第12話 顧問?
俺の軽く放った威圧で黙り込んだ全員。
するとアキオが近づいて来て。
「キジ丸、俺もキツイから威圧を解いてくれ」
「あっ、すまん」
威圧を解くと全員が肩の力を抜く。
軽くやったんだけどな。
なんて思ってるとアキオが。座ってる全員に向かって話し始める。
「いいかお前ら? キジ丸が言ったとおり、強くなりたいなら甘えるな。簡単に強くなれると思うな。俺達も必死にやって今の強さを手に入れたんだぞ?」
アキオに言われて、簡単に魔力を手にしようとした奴らが俯き落ち込む。
自覚はあるようだな。
なら助け船を出してやろう。
「やり方は教えてやる。後は自分次第だ」
顔を上げたのを確認すると全員に方法を伝える。
何が何でも強くなる、誰かのためでも良い、成し遂げる意志を持つように言い最後は。
「死ぬ覚悟を持て、そしたら自分の殻を破るイメージをしろ……集中……」
「……あっ」
「これは……」
何人かが反応を見せた。
何を感じたのか聞くと、下っ腹に何か温かいモノを感じたとの事。
「それが魔力だ」
第一核を破壊するのに個人差があるようだな。
まあ、意志の強さや覚悟の差だろうけど、今のところこれが一番良い方法か。
これだと個人差があるから、使える者と使えない者が出てくる。
現状、この方法が一番良いんだけど、もっと良い方法を考えないと。
マナ……生命力……もしかしたら若い方がこの方法に合ってるかも?
だとしたら……。
アキオの横へ行き皆を見ながら話しかける。
「この方法は若い方が合ってるかもしれないな」
「なんで?」
「若い方が生命力に溢れてるだろ? それに、若い方が怖い者知らずだ」
「はは、確かに……じゃあ学校で早い内に教えた方が良いか?」
「いや、それは止めた方が良い。教えるなら警察か軍に入る者に限定した方が良いと思う」
「あぁ、国民全員だと犯罪者も使う事になるか……その辺りは女王の判断に任せるかな」
まあ、国のトップが決める事だね。
でも、全員魔力を使えるようになれば、犯罪者も使う事になるけどその分、スキラスや魔物の襲撃があっても死ぬ確率は下がる。
暫く魔力の解放をしてる皆を眺めていると、訓練場に向かって来る魔力を感知。
これはシュートだな。
少しすると訓練場に入って来たシュートが近づいて来ると、座ってる皆を見ながら何をしてるのか聞いて来たので魔力を使えるようになるための訓練だと説明する。
「魔力が使えるようになるのか?」
「あっちで訓練してる者は既に使える、と言っても、全身に魔力が流れ始めたところだからまだまだだけどな」
「どうやった? この100年、いや、女王が300年以上調べても分からなかったのに」
俺は核の話をしてユニークスキルを習得していないプレイヤーも、魔力が使えない事を指摘するとシュートは納得した。
「よく気付いたな」
俺の魔力感知スキルのレベルは、2000を超えてるからね。
普通は1500くらいが上限だろうけど俺は、職業クエストをクリアして上限が無くなったからな。
「鍛えてるから」
「とそうだ、キジ丸のIDが出来たぞ」
「早いな……何だこれ?」
手渡されたIDは、細いリングだった。
「カードや指輪のIDもあるけどよ。それが一番便利だからそれにした」
詳しく聞くとアキオやシュートも付けている腕輪で、スマホのような機能が沢山付いてるらしい。
魔道ネットという、地球でいうネットのサイトも見れるとの事。
左手首に付けると、サイズが縮まりピッタリのサイズに変わる。
使い方を教えてもらい、リングに軽く触れシュートをイメージすると念話が繋がった。
『これが無くても一度会った人となら念話は出来るぞ?』
『お前のように使える奴ばかりじゃないんだよ』
確かに。
「これ自体がIDなのか?」
「いや、ステータスって言ってみな。念じるだけでもいいぞ」
「ステータス」
すると腕輪から画面が空中に表示され、俺の顔写真やID番号、名前が書かれていた。
しかし、1つ気になる事が。
「この『カリムス王国特別顧問』ってなんだ?」
「軍や警察の特別顧問って事で登録しといた」
「はっ? 要らねぇ~」
「いやいや、その肩書があるだけで一般人が入れない所にも入れるぞ? それと女王にもすんなり会える」
「会う気は無いけど?」
そう答えるとシュートが苦笑いを浮かべて答える。
「女王がお前に会いたがってるんだ。なんせ最強プレイヤーだからな」
「ミーハーかよ……もしかして女王から依頼がある?」
「流石察しが良いな。そのとおり、本当ならここに来る気だったんだぞ? それを俺が説得して会えるようにしてやるって止めたんだ。だから会ってやってくれ」
女王がここにって何考えてんだ?
まあ、今のところ一番長生きしてるプレイヤーっぽいし、この世界の話を聞けるかも?
特に、ゼルメア王国が存在するのか皆は大丈夫なのか。
女王が知ってるか微妙だが、何かしら手がかりがあるかもしれない。
なので俺は、女王と会う事を了承。
「良かった……じゃあ明日の朝からでも良いか?」
「良いよ。あっ、今日の宿を探さないと」
「それなら俺の家に泊るか?」
「えっ、奥さんとか大丈夫?」
「居ねぇよ」
「アキオは居るのに? 彼女も居ないのか?」
「惚れられた事はあるが……ってそんな話は今はどうでもいい! リングに俺の住所を送っておくから後で来い、地図もその中に入ってるから簡単だろ」
「おう、サンキュー。時間まで街の観光でもしようかな」
IDをゲットしたから金貨も売れるし、とそうだ。
「スキラスの買い取りをやってる所ってある?」
「はっ?」
「ん?」
シュートとアキオが意味が分からないといった表情になる。
冒険者ギルドみたいに買い取りしてる所を聞いただけなんだが?
「だから、スキラスを買い取りしてるギルドみたいな所は……」
「待てキジ丸。そのスキラスはどうした?」
「この世界に来た時、林の中で襲われたから斬った。後はロボットじゃなくてゼギアだっけ? あれが倒して放置してたのを回収したけど?」
するとアキオが話しに入って来る。
「いやいやいや、スキラスを斬った?」
「流石最強プレイヤーってか?」
俺は意味が分からず首を傾げるとシュートが教えてくれた。
どうやらスキラスは、シュート達でも生身だとかなり危険らしい。
それは、機械の部分に使われてる金属が特殊で中々斬れない事と、特殊なエネルギーを使うからだと。
普通に斬れたけど?
それに、変わったエネルギーなんて使って無かったよな?
本来スキラスは、ゼギアの武器か『マギア』という武器を使って倒すそうだ。
「そんな感じは無かったぞ?」
「とりあず死体を見せてくれ」
「おう、ここに出すぞ」
そう言ってからインベントリから最初に殺したスキラスの身体と、斬り落とした頭を取り出す。
すると全員、目を見開いて固まってしまった。
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