に黒いジャケット着ており、スタイルがかなり良い。

胸がデカい。

身長は150くらいかな?


「ミツキちゃ~ん」

「キミカちゃん、お待たせ」

「イチャイチャしてるの見てたよ? 私を放置して」

「いやいや違うから!?」

「初めまして、元プレイヤーで召喚士をしてましたキミカです……って、どっかで会った事ある?」


キミカが俺を見てそんな事を言うが会った事は無い。


「初めまして、俺はキジ丸、よろしく」

「ん? キジ丸? …………ああ!! 大会で優勝してた人!!」

「どうも」

「凄い! 最強プレイヤーにゲームじゃなく異世界に来てから会えるなんて、動画見ました! どうやったらあんな強くなれるんですか!?」

「え~っと、鍛えれば?」

「召喚士でも強くなれますか!?」

「どの職業でも最強になれる、と俺は思うぞ」

「流石最強、説得力がありますねぇ!」


あの大会の動画ってそんなに見られてるんだな。


「こらキミカちゃん、師匠が困ってるでしょ?」

「師匠? キジ丸さんってミツキちゃんの師匠なの?」

「今日、私の師匠になったの」


と言って腰に手を当て胸を張り、ドヤ顔を決めるミツキ。

なぜお前が誇らしくする?


「良いなぁ~、最強プレイヤーが師匠とか絶対強くなれるじゃん……私は魔力が使えないから無理だけど、頑張ってね!」

「うん、でもねキミカちゃん、キミカちゃんも魔力が使えるようになるかもよ?」

「っ!? ホント!?」

「ああ、俺が使えるようにしてやる」

「キジ丸さんが?」

「その代わり、召喚術を教えてくれ」

「そんな事が出来るの?」


そこでミツキが俺に、既に陰陽術を教えて使えるようになっている事を話し、キミカが魔力を使えるようになったら召喚術を俺に教える事が対価だと説明した。



話しを聞いたキミカは、数秒の間茫然とした後、目から涙を零す。


「キミカちゃん? 大丈夫?」


キミカはミツキを見て笑顔になり。


「うん、大丈夫。これで皆と会えると思うと嬉しくて」

「皆? 魔力が使えなくなったから仲間外れにされたとか?」


俺の問いに首を横に振って答える。


「ううん、契約してる子達に会えると思うと嬉しくて」


あぁ、なるほど。

しかし、GFWの召喚士って異界から召喚獣達を召喚して契約するんだよな?

現実になったこの世界でも召喚出来るのか?


そう言えば、カゲと夜叉も口寄せ出来るのかな?

キジ丸の記憶では、出来るみたいだが現実になった今だと……今度試そう。


「じゃあ、飯を食う前に魔力を使えるようにしようか?」

「良いんですか!?」

「ああ、飯を食いながら召喚術の話を聞きたいしな」

「お願いします」


本当はマナで第一核を破る方が良いんだろうけど、召喚術を教えてもらうためにも俺が使えるようにしないとね。


召喚術……楽しみだ!!

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