かの異世界に転移したるは最強の最終兵器ロボ

匿名さん

序章

西暦2999年。人類は科学を大きく発展させ、その高い技術力を上げている中、魔法という新たな未知のエネルギーをも獲得した人々はその未開の力を解読し、科学技術と共に魔法技術も極めて飛躍していった。

医療、飲食、学業、社会、そして軍事が高く向上した。

中でも軍事においては、科学と魔法を融合させて各国は鎬を削り紛争を起こし、やがては世界大戦にまで発展するが人類は漸く互いに和解し、手を携えて平和を享受していた。

その平和の中、隔絶され森に囲まれたとある研究所にてそれは行われていた。

テクノロジーの集まったかのようなその場所の中、白衣を纏った眼鏡をかけ、ぼさぼさの髪型をした男が不敵な笑みを浮かべている。


「ふ、フフフ....やっと、やっと完成したぞ...!ハハハハハ!!私は!!偉業を成したぁああああっ!!!」


男は自身が目にする物に対して。高らかに己を称賛するように両手を掲げる。

男の目の前にある物....体長が200はあろうか見た目マッシブでありつつも、シュッとして鋭角的でシャープ、且つヒロイックなデザインの白を基調としたトリコロールカラーのロボットがそこにあった。

頭...前頭部には鋭い角があり、目に当たる部分はバイザー式になっている、男は片手を翳すと何もない空間からモニターが表示される。

その表示された内容には、各種兵装、動力源の名称とエネルギー状態、そのロボットのステータスが表示される。

その内容を確かめた男は再び不敵な笑みを浮かべ、そのモニターに空欄になっている名前の箇所に記入する。

そして記入が終わると男は高らかに告げる。


「お前は全ての叡智!全ての理!それら全てを超越し、全てを統べる究極なる者!!....名を、ウルトロン・ズィー・デウスエクスマキナ!!」


男は自身が生み出したこのロボットにそう名付けた。


「さぁ、今からお前を起動させよう」


男が起動しようとロボット...ウルトロン・ズィー・デウスエクスマキナの胸部中心にある逆三角形状の青白く輝く部分に触れようとしたその時だった。

男がいる研究部屋の出入口のドアが横にスライドし開いた、次いで開いたドアから複数の黒いグラサンをかけ、黒いスーツ着こなしている男女がゾロゾロと入ってきた。

男はこの突然のことに動揺する。


「き、貴様たち!!い、一体何者だぁ!!これから大事な実験を」


動揺する男に対し、黒服の一人が冷静に口を開いた。


「ジーニアス博士、我々は保安局の者です。以前より貴方が危険な発明をしていると察知し、こうして身柄確保に来ました」


黒服の言葉に、男...ジーニアスは尚も乱れた様子で彼らに抗議する。


「貴様たちは理解できないのか!!?この科学と魔法が融合した完璧な機械の神を!!私はその神を生み出した創造主なのだぞ!!!このウルトロンは、全ての枷に縛られることなく、人の手すら借りることなく無限にその力を行使できる!!まさに神!!それがなぜ分からん!!」


「いま人類は恒久な平和を享受している。我々はそれを守る義務と責任があります、その平和を乱すような所業を行う貴方をこれ以上好き勝手させることはできません。しかし政府も優秀な貴方の命を奪うことは世界の損失とも思っております。故に身柄を確保しにきました」


黒服の男の言葉と共に他の者たちが、ジーニアス博士にじりじりと迫る。

博士も冷や汗を流しながら迫る来る黒服の者たちに動揺し、後ろにあるレバーを押してしまう。

直立しているウルトロンの背後にある巨大な円形状の構造物の中心に大きなエネルギーが発生し、その瞬間巨大なワームホールが形成され、周囲のモノを飲み込み始める。


「ま、不味い!!ワームホール装置を起動してしまったっ!!」


「な、なんだこれは!!」


「うわぁああ!!」


「きゃああ!!」


博士や黒服の連中は急いでしがみ付ける場所に張り付くことで一応の難を逃れる。

博士は急ぎレバーを元に戻す、そしてワームホールは消えた。

黒服たちも事なきを得て安堵するが、黒服の指揮する男は直ぐに博士の拘束を命令する。


「博士を拘束しろ!!」

「「「「「「了解」」」」」」


「は、はなせ!!」


黒服たちの拘束魔法で博士を縛り付ける。博士は自身の魔法でこれを解除しようとするが、複数の縛りによって思うように解くことができない。

それに対して苦悶の表情を浮かべてしまう。


「くぅ....ん!」


その時、博士はあることに気づいた。それはそこにあった筈の博士が生み出した最高傑作であるロボット――ウルトロン・ズィー・デウスエクスマキナの姿が、跡形もなくなくなってしまっているのであった。


「あ、あぁ....そ、そんなぁ.....うそだぁああああああああ!!!」


拘束魔法で縛られた状態で博士は自身の作品が無いことに信じられないと言う思いで錯乱し発狂してしまうのであった。

彼が作りだした最高ロボット・ウルトロンは何処にいってしまったのか....。

しかしこの唐突によることから始まる、最強ロボットの異世界転移物語が....。





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