第五章 握った刃を振り上げて 5
振り返った黒髪の少年が、ぎょっと目を見開いた。
「貴様!」
駆け寄ろうとした少年を、トラデスティは一睨みで制止する。
手には一丁の銃。銃口は、この場で最も地位が高い女性へと向いている。彼女の足元には護衛の為に残っていた軍人を転がっていた。エリスたちの騒動に気を取られていて、案外簡単に倒せた。少し離れたところに立っている小柄な軍人が腰の銃に手を伸ばしているのを、手の中にある銃をチラつかせて留める。
近距離で銃口に晒されながらも、気丈に睨みつけてくる女性へ、トラデスティはゆったりと笑った。
「はじめまして、キリカ・スターチー」
「……貴様が、トラデスティだな」
「そうだよ。手紙は読んでくれたみたいだね」
「手紙……?」
ぽつりとルードと呼ばれていた若い軍人が呟く声が聞こえてくる。思い当たることがあったのか、はたと顔を上げた。その顔に疑惑が過るのを見て、トラデスティはくつくつと喉の奥で笑う。
長かった。ようやく、ここまで来た。
——事の発端は数カ月前。
国軍に潜入していた部下が怪しい動きがあることを伝えてきた。瘴気を掌握するために行われる、子どもを利用した人体実験。なんだそれ、と思わないでもなかったが、成程奴らは本気らしい。何十年経とうとも変わらない、愚かで卑劣で救いようがない連中だ。
だが、直感した。これでようやく始められる、と。
とある筋からアヤメ・クロコスという軍人が告発に動いていることを知り、彼女に接触することになった。秩序維持を担う憲兵隊に告発しようとしていたアヤメと、キリカ側と手を組もうとしていたナルキース。トラデスティは、ナルキースの意見を推した。
アヤメから望まれたのは、実験の為に捕らえられた子どもたちの保護。コロナリアからも子どもが連れていかれたのだと偽って、アヤメの信用を得た。彼女から得られた情報はそう多くはないが、潜入している部下や、他の情報源から得られたので問題はない。
キリカが確実に関わってくるよう、偽の情報を流したり、ハイリカムへ情報を渡したり。他にも随分動かせてもらった。
そうして、実験が始まった。
子どもがひとり、犠牲になると知りながらトラデスティは静観を選んだ。アヤメたちが犠牲にならないように動いていることも、偽の情報を信じて実験そのものを潰すためにキリカ側が動いていることも知りながら。
そうだ、本当は。エリスに話をするつもりだった。協力を仰ごうと思っていたのか、託そうと思っていたのか。自分でも、わからないけれど。
——まさか、彼が出て行ってしまうなんて。その上、この件に首を突っ込んでいるとは思わなかったけれど。
キリカたちが焦っていることは気が付いていた。彼女にとって、知られたくない過去が暴かれるかの瀬戸際なのだから。
その背中を衝くために、トラデスティはアヤメを通して一枚の手紙を渡した。
書いたのはただ一言。——私は、銃声の主を知っています・
アヤメ・クロコスとエリスたちの面会に場所を貸したのはこの為でもある。
エリスたちに接触を図るであろうナルキースと共に、キリカ・スターチ―を呼び出すため。すべてはそのため。彼女は必ず来ると思っていた。
だって。
「知られたくないよねぇ。——十数年前、ハイリカムとの衝突のきっかけになった銃声。それが、あなたによるものだったなんて」
囁くように。嘲るように。とっておきの秘密を告げるように。
顔面に張り付けた飄々とした笑みに、ありったけの蔑みを込めて。
「銃声……?」
ざわりと、空気が揺れた。ナルキース中将がキリカを凝視している。その視線に気が付いているのかいないのか、彼女は硬い表情でトラデスティを睨みつけた。
「……何の話だ」
だろうね、と内心トラデスティは眉を上げる。認めないだろうね。認めるわけにはいかないだろうね。
けれど。
「見たんだよ。あなたが銃を構えて、引き金を引くところを。僕たちは、確かに見たんだ」
——そう。あの日。僕たちは確かに見たのだ。
軍服を着た女が、無言で銃を構え、引き金を引く、その様を。
どれほど時が経とうと、女の顔は忘れない。
忘れるものか。忘れてたまるか。
その直後に起こった、悲鳴も、怒号も。飛び交った銃弾も。全て覚えている。
「まだ子どもだったけど、あなたの顔を忘れたことはない。この場所に落ち着いてから、初めてあなたの顔を見てね。驚いたよ。同時に納得した。あなたは、総統の座に就くのに必要な手柄を立てるために、あの戦争を引き起こしたんだね」
後に当時の情勢を調べて納得した。キリカ・スターチーは、手柄さえ立てれば、充分次期総統の座に届く位置にいたのだ。
考えはするだろう。思いつくことはあるだろう。だが、この女は実際にやった。人でなしの所業だ。
人ではないものを鬼と呼ぶのだと、エリスが話しているのを聞いたことがある。なるほどとトラデスティは納得した。
トラデスティが、あれを人ではないと思うのと同じように、あれは他の国に生きる人を人と思わなかったのか。同じものに属していないから。自分とは違うから。自分たちの敵だから。
理解できないものを排斥するのは人の性。異物を排除しようとすることも。自らが利益を得るために、非道を正義の名で覆い隠して正当化することもまた同じく。
成程。であるのなら、あれはどこまでも人間らしいと言えるのかもしれない。
「戯言を!私が、そんなことをするわけがない!」
初めて、キリカが声を荒げた。怒りで動揺を覆って隠そうとする表情を、トラデスティは知っている。
罪を暴かれ、指をさされた罪人の貌だ。
「……ふうん?なら聞いてみようか。そっちの人、ナルキースだったっけ?あなたなら知っているんじゃない?あの時、キリカ・スターチ―がどこにいたのか」
視線を向けた先で、息を呑んだ男が視線を逸らす。それが何よりの答えだと、その場にいた全員が察した。当然のように、自然であるように、全員の注目が渦中の女性へと向かう。
あ、と。
掠れた声が今までとは一転して、怯えたように呟く。違う、と。
呆れたように目を眇めたトラデスティへ、違うところから問いが投げられた。
「……お前が言っていることが本当だとしても、その人を殺してしまえば、真実は闇の中だ。それでもいいのか?」
淡々とした声音でアスタが尋ねる。おやと思った。軍の英雄様は頭からトラデスティの言葉を否定するわけではないらしい。まあ、彼もあんな実験に巻き込まれた側だ。ウィスタリアという国がろくでもないことは身をもって知っているのだろう。
こんな話はいくらでもある。誰かの悪意で、誰かの大事なものが奪われる。よくある話だ。よくある悲劇だ。
自分が関わってさえいなければ、明日には忘れてしまうかもしれないくらいの。
「真実を明かすことに興味はないんだよ、英雄様。だって、本人が一番わかってるだろうしね」
「——死罪になるぞ」
固い声でそう言ったのはナルキースだった。
思わず噴き出す。なんだ、それ。どの口が言うのだろう。自分たちは何人も殺してきたくせに。それでものうのうと生きてきたくせに。
「殺したのだから、殺されるのは当然。だって命は等価なのだから。だろう?」
煽るように首を傾げて、薄く笑みを載せた。
キリカ・スターチーがわずかに一歩、逃げるように足を引いた。震える唇が、それでも言い訳のように言葉を紡ぐ。
「……たとえきっかけがなくたって、ハイリカムとの衝突は起きていた」
「もしもの話をする気はないよ。あなたが銃弾を放って、戦争が始まって。その結果僕の故郷は滅びた。事実は以上だ」
黙れ、と。
キリカが美しい貌を醜く歪ませて、喉から振り絞った声を叩きつける。
「ヴィレンスに、あんなやつに総統の座を渡すわけにはいかなかった。あれに自分の意思なんてない。望まれたように望まれたままにしか振舞えない。だから選ぶしかなかったんだ。ウィスタリアの民が生き残る為に必要なことだったんだ!」
ヴィレンス・カーパスに総統の座を奪われた女が、頬を怒りに赤く染めて。
「私は、私たちの国の未来のために選んだのだ。実際、あいつが総統の座に就いてからどうだ。何か変わったか?この国は侵略を繰り返して大きくなった。ヴィレンスも同じようにした。この十数年で何人死んだ?瘴気の実験だって、あいつは知った上で止めなかった!」
知った上で止めなかったのは自分も同じだろうに。
キリカの動きが次第に大きく、大仰に、芝居がかっていく。
「こうなるとわかっていた。この未来を回避するために私は選んだんだ!結果が伴わなかったとしても、選んだことを後悔はしない!大勢を救うために少数を犠牲にする。仕方のないことだ!」
「……ああ、そう」
吐き出した声は、我ながら冷え切っていた。
そうか、仕方のないことか。
家族を殺されたことも。友人を殺されたことも。帰る家を奪われたことも。故郷が地獄と化したことも。
後々、戦火に発展したきっかけとなった一発の銃弾が、どちらが撃ったのかわからないのだと話を聞いたときは、怒りで頭が真っ白になった。隠すのか。なかったことにしようとしているのか。それともハイリカムが始めたことにしようとしているのか。死人に口なし、なんて。許していいはずがない。許されるはずがない。
なんて卑怯。なんて卑劣。唾棄すべき醜悪。
ああ、ほら。思った通り。ひとを人と思わないからこその所業。
こんな奴らに僕たちはすべてを奪われたのか。
「大勢を救うために少数を犠牲に。そう言う奴は、決まって犠牲にする側だ」
付き合いきれない。雨空を仰ぐ。あの日と同じ、光の一筋もない昏い空が広がっていた。
あれから何年経ったか。長かった。あの瞬間に抱いた感情は、とっくに色と温度を失くしてしまったけれど。
だけど、あの日からずっと。構えたまま降ろせない銃口がある。
「引き金を引いたなら、引かれる覚悟もしておかないとね?」
「待て‼」
ローダンが動こうとするのを牽制。ぐ、と動きを止めながらも、彼は時間を稼ごうとするように口を開く。
「なぜ今になって復讐を始めたんだ」
「機会を得た。簡潔に言えばそれだけだよ」
「私を殺せば、現総統派が政権を握り続けることになる!それでもいいのか⁉」
キリカのみっともない悪あがきに、答えはため息で返した。
キリカ・スターチーがナルキースと手を組んだのは、今度こそ自分が総統の座に就くためだ。それが自分の欲の為なのか、本気で未来を憂いてなのかは知らない。動機なんてどうでも良くて、理屈やら建前なんて知ったこっちゃなくて。
ただ、許せないと握り続けた拳があるだけだ。
「それ、僕に関係ある?」
銃口の先には憎み続けた女がいる。だというのに、特に興奮も、感慨も浮かばなかった。
無感情に、そうするのが当然のように、引き金に掛けた指に力を込めて。
「——トラデスティ」
いつも通りの声だった。訴え掛けるわけでもなく。力が込められているわけでもなく。
用があるから声を掛けた。ただそれだけの、いつも通りの声だった。
「なにかな、エリス」
美しく整った貌に、驚きはなかった。困惑もなかった。逸らされることなく向けられる視線は、初めて会った時から変わらない。
死んでくれと、呪うように吐き捨てていた姿はもうそこにはないが、あの慟哭はずっと彼の裡にあったものだろう。
——ああ、やっぱり。僕たちは同じだった。
この心には、構えたまま降ろせない銃口がある。エリスの心に、振り上げたまま降ろせなかった刃があったのと同じように。
「あんたには殺意がない。なのに、引き金を引くの?」
「殺意はなくても、引き金は引けるさ。あの時の彼女も、きっとそうだったんだろうね」
人を殺すのは恨みだけではない。怒りだけではない。死にたくないという恐怖心から引き金を引くこともある。もしくは義務感と正義感や、そうしなければならないという使命感で。
殺意がなくたって、引き金は引ける。自分の為に、あるいは自分の信じるなにかの為に、彼女は引き金を引いたのだ。その先に悲劇があるとわかっていても、自分は正しいと信じて地獄を作り上げた。彼女の言葉を信じるのなら、自分でなければいけないと信じて。とんだ笑い話だ。キリカ・スターチーでなければいけないことなんてひとつもない。代わりなんていくらでもいるというのに。
「——でも、あんたは引かない」
そうでしょ、と。エリスが目を眇める。
「あんたらしくない。殺すのなら、正しく恨みを以って。憎しみを以って。——覚悟を以って」
正しく恨みを吐いて、憎しみを叫んで、それでも子どもたちの為に一度は振り上げた刃を置いた彼は、ひとつ、言葉を置いて。まるで背中にそっと手を添えるような柔らかさで続ける。
「あの日のあんたみたいに」
初めて会った時と同じように、見透かすように真っ直ぐに、逸らすことを許さない強さで、トラデスティを見ている。
ふ、と笑みが零れた。誰もが胡散臭いと評する笑みとは違う。トラデスティは肩を震わせ、声を上げて笑い、おもむろに銃を降ろした。
あーあ、と悪戯がバレた子どものように笑いながら。
「もちろん。——残念だけど、子どもに死体なんて見せるわけにはいかないからね」
仕方ないというように肩を竦めて見せた。
「…っ、動くな!」
武器を降ろしたトラデスティをみて、キリカが腰の銃を抜こうと動き出す。
対して、トラデスティは右腕を上げた。合図を送るために。
瞬間、どこからか放たれた銃弾が、キリカの足元を抉る。
部下たちは広場を囲むように配置済みだった。気が付いていたエリスが呆れたような視線を向けて来る。もうひとり、ジニアも気配を察していたのだろう。彼は終始子どもたちを死角になる位置に庇って立っていた。
「忘れているようだけど、ここはコロナリア。あなたたちウィスタリアが見て見ぬふりをしてきた土地。恨みを持つ奴は大勢いる。何故大仰な護衛が自分たちに必要なのか、よく考えてみると良い。あなたたちの命は軽いよ?」
トラデスティが止めていなければ、すでに軍人たちの額には風穴が空いているだろう。
「けどまあ、戦争がしたいわけじゃあないんだ。あなたたちがどう思っているかは知らないけれどね。キリカ・スターチーへの処遇と、オレアンダーに手を出さないと約束するのなら、無傷での帰還を保障しよう」
選択肢はないと思うけど。オレアンダー頭領はおどけるように笑ってみせる。
眦を吊り上げるキリカをナルキースが制止して頷いた。
「まさか、そいつの言うことを信じるのか。ナルキース中将!」
憤然と言い募るキリカに対して、冷ややかな声が返った。
「対応を約束します。必ず」
ナルキースのものではない。まだ幼さの残る声だった。
キリカの背後。小柄な軍人が、視線が集まる中、軍帽を脱ぐ。
現れたのは茶色の髪に薄茶の瞳、どこかキリカに似た顔立ちの少年だった。
「——は」
キリカとナルキースが絶句する。おや、とトラデスティも目を丸くした。顔だけは知っている。
トレイト・カーパス。若干十四歳の、現総統の一人息子。
ウィスタリア国軍総統の後継者が、ここにそろったのだ。
「なぜ、お前がここに」
「彼に……ルード・リンネリスに命令したんです。無理矢理お願いしたので、怒らないであげてくださいね」
視線を受けたルードが頭を下げる。彼はさりげなくトレイトを守れる位置に移動していた。お前、とキリカが絶句している。
「無理矢理ではありません。彼がしようとしていることは、正しいと思ったんです。正しいと信じるものを選ぶべきだと思ったんです。だから賛同しました。申し訳ありません。でも、僕は」
ルードの目が、キリカとナルキースを射貫く。若いが故の——痛いほどに強烈な眼差しだった。
「正しいから間違いではないなんて、そんなことはない。わかっています。それでも、僕は信じています。誰かの思惑で、誰かが傷ついて。泣いて。そんなのは間違っているって。実験を止める、上層部を告発する。貴方たちが、それだけの為に動いていたわけではないって、僕にだってわかります」
彼らの間に何があったのかは知らない。知らないが、きっと何かがあったのだろう。キリカは射殺しそうな眼でルードを見ていた。
「だから、選びました。裏切りであることは承知しています。処罰は受けます」
いつの間にかジニアが、ルードとトレイトを守れる位置に移動していた。彼が守っていた子どもたちはエリスたちが背にしている。目を丸くして、それからきゅっと唇を噛みしめたルードが、大丈夫だと彼の背中から出る。
トレイトは困ったように苦笑した。
「僕だって、ちゃんと知っているんですよ?実験のことも、十二年前のことも——ハイリカムとのことも。他のことも、たぁくさん。キリカさん、これまで随分無茶してきたみたいですね?」
「なっ」
子どもだから知らないだろうと高を括っていた相手が、実はすべてを知っていた。
キリカにとって、それからナルキースにとっても、想定外だったのだろう。想像すらしていなかったに違いない。見くびり、侮っていた相手が、今、追い詰める処刑人の顔で笑っている。
「だれが……お前に吹き込んだ…!」
「いいえ。自分で調べました。証拠だってたんまりとありますよ。お飾りといえど、それくらいできます。だって」
子どもが笑う。大人に褒めて褒めてと強請るような、無邪気な笑顔だった。
「だぁれも、僕のこと警戒してないんだもの」
そして彼は、くるりと振り返った。
「ティアン・レオント。落ち着いたら召喚します。証言をお願いできますね?」
「——了解しました」
「エリス・ユーフォルビア。あなたのことも大まかにですが把握しています。軍を代表して謝罪を。——あなたたちに理不尽を強いたクソどもは全員洗い出して粛清します。今回は何もなかった。それでこの場は収めてもらえないでしょうか」
痛いほど、真っすぐに。眩しいほどに真摯に。
渡された言葉に、エリスはすっと目を逸らして返事にした。言質は取らせないが、否定もしない。大人げないが彼の精一杯の同意だった。
「アヤメ・クロコス。あなたにも協力を依頼します。同時に、監視を外すように手配しますね」
「——え」
「それが、彼からの依頼でしたので」
視線の先にはヤフランがいる。ばっと振り返ったアヤメから逃げるように、彼は目を伏せていた。
ふう、と。ひとつ息を吸って、吐いて。
まるで何かに宣誓するように、トレイト・カーパスはこう言った。
「あとは、お任せください」
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