第5話 不気味な現象と渡辺玲子の証言

霧雨村の空は再び黒い雲に覆われ、雨が激しさを増していた。村人たちは避難所に集まり、昨夜の出来事について話し合っていた。そこで語られるのは、夜中に目撃された奇妙な光と音のことだった。


「昨夜、家の外で不気味な光を見ました。まるで誰かがランタンを振っているような…」


村人の一人が震える声で話し始めると、他の者たちも次々に自分たちの体験を語り出した。


「私も同じ光を見た。それに、耳元で囁くような声も聞こえたんだ。まるで亡霊が話しかけてくるみたいに」


「これが本当に亡霊の仕業なのか…?」


恐怖と不安が村人たちの心を支配し始めていた。その時、避難所に現れた夏川遼が静かに口を開いた。


「皆さん、冷静になってください。これから更なる調査を進め、真実を突き止めます」


夏川はその足で、美術教師の渡辺玲子の家を訪ねた。彼女は藤村謙二の愛人であり、何か重要な情報を持っているかもしれないと考えたからだ。


玲子の家は村の外れにあり、周囲は静寂に包まれていた。夏川が訪れると、彼女は意外にもすぐに彼を迎え入れた。リビングに通された夏川は、部屋の壁に飾られた美しい絵画に目を奪われたが、すぐに本題に入った。


「藤村さんの失踪について何かご存知ですか?」


玲子は一瞬ためらったが、やがて静かに話し始めた。


「謙二さんは、亡霊の伝説に非常に興味を持っていました。彼は何度も『呪われた土地』に足を運び、その場所で何かを探していました」


「何を探していたのでしょうか?」


「彼はその土地に隠された秘密を知りたがっていました。特に、亡霊が現れると言われる雨の夜に、その場所で過ごすことが多かったのです」


夏川はメモを取りながら、さらに詳細を尋ねた。


「その土地で何か不思議な現象を見たことはありますか?」


「ええ、彼がそこに行く度に、不思議な光と音が現れると話していました。まるで、何かが彼を誘っているかのように」


玲子はさらに、藤村謙二から受け取った手紙を見せた。それは謙二が失踪する直前に書かれたものであり、重要な手がかりを含んでいた。


「玲子、私はついに真実に近づいたかもしれない。『呪われた土地』で見つけた光と音が、その鍵を握っている。もし私が何かあったら、この手紙を信頼できる人に渡してほしい」


夏川は手紙を読み終え、玲子に向き直った。


「この手紙に書かれていることが本当なら、謙二さんは何か重大な発見をしたのでしょう」


「そう思います。でも、それが彼の身に危険をもたらしたのではないかと心配です」


夏川は手紙を慎重に折りたたみ、再び玲子に尋ねた。


「彼が最後に『呪われた土地』に行ったのはいつですか?」


「失踪する前夜です。彼は『今夜こそ全てが明らかになる』と言って出かけました」


夏川は手紙と玲子の証言をもとに、再び村に戻った。村の中心では、山本進が待っていた。夏川は彼に手紙の内容を伝え、次の一手を相談した。


「謙二さんが話していた光と音が鍵になるかもしれません。今夜、再び『呪われた土地』に行きましょう」


山本は頷き、二人はその夜の準備を進めることにした。霧雨村の村人たちはまだ不安に包まれていたが、夏川と山本は確固たる決意を持っていた。


玲子の証言と手紙、そして『呪われた土地』に現れる光と音。夏川はその謎を解明するために、今夜再び危険な地へと足を踏み入れる。藤村謙二の失踪の真相、そして亡霊の正体とは一体何なのか?



次回、夏川と山本は『呪われた土地』へと向かい、恐怖の夜を迎える。そこで発見する衝撃の事実とは?物語はさらに深い謎とサスペンスへと進んでいく。

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