海
金子ふみよ
第1話
海に浮かんで
空と向かい合っていた
青くまぶしい空は
昨日の夜には花火が煌めいていた
青くまぶしい空には
天文学的な宇宙の姿は見えない
耳に入る海水を気にせず
ちらと顔を横に向ける
海の中にキラリと光る砂が見えた
それらを結べば海の世界の天文学的な姿を見られるかもしれない
身を起こすと
海底の砂に足がめり込んだ
小魚が急旋回で足をよけ
海藻が腹にまとわりついてきた
波で一歩二歩体が流された
一歩二歩波に逆らった
ちょっぴりひんやりするつま先と
生ぬるい胸元は波に撫で続けられる
青くまぶしい空には
星座は見えなかった
波がキラキラ揺れていて
海の世界に神話の似姿を発見することはできなかった
水平線から湧き上がる雲が
アトラスに見えた
海 金子ふみよ @fmy-knk_03_21
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