第9話
一織「文也くーん。来たよー」
文也「どうも…」
私は自分の隣の部屋に行きました。なおさら紙切れを置いて私を呼び出した理由が分からなくなりました。
一織「それで、私に何か用?」
文也「用っていうか…」
一織「用っていうか、何?」
文也「ちょっと相談したいことがありまして」
一織「相談?いいよ」
最近の中学生って悩み事多いんですかね?せりまな(今考えた呼び方)も蓮花さんに相談してましたし。
文也「あの、ですね、部員のことなんですけど」
一織「部員?みんながどうかしたの?」
文也「みんな自分のことばかりで、最近余裕がないんです」
一織「あら」
文也「そのせいで、日向さんも来れなくなっちゃって…」
一織「乙葉ちゃん?」
文也「はい」
一織「…いじめってこと?」
文也「…そういう…ことですね」
一織「…話せる限りでいいからさ、具体的な内容を教えてくれない?」
文也「分かりました…」
そして、文也くんはいじめのことについて色々と話してくれました。そのことで引っかかったのは、いじめをしていたのは2年生の男子3人組ということと、いじめのターゲットは日向姉弟ということ。
そして、そのいじめの主犯格は春彦くんと悠真くんであり、文也くんはただ一緒にいるというだけで巻き込まれたということ。
このことについては、正直に言うと私はあまり信用できていません。こんなこと言って、まるで自分は責任から逃げようとしているのではないかと思いました。それに、私はいじめについては何も尋ねていません。
言わなければそこまで疑うこともないのですが、こうなってしまうと気になってしまいます。ということで聞いてみました。
一織「なんでわざわざそんなことを私に言うの?別にいじめについては何も聞いていないのに」
文也「いや、それはそうなんですけど、さっき聞いちゃったんですよ」
一織「聞いちゃった?何を」
文也「…下野さんが、日野さんにいじめについて相談していたところをです」
一織「秋ちゃんが、響さんに相談?」
やっぱり、いじめについて元々思うことはあったのでしょうか。たまたま部外者の私たちが来たから、今しかないと思って相談した、と考えるとそこまで変な感じもないのですが。
しかし、たまたまそれぞれが相談する意図を固めていたのか、あらかじめ口裏合わせて偶然を装っていたのか、分からないとはいえ恐ろしいことを考えさせられます。
一織「じゃあ、その相談相手に私を選んだのは?」
文也「なんとなく相談しやすそうだったので」
え…ウソ…相談しやすそう?めっちゃ優しそうなオーラ溢れ出てた!?ちょ、辞めなさいよ!そんなこと言われちゃったら、あーもう!照れちゃうでしょー!
なんておふざけはどうでもよくてですね、これ、やっぱり相談相手は選んでいたと思って間違いないでしょうね。どういう考えの下やっていたのかは抜きにして。
一織「まぁ、そうだね。私もみんなのことはよく分かってないし、あまりいじめについて言えることはないんだけれど」
文也「やっぱりそうですよね。すみません…」
一織「ただ、私から1つ言えることがあるなら、なんで今更になって相談してるのか、ってことかな」
文也「今更、ですか?」
責め立てる感じになっちゃうけど、はっきり言っていいならこれは気になるからさ、ごめんね。
一織「だって、乙葉ちゃんはこの合宿に参加できてないわけでしょ?もっと早いうちに動けていたら、もしかしたら変わっていたかもよ?」
こんなこと言っても、上辺だけの都合のいい言葉でしかないのは間違いないのですが。
文也「いや、相談は先生に前からやってたんですけど、効果がなくて」
一織「効果がない?」
文也「相談したはいいものの、ってところですね。そこから先に特に何も起こらなくて」
一織「え!?どういうこと!?先生が揉み消したってこと?」
文也「分からないですけど、もしかしたら、そういうことかもです」
学校に対して疑念を抱いていると、突然話しかけられました。
響「一織ちゃん、ちょっといい?」
一織「ヘャァッ!?」
響「あ、ごめん急に」
一織「びっくりしたー、響さんでしたか。どうかしました?」
響「いやぁ、それが…」
秋「私の下着がなくて…」
一織「下着が……えっ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます