第8話 藤村の動機
夏川遼と山本進は、祠で得た新たな手がかりをもとに再び藤村家を訪れた。豪雨の中、藤村家の屋敷は不気味に佇んでいた。玄関の扉を叩くと、藤村彩が出迎えた。彼女の顔には依然として疲労と不安が色濃く残っていた。
「もう一度、謙二さんの書斎を調べさせていただきたいのですが」
夏川の言葉に、彩は静かに頷き、二人を書斎へと案内した。書斎に入ると、夏川はまず祠で見つけた手がかりを思い出しながら、書斎の隅々まで注意深く調べ始めた。
夏川は書棚の裏に隠された小さな扉を見つけた。それは巧妙に隠されており、一見するとわからないようになっていた。扉を開けると、その中にはさらに多くの書類と手記が収められていた。
「これは…謙二さんの手記です」
夏川はその中から一冊を取り出し、読み始めた。その手記には、藤村謙二が村の伝承や呪いについて詳しく調査していたことが記されていた。
「呪われた土地の秘密を暴くことが、私の使命だ。父の罪を償うためにも…」
夏川はその一文に目を留めた。藤村謙二の動機が、父親の罪に関係していることが示されていた。
夏川はさらに手記を読み進め、藤村謙二の父親が過去に犯した罪についての記述を見つけた。
「父は土地開発計画の一環として、村人たちを欺き、彼らの土地を奪った。そして、それが原因で多くの村人が行方不明になった。私はその罪を償うために、真実を明らかにしなければならない」
藤村謙二の父親は、村の土地開発計画を主導していたが、その背後には汚職や不正があり、多くの村人が犠牲になったことが明らかになった。
「これが謙二さんの動機だったのか…」
夏川はその記述を慎重にメモし、さらに調査を進める決意を固めた。
手記の中には、藤村謙二が村の呪いを解明するために行った計画の詳細も記されていた。
「私は呪われた土地にある祠で、光と音のトリックを仕掛け、村人たちに亡霊の存在を信じさせることで、父の罪を暴く計画を立てた。しかし、その過程で私は何者かに狙われるようになった」
謙二は父親の罪を暴くために、祠に光と音のトリックを仕掛け、村人たちを恐怖に陥れることで真実を明らかにしようとした。しかし、その計画が誰かによって阻止されようとしていることが示唆されていた。
「これで全てが繋がった。謙二さんは父親の罪を償うために、あのトリックを仕掛けたんだ」
夏川は手記を閉じ、山本に向き直った。
「山本さん、これで謙二さんの動機がはっきりしました。しかし、まだ謎が残っています。彼を狙っている何者かの正体を突き止める必要があります」
山本は頷き、二人はさらなる手がかりを探すために藤村家の調査を続けることにした。
その時、藤村彩が口を開いた。
「謙二が失踪する前に、何かを見つけたと言っていました。それは、父が残した秘密の文書だと」
彩は家の奥から古びた箱を取り出し、その中から一冊の古い手帳を取り出した。
「これがその手帳です」
夏川は手帳を受け取り、中を覗き込んだ。その手帳には、藤村謙二の父親が行った不正行為や、村人たちを欺いた詳細が記されていた。
「これは…」
手帳には、土地開発計画に関する詳細な記述があり、その中には多くの村人の名前や、彼らの土地がどのように奪われたかが詳細に書かれていた。
「これが全ての鍵だ」
夏川は手帳を慎重に読み進め、さらに詳細な手がかりを探し始めた。
手帳を読み進める中で、夏川は一つのページに目を留めた。それは、藤村謙二の父親が書いた最後のメモであり、そこには「全ては呪われた土地にある」と書かれていた。
「これが最後の手がかりだ」
夏川はそのページを慎重にメモし、手帳を閉じた。
「山本さん、これで全てが明らかになりました。次に行くべき場所は再び呪われた土地です」
山本は頷き、二人は再び呪われた土地へと向かう決意を固めた。
藤村謙二の動機と計画、そして彼の父親が犯した罪の全貌が明らかになった。しかし、謙二を狙う何者かの正体はまだ謎のままだ。夏川は最後の手がかりを追い、全ての真相を明らかにするために、再び呪われた土地へと向かう。
次回、夏川と山本は呪われた土地で最後の手がかりを探し、事件の全貌を解明する。謎が全て解けるその時、待ち受ける衝撃の真実とは?物語はクライマックスへと突入する。
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