12話 僕と一緒に……

僕たちは奴を殺した後、ホテルへと戻った。


そして今、玲奈に傷の手当てをされている。


応急処置だけどね。


さて、僕がなぜこんな無茶をしたのか。



それはね、確実に奴の隙を作り出すため。


奴は拳銃を持っており、あのままじゃ確実に2人とも殺されてゲームオーバー。


だったらどうするか。


もう、動けないと思わせればいい。


奴の性格上、玲奈をもっと絶望させるために1撃では殺さないだろう。


だからわざと突っ込んで撃たれた。


肩でよかった。足だったら動けなかったかもな。


そして奴の意識が玲奈にいっているときに隠し持っていたスタンガンを奴に当てた。


かなり強めに何回もしたから、しばらくは起き上がれないだろう。


そして僕は彼女に拳銃を渡した。


終わらせるのは僕の役目じゃない。


そうして彼女は奴に拳銃を向けていたが、体が震えていた。


怖いのだろう。


だったらやることは1つ。


彼女を安心させることだ。


そして僕は彼女の後ろから抱きつくような形で一緒に拳銃を持った。


大丈夫、僕がいるよ。


すると彼女は落ち着きを取り戻したようで、そこまま引き金を引いた。










さて僕はこれから彼女に言わなちゃいけないことがある。


でもこれは彼女の人生を奪うこととなる。


だけど僕はこの気持ちが抑えられない。




「玲奈」


彼女の名前を言うと彼女はこちらを向いてくれた。


僕は彼女に向き直ってその言葉を紡いだ。


「玲奈、好きだ。付き合ってください。」












「ごめんなさい。受け取れません。」


告白をされた彼女は嬉しさと申し訳なさが顔に滲んでいた。


「僕のことは好きではないってことか。」


「いや!そういうわけじゃないないんだけど……水無くんのことは恋愛的な意味で好きなんだけど……」


なるほど、拒む理由がわかった。


「じゃあ1つお願いを聞いてくれる?」


そういうと彼女は静かに頷いた。




「…じゃあ、さ。僕と一緒に死んでよ」


「え?」


困惑した顔をしていたが、声は嬉しそうだった。


彼女は一度家族を失った。


それが一種のトラウマとなっているのだろう。


またいなくなってしまうのではないか。


そんなことを思ってしまう。


それは僕も同じだ。


だったら一緒に死んでしまえばいい。


ぶっ飛んだ考えだが、それは彼女も同じだろう。


すると彼女は申し訳なさそうに言った。


「水無くん、さっきの返事もう一回していい?」


もちろんいいよ。そういう気持ちで頷く。


すると彼女は僕が最も欲しい言葉を言ってくれた。



「私も水無くんが好きです。よろしくお願いします。」

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