第4話:別れの理由。
「ねえ・・・私たち別れよう・・・」
沙都希のいきなりの言葉に颯太は唖然とした顔で沙都希を見た。
自分の耳を疑った。
「え?・・・何言ってるの、いきな り・・・ちょっと待ってよ?」
「今、別れるって言った?」
「そう言ったの」
今夜のデート、沙都希は終始落ち着かなかったし心ここにあらずだった。
颯太も鈍いわけじゃないから沙都希になにかあったのかくらいは感じていた。
「いつ切り出そうか、ずっと考えてたの・・・」
「よっぽど黙ってようかと思ったんだけど」
「そんなこと、いつまでも続けてたって苦しくなるだけだと思って・・・」
「それって・・・僕と別れようって前から決めてたの?」
「そうだよ・・・でもなかなか切り出せなくて」
「君のこと愛してたからね」
「でも、もうこれ以上君とは無理だって思ったの」
「君だって、うすうす感じてるでしょ・・・私と君のギャップ」
「知らなかった・・・気づいてなかったのは僕だけだったんだ」
「なにも気づかずに・・・僕ってバカだ」
「まるでピエロじゃん・・・自分だけ有頂天になって・・・」
「でも、悪いことろがあったら修復できるよ・・・ダメなことがあるなら
やり直せばいいじゃないか? 」
「もう遅いの・・・私たち崖っぷちでがんばってたけど・・・もう落ちたんだよ」
「もうやり直せないんだよ颯太」
「ぜったい・・・絶対、別れないからね・・・」
「なんで、そんなこと言うんだよ」
「僕のなにが不満なんだよ」
「不満って?・・・ちっとも分かってないんだね・・・颯太は」
「分かんないよ・・・僕がなにしたっていうんだ」
颯太は沙都希のほうを見ないで一点を見つめながらそう言った。
「怖い・・・」
「君・・・危ないよ・・・大丈夫?」
「あ、ごめん・・・つい・・・」
「沙都希がいきなり別れようなんて言うから・・・」
「君が自分自身のことに気付かないうちは修復なんて無理」
「ん〜ん、気付いてないふりして気付いてるはず・・・」
「それにたとえ君にこう直してって言ったって素直に聞いてくれないでしょ」
「今までだって同じこと繰り返してるよ私たち・・・」
「私は別れてっていう以外、もう君にいうことはないから・・・」
「君には感謝してるよ」
「私が本気で好きになった人だからね・・・」
「私ね、美容師になる前は怪しげな店で働いてたことがあって・・・男がたくさん寄ってきてたの・・・」
「でも私に寄ってくる男はみんなクズばかり」
「みんな私の体が目的・・・男なんてみんなそんなもんだと思ってた」
「君と出会うまではね」
つづく。
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