保次郎編4話 異世界転生してうまれたばかりで連れ去られました。このまま売り飛ばされたりはしませんよね。


  お父さんとお母さんが、さっきから同じような話しを繰り返している。

 僕は赤ちゃんなんで、とりあえず寝ようと思います。

 英雄として生きてはいくけど、流石に今はまだ眠る時だと思います。

 おやすみなさい。


 「旦那様奥様」

 「それが、赤ちゃん?」


 少女の声が聴こえる。

 いや、寝させてください。

 眠っている赤ちゃんを起こさないでください。


 「ああ、赤ちゃんだ」


 なんなんだこのやり取り。


 「という事は」

 「私の赤ちゃんね」


 ん?何を言っているんだこの少女は。


 「そうとも言えるね」


 んなわけない。

 何を言っているんだ、このお父さんは。

 旦那様奥様と言っているのだから、僕のお姉さんでもあるわけがない。

 この家の使用人の子供だろうか。

 メイド服着てるし、この少女もこの家の使用人だろうか。

 とりあえず、君の赤ちゃんでは断じてない。


 「そんなわけないわよ」

 

 良かった。

 お母さんは、まともだ。


 「奥様がなんと言おうとも」

 「この子は、私の赤ちゃん」


 少女が、僕を持って走り出す。

 もう、目が覚めちゃったよ。

 これじゃ眠れないよ。


 「あの子ったら」

 「おしおきが必要かしら」


 ええ、必要だと思います。

 今後二度とこんな事がないように。

 とにかく今は、今後の事より助けてください。


 「まぁいいじゃないか」


 いや、良くない。

 生まれたばかりの我が子が連れ去られて、いい事なんてない。


 まぁ、少女でこの家の使用人だし。

 お母さんの反応を見るにも、深刻な連れ去りでもない。ないよね。

 人形やおもちゃ。子犬子猫をかわいがるようなただのおままごと遊びか。

 まさか、このまま売り飛ばされたりはしませんよね。

 それは、辞めてください。

 剥製にされたり。

 しませんよね。

 うう、怖い。


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