9話 物語にピリオドを

それからの日々は早く感じた。


男の情報もかなり順調に集まった。




甘蔵 卬治(あまぐら ごうじ)


飲食チェーン店『荒涼』の現社長である。



だが黒い噂が彼を包んでいる。


彼の邪魔となる人間が不自然な死を遂げているのだ。


警察も怪しんで調査しているが、まだ証拠がない。


だから彼は悠々と過ごしている。


僕たちはやつにナイフと突き立てる。そのために、復讐の計画を立てる。


彼の予定を調べ上げ、最適解を考える。


そして復讐の日が決まった。



その日は僕の18歳の誕生日だ。








僕の誕生日の前日、僕たちはホテルに泊まっていた。


復讐場所は家から離れており、復讐は昼に行う。


彼の隙がその時しか無かったのだ。




僕らはホテルの一室のベットで寝ている。


同じ部屋だがもちろん違うベットである。


僕は明日のことを考えて眠れていなかった。


彼女は起きているのだろうか。


そんなことを考えていると


「……まだ、起きてる?」


そんな声が聞こえた。


「ああ…起きてるよ」


「明日のことを考えると眠れなくてね。やっとだ。やっとあいつを殺せる。私のこの手で…」


こちらを向かずにそう言う彼女の声は震えていた。


…怖いのだろう。


「なのにね、私ね怖いの。この日のために生きてきたのに…」


そう言う彼女に僕は


「…?なに?」


僕は彼女の頭を撫でた。


気のせいかもしれないが震えが少し収まった気がする。


「…大丈夫。僕がいる。どうにかなるさ」


カッコつけすぎたかな。そんなことを思っていると、


彼女の笑い声が聞こえてきた。


「…ありがと」


そう言って彼女は眠りに着いた。


「明日、か…」


明日、全てが終わる。




彼女の復讐劇も。



僕の物語も。

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