7話 普通の崩壊

僕の普通だった。


お金持ちでもなければ貧乏でもない。


それでいて毎日がすごく楽しかった。


毎日楽しく過ごしていた。


だけど日常の崩壊は急に起こる。



2年前の僕の誕生日。


夕方までパーティーをした後僕と姉さんは車で出かけ両親を見送った。


今日は結婚記念日でもあり僕たちから温泉の宿泊券をプレゼントしたのだ。


両親は初めは受け取るのを拒否した。


今日の主役は僕だと。だから僕といると。


だけど僕はもう満足したと伝えると、優しい笑顔で受け取ってくれた。


満足したのは事実だ。


だけどせっかくの記念日なんだし夜くらいは2人で過ごして欲しい。


そんな願いのこもったプレゼントだった。


だけど、そのまま両親は帰らぬ人となった。


温泉に行く途中の山道で転落事故に遭ったそうだ。


車にぶつかられてそのまま…


その車を逃げられており情報が少なくおそらく特定はできない、そう言われた。


僕は憎んだ。


僕の両親を殺したそいつを。


そして…


その原因となった僕を。


僕が宿泊券なんて渡さなければ…


そんな自己嫌悪が僕を襲った。


だけど姉さんが僕を支えてくれた。


自分だって辛いはずなのに。


そんな姉さんには感謝しかない。


だから僕は立ち直れた。


そして前を向いていこう。












そう思ったのに…









悲劇は繰り返される。



一年前の僕の誕生日、僕はいつもより遅めに帰路に着いた。


理由は簡単。


姉さんに今日はおそく帰ってきて欲しいと言われた。


僕は何をしてくれるのかわかっていて、だけど嬉しくて、そんな気持ちで帰路を歩いていた。


そうして家に着いた僕は鍵を開けて家に入った。


「ただいまー」


そう言うが返事は返って来ない。


僕は少し不思議に思いながら僕はリビングの扉を開けた。


そこに広がっていたのは楽しいパーティー会場ではなく、ただの地獄だった。


家具や壁、装飾の至る所に血が付着しており真ん中のテーブルには1人の男と血まみれでケーキに頭を埋められている姉さん。


僕のために用意してくれたショートケーキは赤く染まっている。


そんな光景に呆然としているとその男が僕に向かってきて僕は腹を刺された。


そうしてぼくは痛みで気を失ってしまった。

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