第7話:再開。

颯太と別れてから2年・・・沙都希は20歳になっていた。

沙都着は颯太と知り合った頃から勤めていた銀座美容室に今も勤めていた。


沙都希には同じ店に勤めていた仲のいい美咲と言う友達がいた。

彼女が独立して自分の店を持ちたいと言うので銀座を辞めてしまった。


ある日、美咲から、もうすぐ店がオープン真近だ言うので応援に来てって

頼まれて 休みの日、沙都希は彼女の美容室に手伝いに行った。


その店で沙都希は颯太と再び再開することになる。


一方的に颯太をフって、あの公園に彼をひとり残した。

だから、余計、その後の颯太のことが気にはなっていた。


沙都希は店内で化粧品やポスター椅子の配置やこまごまとした作業をしていた。


すると一人の男が店に入ってきてこう言った。


「あの・・・◯×工芸ですが・・・」

「お店の看板の取り付けと入り口のガラスドアに店名のシートを 貼りに

来たんですけど・・・」


沙都希が手を止めて振り向くと、相手も沙都希を見て、その場でふたりは

固まっていた。


「颯太?」


「沙都希?」


ふたりとも、しばらく言葉がなかった。


「・・・久しぶり・・・元気だった?・・・颯太」


先に言葉を発したのは沙都希のほうだった。


「びっくりした、偶然だね・・・」


「颯太こそ、何してるの?」


「仕事だよ、店の看板とかもろもろ設置に来たんだ」

「こんなところで会えるなんてびっくり」

「君は?」

「沙都希は?ここで働いてるの?」


「う〜ん、ここがオープンだから手伝いに来てるの 」

「だから君と会えたのはほんとに偶然だよ」


「そうなんだ・・・・俺もびっくりした」


店長の美咲は出かけていたから店の中には沙都希と颯太しかいなかった。


「君、理容師はどうしたの?・・・今、看板屋さんに勤めてるの?」


「理容師は辞めたよ」


「それって、もしかして私のせい?」


「理容師はとっくに辞めたけど、理由は沙都希とは関係ないよ」

「もともと、接客商売は苦手だったしね、今の仕事のほうが僕に合ってるから」


「そっか・・・うん・・・」

「あ〜・・・1日ずれてたら会えてなかったね」

「それって、すごくない?」


「そうだね」


颯太はどっちでもよさそうに言った。


「あのさ・・・」


「あ、時間があったらゆっくり話したいんだけど、今日はこれから作業

しなきゃいけなくてさ」


「あ〜そうだよね・・・」


「じゃ〜ひとつだけ聞かせて?」


「もし君に会うことができたら、これだけ聞きたかったんだけど・・・」

「君、私のこと恨んでない?」

「ひどいこといっぱい言ったでしょ、私・・・」


颯太は首を横に振った。


「沙都希の言ったことは全部正しかったし・・・あの時、僕には君を責める

資格なんかなかったよ」

「だから、今は何とも思ってない・・・」


「よかった、ずっと気になってたから・・・」

「奏太・・・君、雰囲気変わったね、たくましくなってる」

「あの頃は少し頼りないところがあったけど・・・ずっといい男になったね」

「背もずいぶん伸びたみたいだし」


「頼りないって・・・ひどいな〜」


「あ、ごめん」


「君は・・沙都希はは変わらないね・・・相変わらず綺麗だ・・・」


「そうかな・・・内面はそうでもないよ・・・いろいろ行き詰まってるし」


妙な間が空いた。


「そうだ・・・颯太いい人できた?」


「今、結婚してるよ」


「えっ、うそ・・・そうなんだ・・・」


(まじで?・・・)


「僕だって失恋を経験して成長してるんだよ、同じ失敗はしないよ」


「そか、幸せなんだね」


「幸せだよ・・・・沙都希は?」


「私は・・・誰も・・・・彼氏とかいないし・・・」


「男がほっとかないだろ?・・・」


「誰でもって訳にはいかないでしょ、私にだってタイプあるし・・・」


お互い顔を見合わせて笑った。


沙都希は思ったより颯太が元気そうで安心した。


つづく。


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