第3話 side:藤田心海
弟を私の寝室に押し込み、インターホン越しにゆきとミアに向かって今行く旨を伝えながら考える。
「どうやって隠し通そう。」と。私とあいつが姉弟であることは公表していない、ことになっている。本当は箱のメンバーはみんな私に弟が居ることを知っている。.......しょうがないじゃないか。あんなに顔がかっこよくて、なんだかんだと言いながら私の部屋をいつも片付けてくれるだけでなく、時間があるときは料理までしてくれる完璧な弟など自慢したくなるに決まっている。そんなことを考えていると
「さ、入って入って。ゆきは久しぶりだね~。」
「うん。久しぶり。」 今返事をしたのは霜月ゆき。私の同期だ。弟はこいつのことが最推しらしい。なんか弟の女の好みが透けて見えるようでいやだ。
ダウナー系で、男女ともにモテるというような感じ。立ち絵も顔が整っていて髪型はウルフカットで中性的。現実でもそうだ。例えるならガールズバンドのベースという感じであろうか。
「お邪魔しまーす!」そう言いながらすごい勢いで突っ込んできた後輩は藤崎ミア。多少かまってちゃんなところがあるが、かわいい後輩だ。
「せんぱ~い!おひさしぶりです!今日もかわいいです。」
「はいはい、あんたも今日もかわいいよ。」
そんな後輩から、爆弾のような発言が飛び出した。
「あれ、この男物の靴だれのですか?」
「あ、やべ。 さ、早く上がって。」そう言って靴をクローゼットに隠し、何事もなかったかのように振る舞おうとしたのだが。
「いや、無理でしょ。そのごまかし方は。」と、ゆきにツッコまれてしまった。
「......後で説明はするから、とりあえず上がって。」
「「逃げないでね?」」
「うん......」
「それで、あの靴は誰のなの?」
「弟です。」
「へぇ~。あのルナ先輩自慢の弟さんですか。見てみたいです!!」
「わたしも見たい。」
「......寝室に。」
「ふぅん。」
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