第7話 トリックの解明

翌朝、霧雨村の空は依然として厚い雲に覆われ、細かい雨が降り続けていた。夏川遼と山本進は、村の北西にある「光の場所」へ向かっていた。藤村謙二の手帳に記された場所であり、謎を解くための重要な手がかりが隠されていると信じていた。


「ここが光の場所です」


山本が指し示す先には、鬱蒼とした森が広がっていた。二人は懐中電灯を片手に、慎重に森の奥へと進んでいった。やがて、森の中で一際明るい場所にたどり着いた。


森の奥には、小さな祠が立っていた。祠の周囲には奇妙な石碑が並んでおり、その一つに「光の場所」と刻まれていた。夏川は石碑を調べ、その表面に微かに光る文字を発見した。


「これは…」


その文字は古代のものであり、山本が読み解くと「光が導く」という意味があることがわかった。


「この祠が光を導く場所だとすれば、その意味を解き明かす必要があります」


夏川は祠の内部を調査し、そこに隠された仕掛けを探した。やがて、祠の中に小さな箱が隠されているのを発見した。


箱を開けると、中にはさらに古い文献と謎の機械装置が収められていた。文献には、村の伝承や呪いに関する詳細が記されていた。


「これが藤村さんの探していた真実か…?」


夏川は文献を読み進め、祠に隠された秘密を解明していった。その中で、謎の機械装置が重要な役割を果たすことが明らかになった。


謎の機械装置は、光を発する装置であり、特定の条件下で作動することが記されていた。夏川はその装置を調べ、作動させるための手順を解明した。


「この装置が光を発し、村人たちに亡霊の存在を信じさせていたのかもしれません」


夏川は装置をセットし、スイッチを入れた。すると、装置からは強い光が放たれ、周囲の空間が一瞬にして明るくなった。その光は森の中に幻想的な雰囲気をもたらし、まるで亡霊が現れるかのような錯覚を引き起こした。


さらに調査を進める中で、夏川は祠の奥にプロジェクターのような装置を見つけた。それは古びてはいたが、まだ動作可能であった。夏川はその装置を調べ、映像トリックの仕組みを解明した。


「このプロジェクターを使って、森の中に亡霊の映像を映し出していたんだ」


夏川はプロジェクターのスイッチを入れ、映像を確認した。そこには、薄暗い森の中を彷徨う亡霊の姿が映し出されていた。それは非常にリアルで、不気味な映像であった。


「これが村人たちを恐怖に陥れた亡霊の正体だったのか」


祠の内部をさらに調べると、窓やドアに仕掛けられた物理的なトリックも発見された。これらの仕掛けは、風や雨音と連動して動作し、不気味な音や動きを演出していた。


「藤村さんは、これらの仕掛けを使って村人たちに亡霊の存在を信じさせようとしていたんですね」


夏川はその仕掛けを一つ一つ確認しながら、全てのトリックがどのように働いていたのかを解明していった。


祠に隠された機械装置、プロジェクター、そして物理的な仕掛け。これらが組み合わさり、村人たちに亡霊の存在を信じさせる巧妙なトリックが完成していた。夏川はその全貌を理解し、藤村謙二がなぜこのようなトリックを仕掛けたのか、その動機を探る必要があると感じた。


光と映像、そして物理的なトリックの全貌が明らかになった。しかし、藤村謙二の失踪の理由や彼の動機はまだ謎のままだ。夏川は次なる手がかりを追い、さらなる真相に迫る決意を固めた。



次回、夏川は藤村家の過去と藤村謙二の動機を探るため、さらなる証拠を集める。事件の真相が徐々に明らかになる中、最後に待ち受ける驚愕の結末とは?物語はクライマックスへと向かっていく。

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