11話 終演の合図

奴にあったときに出来てた感情は憎しみだけだった。


もし彼が止めてくれなかったら感情に任せていただろう。


そうして奴が油断したときに彼が奴に向かっていった。


私も行かなくちゃ。


そう思い一歩踏み出したとき








パァーン




1発の銃声が鳴り響いた。




次に聞こえるのは人の倒れる音。


私の前に倒れていたのは水無くんだった。


肩を撃たれて、血が滴っている。


痛みで動けないようだ。


私はその姿を見て怒りを覚えた。


1年間ずっと一緒にいた人だ。


私の中でかけがいのない存在となっていた。


どうやら私は彼に相当依存していたようだ。


私は怒りに任せて彼にナイフを突き立てて殺しにいった。



「クッ!」


簡単に抑えられてしまった。


そりゃそうだ。


高校生の動きなんてそこまで早いわけではない。


奴は笑っている。


「どうだ?今の気持ちは。大切にしていた奴が目の前で撃たれた挙句、感情に任せて機会を無駄にするなんて。あいつの犠牲は無駄になったなぁ?」


だめだ抜け出せない。


成人男性に勝てるわけがない。


「さて、俺は弱いものいじめをする趣味はないんだ。終わらせてやるよ。安心しろ、後であいつも同じ場所に来るからよ!」


そう言って奴はナイフを振り下ろした。


そのナイフが私を貫いて……











「があああああああああああああああ」






奴の叫び声が聞こえ、かかっていた重さがなくなった。


立ち上がり見えたのは、うずくまっている甘蔵とスタンガンを持って立っている水無くんだった。


私が状況を理解できないでいると、彼が手を差し伸べてくれた。


その手を握って立ち上がると、彼は拳銃を手渡してきた。


……ありがとう。


私のためにしてくれて。


私は拳銃を持って奴の前に立った。


相当強いものを食らったらしく、こちらを見るだけで何もしてこない。


やっと、やつを殺せる。


そうして私は拳銃を奴に向ける。


すると、彼が後ろから抱きつくような形で拳銃を一緒に持ってくれている。


……安心するな、彼の中にいると。


そして私はやつをしっかりと見つめる。


これで…私の復讐劇は終演だ。











パァーン



終演の合図が鳴り響いた。

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