第36話 二人で行こう――③

 今より少し幼い、ナミクとアルト。

 ――双子みたいだった。そっくりの容姿で、くっついていて。

 二人は誰がどう見ても、愛し合っていた。

 キスをしてそして。何度も何度も。毎日のように。


 二人が愛し合っているのを、それぞれの親に気づかれ離されてしまうの。

 アルトはナミクから引き離されても、何度もナミクの元に行ったわ。

 だけど、アルトはキアラの妃候補とされ、閉じ込められたのよ。


 そんなとき、「閨のことを教えてやろう、よりよい妃となるために。美しいアルト」と、いやらしく言った親戚の男にアルトは乱暴されそうになり――ナミクといっしょにその男を殺してしまったの。そして男の遺体が見つからないように処分して。


 この辺りから、二人の心が壊れて行ったみたい。

 でも、隠れて会い続けた。


「わたくし、ナミクが好き。ナミクしか好きじゃない」

「僕もだよ、アルト」

「ねえ、理不尽だと思わない? どうして白銀だからとキアラが王になるの」

「まあそういう決まりだからね。キアラがいなくても、カデルが王になるよ」

「……ナミクが王になればいいのに。――こんなに美しいのに」

「アルト――」

「ねえ、ナミク。あなたが王になり、わたくしが妃になるの」

「そうなったら、素敵だね」

「ねえ、素敵でしょう? そうしたら、誰もわたくしたちを引き離したりしないわ」

「……そうだね」

「ね? だから、みんな、殺してしまえばいいんじゃない?」


 ナミクは末の王子であるキアラのすぐ上の王子だった。つまり、キアラが生まれるまでは末っ子で、上に兄と姉が何人もいたのだ。白銀の姿でない限り、王位は巡って来ない。白銀でなければ、年上のものに王位が譲られる慣例だったから。


「全部殺してしまえばいいのよ――」

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